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大地の系譜  作者: Melon
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26

 そして精霊術師の会合への出発当日。

 梗汰達は王都の門の前に居た。


「と言うか、ついて行く気満々のところ悪いのだけれど、あなたはお留守番よ。サイラちゃん」

「・・・・・・!」


 サイラは”なんで!”と言った顔をする。

 リュックサックの様な背負うタイプの鞄をパンパンに膨らませ、サイラは馬車の隣に立っている。

(本当に着いて来る気だったのね・・・・・・)


「で、でも!私が付いていかないとコータさんが何をしでかすかっ」

「っておい、子供かオレは」


 ズビシッ

 思わずサイラの頭にチョップをいれる。


「っきゃ、コータさん!背が縮んだらどうしてくれるんですか」

「乙女の頭にチョップとは感心しないぞ、コータ」

「・・・・・・う」


 ニーナが脇でニヤニヤしながら見ている。

 

「まぁ、それは置いといて。サイラよ、君が着いていくのは無理だろう」

「なんでですか?」

「これからコータが行くところは精霊術師の会合だからな、精霊術師以外は参加できないんじゃないか?」


 そう言ってニーナは確認するように瞳の方を見る。


「そうね、道中は一緒に居たとしても、目的地まで一緒に居ることは出来ないわ」

「そんなー」


 サイラは哀しそうな顔をして梗汰を見る。

 ・・・そんな目でオレを見ないでくれ、”もちろんいいよ!”っておもわず言いそうになる。

 甘いぞオレ、ここはきっぱりダメと言わないと!


「ごめんよサイラ、わるいけど今回は留守番を頼む」

「むー仕方ないですね、今回は諦めます」


 サイラも分かってくれたようだ。

 ん、サイラが両腕を伸ばしてる、なんだ?


「んー」

「?」

「んんー!」

「えーと、なに?」

「ん"-!!」


 サイラは相変わらず手を伸ばしてこっちを見ている。

 心なしか不機嫌オーラが出てる気がする。


「コータ、気付いてないのか?」


 ニーナが有り得ないといった表情で梗汰を見る。


「本当は気付いているんでしょ?」


 瞳もジト目で梗汰を見ている。


 ・・・・・・もちろん気付いておりますとも。でも、でもな!恥ずかしいだろ!


「恥ずかしいんだよ!ちょっとお前等向こう向いてろ!」

「それが人にお願いする態度なのか?コータ」

「ちゃんとお願いしなさいよ」

「・・・・・・向こうを向いていてください、お願いします」


 っく、こいつ等、いい性格してやがる。


「最初からそう言えばいいのよ」


 瞳とニーナは後ろを向いた。

 

「んーんー」

「分かったよサイラ」


 梗汰は両手を広げているサイラを向かい合う。梗汰はサイラの身長に合わせるように軽くしゃがみ、抱き合った。お互いの顔がすぐ横に見える距離だ。サイラが強く抱きついてくる。


「すぐに帰ってきてくださいね」

「うん、できるだけそうするよ」


 梗汰が離れようとすると一瞬だけ、また強く力がこめられた。

 このまま手を離したくない、そう思ってしまう。


「さぁサイラ、オレはもう行くよ。手を離しておくれ」

「・・・・・・仕方ないですね」


 サイラがゆっくりと梗汰の体から手を離した。


「うんうん、なかなか感動的だな」

「そうね、こう見ると本当の兄妹にしか見えないわ」

「え?」


 声のしたほうを向くと、瞳と目が合った。

 ・・・・・・え?

 後ろを向いていたはずの瞳とニーナは、二人揃って仲良くこっちを見ていた。

 え、なんでこっち見てるの?オレのお願いはどこに行っちゃったの?


「・・・・・・いつから見てた?というかなんで見てたの?」

「そんなの、最初から見てたに決まっている」

「最初は面白そうだったから見てたけど、なかなか感動的だったわ」

「・・・・・・そっすか」


 もうどうでもいいや・・・・・・このまま消え去りたい。

 

「そう落ち込まないの、そんな顔しているとサイラも悲しむわ」


 そうさせた本人が言わないでくれ・・・。

 しかし瞳の言うとおり悲しい顔をするわけにもいかないな。


「そうだな、オレの笑顔を披露するときがきたか」


 ニコッ

 どうだオレのスマイルは?


「・・・・・・きもい」

「変な顔です」

「正直それは無いわ」

「・・・・・・泣いていいかな」


 オレのライフはもう0ですよ・・・・・・、もう口撃(こうげき)しないでください。


「冗談よ、もう出発するからさっさと馬車に乗りなさい、荷物はそれだけね?」


 瞳は梗汰を馬車に乗るように促す。

 梗汰の持っている荷物は、鞄に入っている着替えと食料とルービックキューブ等。

 あまり大荷物にしたくなかったので鞄一つに纏めたのだ。


「準備は出来ているようね、今回は特別にアメリア様から通行証を発行してもらったから、王都への出入りに時間はとられないわ」

「それは良かった」


 瞳は馬車に乗り込む。

 馬車にはガラス窓がついており、そこから外の様子が見られるようになっている。


(というか、この馬車えらく豪華だな、馬もなんかレベルが高い気がする。と言うか普通の馬じゃねーぞコレ、オレの知らない何かだ・・・・・・角生えてるし)


 角の生えた馬のような何かにひかれている馬車には、梗汰と瞳、そして精霊術師の会合から派遣された御者の三人というメンバーが乗っている。

 梗汰も馬車に乗り込もうとすると、


「そうだ、コータこれを持っていけ」


 ニーナは布に包まれた物を梗汰に差し出してきた。

 なんだろ?


「なんだこれは?」

「それはな、私とサイラで今朝作った弁当だ。ありがたく食べるんだぞ」


 おぉ、そいつは嬉しい。


「ありがとうサイラ!嬉しいよ」

「いえいえー」


 ニーナの隣に立っているサイラの頭をぽんぽんと叩く。


「・・・・・・私も一緒に作ったんだが」

「あはは、冗談だよ。ニーナもありがとな」

「うむ」

「じゃあ行ってくるよ、またなー。サイラを頼んだぞニーナ」

「うむ、任された。またな」

「・・・・・・あ」


 梗汰が馬車に乗り込むと、サイラから悲しそうな声が上がった。

 うぅ・・・・・・別れとは辛いものだ。


 梗汰は窓から顔を出しニーナとサイラにむけて手を振る。

 サイラ達も手を振りかえしているのが見える。


「コータさーん、ちゃんと戻ってきてくださいよ」

「オレが戻るまでいい子にしてろよ~」

「では行ってくるわよ」


 瞳は反対側の窓から軽く手をひらひらさせている。


 そして二人が見守る中、馬車は動き出す。

 サイラは馬車が見えなくなるまで、その場で手を振っていた。




★


 門から出た馬車は、もう見えない。


「ふぅ、行ったか、ではサイラ、私達も戻るか」

「・・・・・・そうですね」


 サイラは寂しそうに言葉を返す。


「そう落ち込むな、今生の別れではないんだ。またすぐ会える。サイラも梗汰が行っている間は勉強を頑張るんだぞ」

「そうでした、ニーナさん教えてくださいね!」

「うむ、任せておけ」


 二人は話しながら王宮へと戻っていった。

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