トラリーのやる気
レヴィアタンにこの島の話を聞いた後、そのまま皆で島へと上陸する。
手前は砂浜があり、その奥は草原となり森へと繋がる。
その為、万が一魔物が森から飛び出してきても備える猶予は
多分にある。
そして、ゼノン達がいる限り魔物が近付くことは不可能なのだ。
何せ、この島で一番危険な生き物は紛れもなくゼノンなのだから。
魔物を全滅する話も出たのだが、そうするとこの島が人間界に占拠される恐れがあった。
そうなっては家族団欒で過ごすことは不可能となる。
それに人間界もこの島を100年近く閉鎖し諦めているとの事だ。
それなら、このまま過ごした方がいいという結果になった。
もちろん向かって来るものは返り討ちにする。
特にムム、トラリー、フィル、ファル、レイラは1人で森へ行かないよう厳重注意した。
島へと上がるとまさにオアシスの様な島であった。
ヤシの木にはココナッツが実っており、魔物ではなく普通の
動物も住んでいる。
そして何よりがんぜんに広がるオーシャンビュー。
魔物が居なければ完璧なオアシスであった。
砂浜を歩き草原に出るとゼノンは1つの事を思い立つ。
ゼノン「ふむ。ここに家を建てるか。そして、スライムやフェンリルそれにフェニックス、ミノタウルスを連れて来るとしよう。」
ゼノンの言葉に皆が大賛成する。
特にシンは久しぶりにイヴに会えることを喜んでいるようだ。
このなら人間が来る恐れも無く、そしてレオン達も強い魔物達と戦える。
早速ゼノンは魔法を使い、木を倒し複製魔法を掛けあっという間にログハウスを建てて見せた。
あまりの速さて出来上がる家に何度観ても驚く家族達。
そしてある程度家が完成するとゼノンは、転移魔法を使い
ペット達を連れて来る。
久しぶりの再開とあって皆が喜んでいた。
そして驚くことが一つあった。
ライムは変わらないがレオン、イヴ、ミノは大きく成長していたのだ。
レオンは以前はライオン程の大きさであったが、今では二回りほど大きくなっており、3人は乗れそうだ。
そして、イヴも大きくなっており、今では一人なら乗せて飛べる程である。
最後にミノだが、彼は進化を遂げていた。
ミノタウルスの進化はゼノンでさえ聞いたことがなかった。
エンペラーミノタウルス。
その名に相応しく、力は以前とは比べ物にならずミノタウルス10匹分の力を持っていると思われる。
みんなの成長を感心するゼノン。
これならこの島でも通用するだろうと思考した。
この3匹は既にS級以上の力を持っているのだから。
だが、狩りの時は念の為3匹で行動する様に伝える。
一先ず海に入る事が先決であるが、それよりも優先すべき事が一つあった。
ゼノン達の居る所から500mの距離に魔物が3体居るのだ。
近くの魔物は殺っておかなければ、いつ奇襲してくるか分からない。
そこで、ゼノンは魔物を退治しに行こうとするとシンやバリアンが止めた。
シン「父上が行くまでもありません。俺が行きましょう」
バリアン「そうじゃそうじゃ! ゼノン様はここで子供達と遊んで待っていてくだされ!」
ゼノンは2人の力なら余裕だと理解していた為、2人の言葉に甘える事にした。
するとトラリーも手を挙げていたのだ。
トラリー「ち、父上! 僕も行ってもよろしいでしょうか?!
決して油断も過信も致しません! 無理と分かれば直ぐに引き上げます!」
ゼノンはしばらく思考する。
すると、隣からメフィが声を掛けてきた。
メフィ「ねぇゼノン、いいんじゃない? トラリーが自分から強くなる事を望んでいるんだもん。もちろん護衛は1人つけた方がいいと思うわ。危険のない程度ならいいんじゃないの?」
メフィの言葉に頷くゼノン。
ゼノンはトラリーのことをまだ子供だと思い過保護になり過ぎていたのかもしれない。
これでは、トラリーの成長を妨げることとなる。
ゼノンはトラリーに向き直り肩に手を置く。
ゼノン「無理だと分かれば直ぐに引け。良いな」
ゼノンの言葉に力強く頷くトラリー。
続けてゼノンは、
ゼノン「敵は3体居る。それぞれが北、北東、北西に居るが誰が何処へ向かう?」
シンとバリアンは確定だ。
すると1人手を挙げているものが居た。
ゼノン「ふむ。フレイ、頼めるか?」
そう。フレイである。
普段はあまり戦う事をせず、リリアが手を挙げるものだと思っていた。
しかし、リリアはムムが心配のようでムムから離れようとはしなかった。
そんなリリアに気付いたのかフレイが手を挙げたのだ。
フレイ「私が行きますよお父様。トラリーと私が行っても構いませんか?」
その言葉に驚くトラリー。
四魔将の内、リリア、シン、バリアンとはよく話すがフレイとは
あまり話す機会がないのだ。
そして、2人で居ることだって今までは1度もなかった。
魔物の討伐もそうだがトラリーはフレイとの2人の空間に耐えられるかも不安になる。
フレイの提案により、トラリーとフレイは2人で行く事となり、
シンとバリアンはそれぞれ、別の魔物退治をする事となった。
他の者達は、先に海で遊ばせてもらうことにした。
そして、討伐組の4人は出発する。
トラリーについては不安があったが、フレイが共に行くということもあり、安心して送り出すことが出来た。
さらに、3組にはそれぞれペット達も付いて行く事となったのだ。
バリアンにはミノが、シンにはイヴが、そしてトラリーとフレイにはレオンが付いて行くことになった。
ペット達にもこの島の魔物の強さを把握するためである。
こうして無人島最初の魔物討伐戦が始まるのであった。
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