無人島への出発
留守のことは執事長であるハドソンと門番兵長であるザックスに任せた。
ハドソンの機転とザックスの武力があれば、並大抵の事は太刀打ちできる。
その為、ゼノン達は安心して家を空ける事が出来るのだ。
海岸まではいつも通りゼノンの転移魔法で一気に飛んでいく。
周りには誰も人が居ないため、バレることもない。
そして、海に着くとトラリーとムムそしてフィルは目をキラキラと輝かせながらも驚いていた。
初めて見る海の大きさに圧倒されているのだ。
どこまでも続く水の多さに感動と衝撃が入り交じった感情になる3人。
ムム「すごーーーい!!! これが海なんだね!!!」
トラリー「僕も本の世界でしか見たことがないけどこれは本当に綺麗だねムム!」
フィル「海はすごい!です! とても綺麗!です!」
子供達3人組の反応は上々である。
そしてここからが楽しい楽しいアトラクションの時間である。
レビル「ほな行くでー!!!」
そう言って海に飛び込むレビル。
すると瞬く間にレヴィアタンの姿へと変わった。
初めて見るレビルの真の姿にムム等、子供達だけでなく大人達も驚愕していた。
何百mもあろうその全長に恐ろしい顔。
こんな恐ろしい海の皇帝に勝ったゼノンはもっと恐ろしいと思う
トラリーであった。
レヴィアタン「ほな皆乗ってくれまっかー!」
レヴィアタンが海岸に近寄り、皆をその背中に乗せる。
ここからはレヴィアタンによる水上タクシーで無人島へと目指すのだ。
あまりスピードを出すとトラリーやムム、フィル達は落っこちてしまう為、ゆっくりと泳いで向かうレヴィアタン。
実に子供思いの良い奴である。
そんなレヴィアタンの背中から海面を見ると小さな魚や大きな魚等
多種多様な海の生物が見えていた。
ムム「すごーい!!! 生きてるお魚さん初めて見た!!!」
リリア「そっか! 言われてみれば魚を見る時はもう料理されてるもんね!」
トラリー「この魚達もその内人間の手に捕まり、食べられていくんだ・・・・・・弱肉強食」
シン「陸に限らず海や空も弱肉強食で成り立っているのだ」
バリアン「おっ! あの魚は美味そうじゃのう!」
レイラ「絶対落ちてはダメですからね!」
フレイ「そうですよバリアン。絶対に弟達の前で魚を殺すのは辞めてくださいね」
二人の警告を受け渋々諦めるバリアン。
シリュウ「ですか、命を頂くという意味では目の前で殺生し食べる事もまた一興。子供達は感謝の念を抱くでしょう」
メフィ「そんな事よりムム見て! エンジェルドルフィンよ!
もしエンジェルドルフィンを目にしたら幸運がもたらされる言う
とても素敵な魔物よ!」
メフィに言われムムや他のもの達もメフィの指さす方を覗く。
すると、エンジェルドルフィンはレヴィアタンと並走する様に何頭も泳いでいた。
その名に相応しく、美しくキュートな魔物であった。
エンジェルドルフィンの出迎えにより興奮する一同。
恐らく、レヴィアタンが人間には聞こえない超音波で呼んだのだろうと予測するゼノン。
ゼノンはレヴィアタンの顔の近くまで歩くと小さく呟いた。
ゼノン「悪いなレビル。気を遣わせてしまったようだ。だが、おかげで子供達は興奮している。助かったぞ」
レビルにお礼を述べると、レビルは照れくさくなったのか話をはぐらかしていた。
そんなこんなで少しばかり海を渡っていると遠くの方に島が見えてきた。
レヴィアタン「もうじき着くで! あれが無人島や! そして海を見てみぃ!」
みんなは再びレビルの言う通り海面を見る。
すると、
ムム「すごいッ!!! 海の下まで見えるよ!」
トラリー「本当だ! すごい鮮度だ! 海底にいる生き物まで見えちゃうよ!」
フィル「なんで急に綺麗になったんだ?です!」
子供組が疑問に思っているとその答えは海の皇帝であるレヴィアタンが自慢げに教えてくれた。
レヴィアタン「海には微生物がたくさん居ってな! そいつらが少ない海ほど綺麗になるらしいんや! その分海の栄養は少ないんや! せやから、ここいらはあまり魚が居らんやろ? 海が綺麗なのも善し悪し言う事や!」
レヴィアタンの言葉に皆が感心する。
ゼノンでさえも知らない知識であった。
やはり海の皇帝の異名は伊達ではない。
島の全貌が見える位置まで来ると、島の大きさは5キロ平方メートルであった。
そんなに大きな島ではなく迷子になる事もなさそうである。
そしてゼノンやシンなどの実力者達はあることに気付く。
最初に気付いたのはゼノンであった。
ゼノン「ふむ。確かに無人島ではあるが魔物はいるな。それも
相当の強者達が」
その言葉にレヴィアタンはにやける。
やはり最初からわかっていたのだ。
レヴィアタン「この距離で分かるとは流石でんなゼノンはん!
この島は確かにワイの見た中で断トツ美しい海の見える島や。
せやけどこの島が開拓されることは無かった。それは何故か。
島の魔物達が強すぎるからや。過去に先遣隊であるS級冒険者が
偵察に来たらしいんやけど結果は全滅。50人近くの名のある冒険者がS級冒険者と共に死んだんや」
その言葉に驚愕するレイラやトラリー。
S級冒険者と言えば人間界最強の者たちだ。
そのS級率いる部隊が全滅。
そして、ゼノンでさえも強者と呼ぶ魔物達。
レヴィアタンは、とんでもない所へ連れて来たようだ。
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