尾
「何かウメの中で『魔法少女』がマイブームみたいだ。
でも僕には何の話やらサッパリだ。
自由に言葉がわかればテキトーに話を合わせてやる事も出来るんだろうが、僕は異世界語が片言だし、ウメは日本語が片言だ。
魔法少女に詳しく無いことも手伝って『何を言ってるのか?』サッパリわからん。
興味のある話なら頑張ってわかろうとしてやるんだが、ビックリするぐらい魔法少女の話に無関心だ。
そこでだ。
英雄のところに2人、異世界から来てる女の子いたよな?
あの娘ら、ウメの『魔法少女ごっこ』に付き合ってもらえないかな?」と僕。
「別に良いんじゃないの?」と英雄。
こうして本人らが全く知らないところで『ドリームビリジアン』と『ドリームコバルトブルー』が『ドリームファイブ』に仲間入りした。
因みに『ドリームビリジアン』は魔法使いで『ドリームコバルトブルー』はクレリックだ。
『ドリームファイブ』結成まで残りあと一人。
しかし『ドリームファイブ』が具体的に何をやる集団なのかは誰も知らない。
いや、『加藤豪』だけは知ってるはずだ。
その通りにウメが動く気がないだけで。
ウメが寝た後に加藤豪がほくそ笑む。
「『魔法少女』が絶望を知り、現実を知り、大人になって『魔女』になるんだ。
『魔女』はこの世界に闇を落とす。
そうとも知らずにこの娘はよく寝ているね」と。
そんな加藤豪が悪巧みをしている事をウメは知らない。
しかしウメにとって『魔女』なんて
『魔王→魔神→邪神→堕天使→魔人→魔女』
というように、ハナクソ以下の存在で『そんな存在に堕ちる訳がない』という事実を加藤豪もまた知らない。
魔法使いとクレリックもまた、勇者パーティーで、魔王と同等の魔力を備えている。
間違っても『魔女』などに堕ちる訳がない。
一番最近『魔女』を倒した時、2人は年頃の女子らしく『コイバナ』をしながら『魔女』を捻り殺した。
『魔女』に堕ちる可能性があるのは『マツ』つまりばあちゃんなんだが、昨晩、ばあちゃんが永眠した。
死因は老衰。
大往生である。
昨日の昼までタバコ屋の店先に出て、ご近所さんと世間話をしていたからまさか夜になって亡くなるとは思わなかった。
でも苦しんだ様子もない。
眠るように息を引き取った。
こういう場合、家族は悲しんでいる暇もないぐらい忙しい。
きっとこの忙しさが辛さを紛らしてくれるのだろう。
仏間にばあちゃんの遺体が寝ている。
僕は線香を絶やさないように番をしている。
今はクルクルと長持ちする蚊取り線香のような線香があるけど、これがなかった時代は線香を絶やさないようにしたのは大変だったろうな。
呑気な顔をしてばあちゃんは寝ている。
父親と母親は葬式で使うばあちゃんの写真を必死で探している。
こんな時、写真嫌いのばあちゃんの写真はロクなモノがない。
あっても最近の写真はおどけた顔をしているモノばかりだ。
出てきたのはばあちゃんが女学生の時の写真だった。
「ばあちゃん、昔、美人だったんだね」と僕はポツリと言う。
「そうだな・・・」と父親。
多くは語らないが、父親としたら自分の母親が亡くなったんだよな。
父親とばあちゃんを2人っきりにしてあげよう。
僕は音もなく仏間を出ると、自分の部屋に戻った。
僕の部屋には加藤豪を抱いたウメが僕のベッドの上にちょこんと座っていた。
だから無防備すぎるって言ってるだろうが!
・・・でも今の僕はそんなえっちな気分じゃない。
助かったな。
「ばあちゃんは?」とウメ。
「笑ってるみたいだったよ」と僕。
「そう」とウメは短く言うと背中を向けた。
ウメは誰よりばあちゃんに懐いてたし、ばあちゃんはウメを誰より可愛がってたもんな。
そっとしておくか。
すると『アイテムボックス』から『雉』が飛び出してきた。
「お前、皆が起きてる時は出て来るなよ!
