《回想》ギャルになりたいの
「お姉ちゃん。ギャルってなに?」
「は?」
浜宮 智子は驚きからファッション雑誌から目を上げて食べていたチョコ棒菓子を口からこぼしてしまった。
「ギャルになりたいんだけど」
わざわざ姉である智子の部屋に来て、唐突にそんなことを言ったのだからそりゃあ驚いてしまう。
「どうして歩ちゃん。なんでギャルになりたいの? 私はそのままの歩ちゃんが好きだよ」
「その……言うのが恥ずかしいんだけどね」
「うん」
「私の好きな人がギャルが好きなんだって。だから、その人のタイプに近付きたいの」
智子は思わず歩美を抱き締めてしまった。強く。強く。
「お、お姉ちゃん?」
「歩ちゃんも女の子だね。可愛いねえ。よし! お姉ちゃんがピチピチギャルにしてやろう!」
「ピチピチは死語だよ……」
まず、智子は行きつけの美容院に歩美を連れて行った。
そこで髪が痛まないよう注意をしてもらいながら時間をかけて脱色し金髪にした。
家に帰り、歩美の髪を梳かしながら訊ねる。
「どうしてその男の子のこと、好きになったの?」
「……私が読んでた本を『それ俺も好きなんだ』って言ってくれたんだ」
妹は成長したんだな。こうやって大人の女性になっていくんだろうな。
もう一度、智子は歩美を抱き締めた。




