海のお喋り
真っ直ぐ連なる氷の道をひたすら歩き続けるゼノンとメフィ。
飛んで行く事も考えたが、ここは人間らしく魔法を使い歩いて行くと決めた2人。
当たり前だが、辺りは海しかない。
聞こえるのは波の音のみ。
そんな中、メフィはゼノンの腕に急にしがみついた。
メフィ「ゼーノン♪ こうして2人きりになれるのも久しぶりね! これが任務じゃなくて普通のデートなら尚幸せなんだけどなぁ」
メフィは少しいじけた様な表情でそう話す。
ゼノン「ん? 確かにそうだな。子供達にばかり目がいっていたな。すまない」
突如謝るゼノンに慌ててメフィは否定する。
メフィ「ち、違うよゼノン! 子供達の事は私も大好きよ?
一緒にいるのも楽しいし、毎日が幸せなの! でもね、一つワガママ言ってもいいかな?」
目をふせながらそう話すメフィ。
ゼノン「どうした?」
ゼノンに上目遣いで口を開くメフィ。
メフィ「あのね、私にも構って欲しいなって・・・・・・たまにでいいの。ゼノンと2人だけの時間も欲しいなって思うの・・・・・・
ごめんね! やっぱり今のなッ!!!?・・・・・・し・・・・・・」
メフィが話している途中で突如抱き締めるゼノン。
笑って誤魔化そうとしていたが、目には涙を浮かべていた。
それに気づかない程、ゼノンは鈍感な男では無い。
メフィは急に抱き締められた事に驚いていた。
いつも、触れる事さえしないゼノン。
いつも触れるのはメフィからである。
愛の営みだって子供達が居るのもあるが、旅館に行ったっきりである。
だから、メフィはゼノンの行動に驚愕していた。
メフィ「ゼ、ゼノン?! 急にどうしたの?!」
ゼノン「すまなかったなメフィ。私は子供にばかり、目がいって
おり一番大切な者を傷付けていた。本来ならお前との時間をもっと作るべきであった。すまない。これは言い訳になるが、私は誰かを好きになるというのが初めてなのだ。当然デートなんてものもした事がない。デートを考える頭もない。いや、考えようとしていなかっただけだな・・・・・・メフィ、この任務が終わり落ち着いた時、お前の時間を私にくれないだろうか?」
ゼノンの言葉に涙を流すメフィ。
子供で大変なのに、こんなワガママを言ったら嫌われると思い
ずっと心の中で伏せていた。
でも、ゼノンは寧ろ謝ってくれた。
そんなゼノンの優しさにメフィは涙が溢れる。
メフィ「あ、ありがとうゼノン・・・・・・本当に大好きよ」
涙ながらに笑顔でそう話すメフィの顎を上げるゼノン。
ゼノン「私もメフィを愛している。」
そう言うとゼノンはそのままメフィと唇を重ねた。
海の中心で2人だけの空間。
いや、もう1人見ているものが居た。
「いやー、泣けますなぁ、これが愛の結末でんなー。ハッピーエンドでワイもハッピーやで」
突如聞こえる訛った言葉。
メフィは慌てて周りを見渡すも当然ながら誰も居ない。
不思議に思いゼノンの方を見ると、
ゼノン「盗み見とはいい度胸だ。もう一度懲らしめてくれようか」
ゼノンは海に向かってそう話すとメフィもゼノンの見る方へ目を移す。
すると、海面には巨大な蛇のような竜の様な顔が浮かんでいた。
メフィ「きゃぁッ!!!」
そう、彼こそが三大恐慌が一柱、海の皇帝である。
体は青と紫、そして白が基調とされ体長は何十m、いや何百mは
ありそうであった。
レヴィアタン「それは堪忍やー。せっかく久しぶりにゼノンはんが来てくれたさかいに迎えに来ただけですやん!そしたら、丁度いい雰囲気になってしもうたから、思わず見惚れていたんですわ。
それにしても、ほんま久しぶりですやんなゼノンはん!
隣のべっぴんさんはもしかして・・・・・・」
驚くメフィをそっちのけでマシンガントークを続けるレヴィアタン。
まさか、三大恐慌がこんなにもフレンドリーだとは思わなかった為、メフィは度肝を抜かれていたのだ。
ゼノン「私もお前の気配に気付けぬとはな・・・・・・それで何しに来た」
メフィの事で頭がいっぱいとなり、注意散漫していたゼノン。
そんなゼノンに思わず吹きそうになるレヴィアタンであったが、
ゼノンの最後の言葉にハッとなる。
レヴィアタン「ゼノンはん、それは恋は盲目っちゅうやつでんな! あのゼノンはんが・・・・・・うひゃひゃひゃひゃ!!!
そうそう、なんで来たかと言いますとな、何やら海の上で見知った顔を見つけて飛んできんですやん! ってちゃうわ! それはこっちのセリフでまんねん! なんで、ゼノンはんがこないな場所におるんですかいな!」
一人でボケ、一人でツッコムレヴィアタン。
そんなレヴィアタンの言葉にゼノンもハッとなる。
ゼノン「ん? そうであった。実はだな---かくかくしかじかな事があってだな」
事の経緯をレヴィアタンに話すゼノン。
真剣な顔で聞くレヴィアタンであったが、ゼノンが話終わると
レヴィアタン「なんだそんなことですかい! それなら、もう、
一発やり返したからなんとも思ってませんやん! やる気ならとっくに滅ぼしてまんねん! いや、ゼノンはんがいる限りそれは無理でんな。なんならあの女にまで敵対されまんねん。それに、ワイは争いは好きませんて。向こうが手を出さない限り、ワイは手を出しませんよゼノンはん」
そう口にするレヴィアタンに頷くゼノン。
ゼノンもレヴィアタンがこういう性格である為、大丈夫だろうとは思っていたが念の為に伝えておいた。
一先ず今回の件が無事解決するとレヴィアタンは次なる質問を繰り出してきた。
レヴィアタン「そいでゼノンはん? 隣のべっぴんさんは誰でしょか? 愛のチッスをしているところを見ると、ゼノンはんの大切な人とお見受けしまんねんけど?」
ゼノン「うむ。私の愛する嫁だ」
なんの躊躇も無く発するゼノン。
これにはメフィも、そして自分から聞いたレヴィアタンまで
恥ずかしくなっていた。
レヴィアタン「ゼ、ゼノンはん!!! コッチが恥ずかしくなってまうわ!!! もっとオブラートに言わんかい!!! でもそうか、あのゼノンはんもとうとう妻を娶ったんでんな・・・・・・世も末やなぁ」
何故か思いに耽けるレヴィアタン。
こうして、レヴィアタンの質問攻めが始まるのであった。
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