というか、用事がない時は出て来ちゃダメだよ!」と『雉』を叱ろうとする。
『雉』はウメに自分の尾の羽根を抜いて咥えて渡すと『アイテムボックス』に戻って行った。
『雉』は『雉』なりに落ち込んでるウメを慰めようとしたんだよな。
用事がないのに外に出てきた訳じゃないんだよな。
『雉』を初めて見た加藤豪は驚きのあまりだろうか?フリーズしていた。
「その羽根、ばあちゃんの棺に入れてやろうな」と僕はウメに言う。
ウメは何も言わないが小さく頷いた。
ウメの瞳からは涙が一筋零れる。
チクショウ、こういうの一番苦手なんだよ。
思わず目から水が出ちまうだろうが!
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仙人カヤマはかつて『死者蘇生』を行ったという。
死者蘇生に必要な物は・・・
死んだ者の遺体
不死鳥の尾の羽根
処女の涙
生き返った後に行う役割
ばあちゃんの遺体は当然ある。
不死鳥の尾の羽根はウメがもらった。
不死鳥の尾の羽根はウメの涙が染み込んでいる。
ばあちゃんは生き返った後に魔法少女『ドリームシルバー』としての役割が与えられている。
実は『生き返った後の役割』が一番大切で、カヤマ自体も『死者蘇生』は一度しか成功していない。
『目的がなく生き返った者はゾンビと等しい』
ゾンビとして生き返った者の中には魂が宿らない。
そして生ける屍として生き返っても肉体はそう長くは保たない。
結局『死者蘇生』の確実な方法は確立せず「成功したのもまぐれ」と言われている。
ばあちゃんの葬儀はばあちゃんの意向により、家族葬で行われた。
僕にじいちゃんの記憶はない。
父親が中学生になる頃に行方不明になったらしい。
つまりじいちゃんは未だに生死不明だ。
ばあちゃんは「全く、どこをほっつき歩いてるのかね?」と言っていた。
ばあちゃんは生活雑貨屋をやって、父親達兄弟三人を全員高校まで出した。
倉敷で働いていた父親が仕事を辞めて戻って来て、ばあちゃんがやっていた生活雑貨屋をタバコ屋にしたらしい。
その時に父親はお腹の大きな母親を連れて来た。
つまり父親と母親は、今でいう『出来ちゃった結婚』『ズッ婚バッ婚』だ。
因みに僕は『おめでた婚』という都合のいい言い方が嫌いだ。
んなもん、めでたいかどうかなんて当事者以外わかる訳ないじゃんか。
だからばあちゃんは僕を憎んで厳しくしている訳じゃないと思う。
逆にばあちゃんは敢えて『腫れ物にさわる』ような育て方はせず、愛情故に僕を厳しく育てたんだと思う。
『本当は孫を猫かわいがりしたかった』というのは、ばあちゃんのウメに対する態度を見てたらわかりやすいぐらいだ。
喪主である父親がばあちゃんの棺といっしょに霊柩車に乗る。
僕ら家族は火葬場まで、マイクロバスで霊柩車を追いかける。
普通火葬場まで他人は来ないらしいが、ウメは火葬場までついてきた。
焼き場に棺を納めるまえに、棺の上に『不死鳥の尾』を置く。
それは棺の中を花で満たすような、葬儀の儀式的なモノで大きな意味はなかった。
焼き場で遺体を焼く時間は大体1.5時間。
納骨が・・・始まる予定だった。
焼け残った骨を長い箸で骨壺に入れるはずなのに、骨が一切残っていないのだ。
「こんな事があるんですか?」と火葬場の職員に聞く。
「骨が丈夫かどうかで骨の残り方にバラつきはあります。
体格が良い人は焼くのに時間がかかります。
ですが全く残らない、というのは私も火葬場の職員をしていて初めて見ました」と少し狼狽えていた。
でも全く骨壺に何も入れない訳にはいかず、灰を骨壺の中に入れた。
多少のトラブルはありつつも葬儀はつつがなく終了し『初七日』と『精進落とし』を兼ねた食事会が戻った寺で行われた。
その会場で見たのは、葬儀の写真を探していた時にアルバムの中で偶然見つけた『若き日の女学生時代のばあちゃん』だった。
親父はすぐにばあちゃんに気付いた。
「ばあちゃん!
