自作自演
「殺す事が正しい」
そんなケース、実はいくらでもある。
例えば金魚。
金魚は少なくとも七割の稚魚は殺す。
改良品種である金魚は結構頻繁に『奇形の個体』が生まれる。
奇形に関わらず体質的に弱い個体は病気になりやすい。
弱い個体が持ち込んだ病原菌は、生まれた稚魚を全滅させたりする。
弱い個体を間引く事は他の個体を守る事なのだ。
他には『戦場で足を怪我して歩けない兵士』がいたとする。
敵はその『怪我した兵士』を殺さない。
殺すのは『怪我した兵士』を助けにきた『まだ戦える兵士』だ。
戦場では『負傷兵』を抱える事が、重大な戦力ダウンになってしまう。
『他の味方を守るために』殺す事が正しい。
それは一つの考え方だ。
だからと言って『全ての命は平等に助かるべきだ』という考え方が間違えている訳じゃない。
人間の考え方、立場によって『正しい事』『正義』は無限にある。
マツは言っている。
「『間違えている人間』なんて滅多にいない。
でも『考え方が違う人間』なんていくらでもいる。
『正義』の反対は『悪』じゃない。
『正義』の反対は『もう一つの正義』なのさ」と。
色々な考え方の人々がいる。
マツの言う『間違えた考え方』というのは「自分の言う事が正しい。自分達の言う事が正義だ」という凝り固まった考え方だ。
それはともすると『排他』に繋がる。
豊はマツにそれを口が酸っぱくなるくらい言われてきた。
じゃあ、ウメはどうか?
人間同士でも『自分の利益』というモノが考え方には絡んでくる。
そして『自己の利益を守る事』は決して正義に反する行為ではない。
一つの例として言うと『侵略』がある。
『ここは我々の土地だ』という考え方と『ここはその昔、我々の領土だった』という考え方がぶつかるのは地球も異世界も同じだろう。
『どちらかが正しい』という話ではない。
あるのは『引いたら不利益』という事実だけだ。
だから相手の言う事は認める訳にはいかない。
『魔』ともなると物事の道理の考え方が人間とは大きく違う。
その上、『利益と不利益』を考えた時『相手の正義』が少しでもわかったとしてもわかった態度を見せてはいけない。
ところで『魔の考える正義』とは何か?
『魔』の考える正義。
『魔王様こそが正義。
魔王様の言う事は白でも黒だ』
これは絶対だ。
地球にも『魔』に属する者達が異世界ほどではないが数多くいる。
地球の『魔』の生態系は異世界の『魔』の生態系とは別物だ。
しかし地球の『魔』など、ウメの前じゃ『外来種に蹂躙される在来種』のような存在だ。
地球の『魔』はウメの存在を知ると今まで餓狼のように振る舞ってきたとしても、従順なお座敷犬のようにヘソ天して『絶対服従』の姿勢を見せる。
しかしウメは地球の『魔』の者達が頭を下げていることに気付いていない。
地球外から来た『魔』、『加藤豪』はウメの本当の恐ろしさには気付いていない。
ウメが『加藤豪』と契約をした時、ウメは異世界で豊、英雄と連戦して一時的に魔力量が消えかかっていたのだ。
地球の『魔』達はウメを一目見て、座り小便を漏らした。
そして、絶対服従を誓った。
「ウメ様のお告げだ!
山陽新聞本社ビルが変形して西日本各地で暴れるそうだ」
「そんな事が起こるのか?」
「バカ!
我々が起こすんだよ!
今『言霊』が頭を抱えている。
『うーん、どうやって実現しようか?』だそうだ。
とにかく山陽新聞本社ビルを変形させて暴れさせないと!」
「暴れさせてどうするんだよ?」
「魔王様が倒すんだよ!」
「何でだよ!?
自作自演も良いところだ!
訳がわからん!」
「・・・誰も訳など・・・。
いや、こう考えろ。
『これは魔王様の偉大さを示す行為だ』と!」
「わからんけどわかった。
魔王様の言う事は絶対だもんな!」
こうして山陽新聞本社ビルが西日本の『魔』達が威信をかけて変形して暴れる事になった。
ウメは『魔』の頂点に君臨しているが魔法少女、つまり正義の味方の一員でもある。
大体『魔法少女』という存在は『ごっこ遊び』以外では、一度バーベキューをしただけだ。
私用で更新が少し途絶えます。
出来てるところまで更新という事で。




