最初はイモ子。今はギャル。
中学生の女は、だいたい可愛いよな。
おっと、俺は中年のロリコンじゃないぞ。あくまで同級生の話。
生徒指導の教諭と口論をしながら、自身のスカート丈をなんとしても短くしようとしている女ばかり。
それを何とはなしに見ていた俺。視線のやり場は綺麗な太腿だ。
「やっぱ綺麗だな」
「なにが?」
隣席のそんな洒落っ気には興味がない、というのを貫いている少女。
名前は浜宮 歩美。
「お前さ、もっとメイクしたりお洒落したら可愛くなるのに」
歩美は俗に言うイモだった。
「興味ないし。それに――」
私、目が見えないもん。
俺は、頬杖をついて「そんなもんかな」なんて漏らした。
「あっ、そうだ。今日俺の家、誰もいないんだよ」
「それで?」
「家に来いよ」
「……意味わかんない」
「決まりな。みっちりいろいろ教えてやるわ」
「……変態」
*****
白杖をついている歩美の側で、歩きながら先導する。
そして俺の家に着いたとき、妹の部屋に入りゴミが散乱している中からBBクリームとCCクリームをひったくった。それとUVクリームも。
「あのさ、歩美。この凸凹しているクリームあるだろ? これが日焼け止めだ。それを塗ればあとはBBを塗ってCCを最後な」
「私が……メイクなんかしても変人扱いされるだけだよ」
「そんな事ねぇから。まずやってみろよ。俺さ、お前の可愛くなった姿、見てみたいからさ」
そう言うと、彼女は不思議と納得した。
「分かった。やるだけやってみる」
「一応、親に見てもらえよ。下地クリームは塗りすぎ厳禁だからな」
「分かった……」
それから彼女は帰っていった。送っていこうか、と言ったが「大丈夫」と返された。
*****
翌日。歩美が教室に来たとき、空気が変わったかと思った。
それほどまでに施した下地メイクで、彼女は輝いていたのだ。
これから、俺――坂本と歩美の人生の物語が始まる。
いや、「人生」って。そんな大層なものなのだろうか。