何しとん!?
死んだんじゃなかが!?」
「誰が死ぬか!
夜寝て布団に入ったら、気付いたらここにおったがよ」とばあちゃん。
どうやらばあちゃんは自分が死んだ事に気付いてないみたいだ。
そして奇跡的に生き返ったなんて事は夢にも思っていないし鏡を確かめていないから、若返った事も全く知らない。
久し振りに葬儀に参列するために岡山に帰ってきた親父の弟に若返ったばあちゃんは声をかける。
「壮二!
アンタ!全く帰って来ないと思ったら突然連絡もなしで来て!
誰かが亡くなったの?
なして皆喪服きとるん?」と自称ばあちゃん。
これは複雑な事が起こった。
少女に虚言癖があるのかも知れない。
でも少女は自称『ばあちゃん』だ。
そして親父は一目見て、この少女がばあちゃんであることを疑っていないようだ。
それに2人いる親父の弟も、少女の事を『母ちゃん』と呼んでいる。
僕も異世界に行ったり、昔話の時代に行ったり・・・。
最近、不思議な事が起こってる。
そりゃ、ばあちゃんが若返る事もあるかな?と。
・・・という訳で竹内家では、ばあちゃんが生き返った事も、若返った事も受け入れる事となった。
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「ばあ様が生き返った」という噂話は、狭い田舎の街にすぐに広がった。
家族葬とは言え、通夜に顔を出した近所の者は確かに棺の中で眠るばあちゃんを見ている。
「あぁ、マツさん逝っちまったのか」としみじみと人々は思った。
なのにばあちゃんは再びタバコ屋の店番をしながら濡れせんべいを食っている。
しかも尋常じゃなく若返った姿で。
見た感じ、15歳ぐらいだろうか?
噂が噂を呼ぶ。
その噂は安倍家周辺の情報を集めている呪術師の『石鎚彰』の耳にも届いた。
ぼんやりしていて中々掴みどころがなかった『死者蘇生』
お伽噺の中の話なのか、それとも本当にあった話なのか・・・だが、竹内マツが生き返った事で『石鎚彰』は『死者蘇生』の存在を確信する。
彰が先ずしようとした事、それは『マツとの接触』だ。
マツの周辺から『死者蘇生』の情報を探ろうというのだ。
しかし、逆に『石鎚彰』の周辺を調査している者もいる。
岡山の安倍邸の警備を担当している陰陽師達だ。
陰陽師達は『石鎚彰』をマークしていたにも関わらず、結果的に邸宅からの逃走を逃がしている。
このまま呪術師を岡山から逃がしては陰陽師の威信に関わる。
岡山県内に大捜査網を敷き、倉敷市内で呪術師らしき男を突き止めた。
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彰が竹内家のタバコ家の前に来る。
マツはタバコ屋の店番をしながら『大岡越前』の再放送を見ている。
「やっぱり加藤豪は日本一の良い男だねえ」とか呟きながら。
ウメが魔法少女のマスコットキャラクターに『加藤豪』と名付けたのはマツの影響なのだ。
ウメにとっての『一番目の良い男』は、豊で『二番目の良い男』は加藤豪で、『三番目の良い男』が中村吉右衛門らしい。
無茶苦茶渋い。
何で僕がその2人と肩を並べているのか謎だ。
そんな事はともかく、タバコ屋は夕方6時に営業終了する。
「店を閉めるのが早すぎないか?」と言われるかも知れない。
しかし今時、タバコ屋は店舗じゃやっていけない。
コンビニでも売られているし、タスポがあれば自販機でも手に入る。
タバコ屋の店先にばあちゃんが座っている理由なんて『ばあちゃんのボケ防止』のためだけだ。
若返った今のばあちゃんに『タバコ屋の店番』は必要なんだろうか?
