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珍しい二人組み

バリアンとシンと別れるとトラリーはフレイとレオンと共に森を歩いていく。


無言のまま歩く2人と1匹。


あまりの空気に耐えられなくなったのかトラリーはとうとう口を開く。


トラリー「あ、あの!」


トラリーの言葉に振り向くフレイ。


フレイ「? どうしましたトラリー」


トラリー「ど、どうしてフレイ姉さんが僕と一緒に来てくれるのですか? 普段もそんなに話す事は無かったですし、てっきり避けているのかと・・・・・・」


トラリーはよく見ていたのだ。

フレイがムムと話す場面は何度か見たことがある。


だが、フレイが自分に話しかけてくることはほとんど記憶にない。

挨拶程度ならするが、会話は皆無である。

そのため、トラリーは自分がふに好かれていないのではないかと思っていたのだ。

その言葉にフレイは表情を変えず口を開いた。


フレイ「すみませんトラリー。あなたにそんな思いをさせていたのですね。正直に言うと、私はあまり男性と話す事に慣れていません。

リリアの様に交友的でも無ければレイラの様に誰でも分け隔てなく会話する事もできません。そして、トラリーとは気付けば姉弟の関係になっていました。まともに話さないまま姉弟となり私はどうしたら良いのかずっと考えていました。

ですが、トラリーは挨拶だけするとすぐに私から離れていました。私もてっきり嫌われているのかと思っていましたよ。

だから、今回トラリーが魔物を退治しに行くと言った時は好機だと思いました。トラリーと2人で話す機会にあり付けると。

私が貴方と来た理由はそれだけなんですよ」


フレイの言葉に驚くトラリー。

確かに自分もフレイを避けていた節がある。

そう考えると何だか可笑しくなってきた。

互いに嫌われていると思い自然と避け、話す機会を失っているのだから。


先程まで気まずい空気であったこの空間は一気に晴れ、トラリーは自然の空気を思い切り吸った。




トラリー「すーーーはあーーー。フレイ姉さん、僕は家族の皆が大好きです!大切な妹に尊敬すべき父上、そして優しい母上にカッコイイシン兄さん。そして憧れであるリリア姉さんに

いつも見守ってくれるバリじい。そして、こんなにも僕の事を想ってくれていたフレイ姉さんが大好きです!」


突然のトラリーの言葉に目を見開くフレイ。

しばらくすると、フレイは笑顔となり、トラリーに口を開く。


フレイ「私も家族が大好きですよ。そして、あなたの事もです。私を皆と同じように大好きと言ってくれたトラリーが大好きですよ。私の大切な弟」


フレイはそのままトラリーを抱き締めた。

今度はトラリーが驚き顔を真っ赤にしていた。


フレイから香るとてもいい香りと、まるで自然に包まれているかのように錯覚してしまう抱擁。

なんだか、トラリーはとても安堵していた。




フレイ「ねぇトラリー。良かったら手を繋いで行きましょうか」


そう言うとフレイはトラリーに手を差し出してきた。

色々と恥ずかしくはあるが、フレイと仲良くなれる事が嬉しかったトラリーは素直にフレイの手を握った。




そんな2人の様子をレオンも後ろから見守るように見つめていた。


そうして道中は打って変わったかのようにトラリーはフレイと

たくさんお話をした。


トラリー「それでですね!僕は剣に魔法を付与する事を覚えたんです! そうすれば斬撃と魔法の融合技で威力が2倍になるとリリア姉さんから教わりました!」


嬉しそうにそう話すトラリーにフレイも笑顔でしっかりと聞いていた。


フレイ「それは凄いですね! トラリーの歳でそこまで出来るのなら将来は有望ですよ」


フレイに褒められ顔が綻ぶトラリー。

ちなみに、フレイの魔法センスは幼少期より素晴らしく、トラリーの年齢よりも前にその技は覚えていた。


だが、ここでその事を言うのは吝かである。


フレイはトラリーの話をよく聞き笑顔で答えていく。

すると、トラリーも話すのが楽しくなってきたのかどんどんフレイに話していく。


トラリー「そういえば魔法操作能力はフレイ姉さんが四魔将1と聞きました! 良かったら僕にも教えて頂けませんか?」


今後の交流を深める切っ掛けを作ろうとするトラリー。

そして、当然フレイも、


フレイ「もちろんです。 トラリーならもっと強い魔法を撃てるようになりますよ! 一緒に頑張りましょうね!」


フレイの言葉に頷くトラリー。

こうして楽しく会話をしていると、突如前方にいたレオンが立ち止まり唸り声をあげる。


レオンの索敵能力は大したものである。

何せ、フレイよりも先に気づいたのだから。

これだけでもレオンの成長が知れるというものである。


レオンの唸り声でフレイとトラリーはそれぞれ正面へと構えた。


木々を薙ぎ倒してやってきた怪物はゴリラに角が生えた様な魔物であった。


トラリーは将来両親と同じ冒険者になりたいと思い、魔物図鑑なるものは全て読破している。

しかし、目の前にいる魔物は見たことがなかった。

そして、フレイはというとその魔物を見て驚いた表情をしている。


フレイ「あれはヘルコング・・・・・・トラリー、ヘルコングの右手に握られているワニの頭がありますね? あれは人間界にも極たまに出ると言われているS級の魔物です」


トラリーはフレイの指差す方を見ると確かにワニの頭が握られていた。

それも、本でも見た事のあるS級の魔物だ。


つまり、このヘルコングなるものはS級以上の力をゆうに超えているという事。


トラリーは気を引き締めて挑むのであった。

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