竹内家の夕飯は早い。
タバコ屋の営業が終了したあと、すぐに夕飯が始まる。
それで夜7時には食事が終わる。
大体普段通りだ。
7時前ぐらいから新聞屋にホームステイしているアンナとシンシアが竹内家に訪れる。
何やら2人とも乗り気ではない模様。
英雄に頼まれて来たらしい。
「惚れた弱味」とでも言うのか、アンナもシンシアも英雄に頭を下げられると『No』とは言えない。
『加藤豪』を抱えたウメとアンナとシンシアがばあちゃんの部屋に入って行く。
珍しい取り合わせだ。
まあ、女同士でなにやら話があるのかも知れない。
邪魔するのは野暮というモノだ。
ばあちゃんの部屋は襖張りだ。
密閉性という者がない。
だから聞こうとは思っていなくても僕の部屋に声が所々漏れてくる。
『魔法少女』『変身』『ドリームファイブ』『掛け声』『CD、DVD』という単語が聞こえて来る。
なにやらアンナとシンシアは異世界語で文句を言っているようだ。
要約すると・・・
アンナ「聞いてないよ!?」
ウメ「言ってないもん」
シンシア「何で『恐怖の魔王』が地球を守る『魔法少女』なのよ!?」
ウメ「何でだろうね?」
といったところか。
どうやらウメが前に言っていた『魔法少女ごっこ』を4人で始めるみたいだ。
皆様、ウメをよろしくお願いします。
遊んでやって下さい。
しばらく静かになったと思いきや隣の部屋から『CD!、DVD!』と口々に女の子達が叫び出した。
何だ、何だ!?
気でも狂ったのか!?
僕はばあちゃんの部屋の襖を勢い良く開けた。
「一体どうしたの!?」と。
そこには可愛らしい、魔法少女にコスプレした面々の姿が・・・。
ウメやアンナやシンシアのコスプレ姿が様になっているのはわかる。
見た目が悪くない女の子だもんね。
しかしばあちゃんのコスプレ姿が可愛らしいのが複雑だ。
いっつも和服に割烹着のクセに。
何でもさっきのは『変身の時の掛け声』だそうだ。
そんなモン必要性かな?
コスプレしたアンナやシンシアは不思議そうに両掌をしげしげと眺めている。
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~アンナ視点~
「・・・何コレ!?」
訳のわからない掛け声を上げさせられた後、私達はいつの間にか、奇っ怪な服に着替えていた。
何者かに早着替えさせられた事も驚くべき事だ。
でもそんな事よりこの奇っ怪な服を着た時に体の中に漲る魔力は一体何だろう?
元々、私やシンシアには魔力が備えられている。
でもこの衣装を着た時、私は元々の魔力に何倍ものブーストがかかったように感じた。
どうやらシンシアも同じ事を感じている様子。
ウメは何を考えているのか全くわからない。
そもそも敵なのか、味方なのか・・・。
ウメは手に持ったバトンをクルクルと回している。
しかしあんまり上手じゃない。
あ、バトンを落とした。
「何してるの?」と私はウメに聞く。
「魔法少女はバトンをクルクル回すモノなんだよ!」とウメ。
『魔法少女』?何それ?
意味がわからない。
「キミら全員が魔法少女って事で良いのかな?」と白い小動物が日本語で喋る。
あ、知らなかった。
日本じゃ小動物は喋るんだ。
犬も猫もウサギも喋らないモノだと思ってた。
しかし『小動物に進路を決められる』という事実にムカついた。
惚れた勇者について日本へ来た。
しかしこれからどうすれば良いだろうか?
私は何になれば良いだろうか?
小動物「魔法少女になろうよ!」
「うるさい、黙れ。
指図するな!
串焼きにされたいか!」
日本語は得意じゃない。
イラつきもあって、少し角が立つ言い方だったかな?
「ヒッ!」小動物はウメの足の後ろに隠れる。
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~マツ視点~
無茶苦茶体調が良い。
二十年ぶりに腰も膝も痛くない。
一昨年まで長生きしてた飼い犬の『柴三郎』より一回り小さな小動物をウメが連れている。
そういや『加藤豪』とかいうペットを飼い始めたんだっけ?
それはともかく、ウメの『魔法少女ごっこ』には付き合ってあげる予定だった。
「儂も魔法少女は元々嫌いじゃないし、身体が動くなら吝かじゃない。
でもこんな『畜生』に『魔法少女になれ』と命令されるのは面白くないねえ。
ちょっとばかり躾が必要かもねえ」とばあちゃん。
「ちょ、ちょっと待ってよ!
喋る小動物とか珍しくないの!?」と加藤豪。
「「「全然」」」とウメとアンナとシンシアが声を合わせる。
どうやら異世界で言葉を操る動物はゴマンといたらしい。
「向かいの山本さんが飼ってた九官鳥だって、言葉を話せたよ」とマツ。
マツは『加藤豪』の首根っこを捕まえると一昨日まで飼ってた犬『柴三郎』の首輪をつけた。
「今日はこのくらいで許してやろうかね。
でもあんまり生意気言ってたら容赦しないよ!」とマツ。
後で父親から聞いたが「母ちゃんは言う事は厳しいし恐ろしいけど、一度だって『柴三郎』を叩いてるのは見た事ない」と言っていた。
本当は動物に優しいのかも知れない。
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三人はあんまり日本語が上手じゃないし、ばあちゃんはあんまり多くを語らない。
豊がウメから聞いていたのは『加藤豪は喋る』と言う事だけだった。
「そりゃ喋るだろうよ」と僕。
「きっと小動物の『おしゃべり』って、ニャーニャー可愛らしく鳴いてるんだろうなー」と微笑ましいモノを僕は想像していた。
実際には憎たらしく暗躍しているんだが。
「じゃ、仲間探しに行ってくるなー」とマツ。
おい、その可愛らしい格好で行くのか!?
君ら、魔法少女のコスプレの姿なんだぞ?
いかん、異世界出身の三人は魔法少女の格好が『いかに恥ずかしいか?』が全くわかってない。
今まで和服の上に割烹着というお決まりの格好だった、ばあちゃんは『若者の格好』という常識がバグってる。
「若返ったんだから、このぐらいの格好じゃないとね」とばあちゃん。
まるで灰色のスウェットの上下で「駄菓子屋でキャベツ太郎買ってくるわ」くらいのラフさで魔法少女のコスプレで街に出ようとしている。
止めねば!
いや、止めちゃダメなのか!?
だって英雄に「あの子らに『ウメの魔法少女ごっこに付き合ってやってくれ』って頼んでおいて」と僕が頼んだんだよな?
おそらく2人は『魔法少女の格好が恥ずかしい』と気付いていないし、思っていない。
当然だ、異世界じゃ『ビキニアーマー』とか『エッチな水着』で街中を歩いている女性冒険者がゴロゴロいるんだから。
幸い魔法少女の格好は写真には写らない。
写真を撮っても激しいノイズで何の写真かはわからなくなってしまう。
テレビカメラも同様だ。
メディアに出る事もSNS で拡散される事もない。
ただ多くの人は彼女達を視認する。
「今日、街中で変なコスプレしてる女の子らを見たよ」とは噂になる。
タバコ屋から出掛けて行く彼女達を止められない僕は無力だ・・・。