大将同士の想い
トラリーの活躍により、五分の戦いからブルーノース学校の優勢へと変わった。
トラリーは最初の1人を倒すとそのまま次なる敵へと駆ける。
ミネロヴァはそんなトラリーの存在をアグレシアを相手にしながら横目で見ていた。
ミネロヴァ「あの男はもしかするとアグレシアよりも危険かもしれない。なら、尚の事早くアグレシアをやらないと。」
この戦いは大将であるアグレシアをやるか、アグレシアの後方にある旗を取れば勝ちである。
だが、旗は最早敵の増援により守りは固められてしまった。
なら狙いはひとつ。
アグレシアを倒す事。
ミネロヴァ「もう出し惜しみなんてしてられない。
水龍の滝」
ミネロヴァの持つ最強の技。
水魔法最上位魔法の1つ。
5匹もの巨大な水の龍が空高く舞い上がると、敵目掛けて一気に降り注ぐ。
アグレシアの前方一面に水の壁ができ、避ける事は不可能。
やることはひとつ。
何としてもこの攻撃を防ぐのだ。
アグレシア「皆私の後ろへ!不滅の嵐障壁!」
風魔法の最上位防御魔法の1つ、不滅の嵐障壁。
自身の前方広範囲に巨大な竜巻を巻き起こす。
防御魔法でありながら攻撃魔法でもある、この技は
アグレシアの最強の魔法である。
アグレシアの放つ竜巻の壁にミネロヴァの水龍達が衝突する。
どちらも譲らず均衡していた。
ミネロヴァ「お父様の見てる前で負けられない。
行けッ水龍!!!」
初めて感情を露わにするミネロヴァ。
教皇である父の前で無様な姿は見せられない。
去年は負けたが今年こそは勝つ。
それが教皇である父との約束だから。
アグレシア「私だって皆の期待を背負っているのです。
負けられません! 風よ舞えッ!!!」
普段は温厚なアグレシアでさえも高揚しており、声高らかに叫ぶ。
2人の技の威力はどんどん高まる。
それほど、2人は魔力を注入しているのだ。
30秒ほど衝突しただろうか。
「ドオォンッ!!!!!!!!!」
2人の技は相殺した。
威力も質も同格であったが為に相殺。
当たりを水飛沫が風に乗って舞う。
互いに次なる技を繰り出そうとしたその時!
「ブーーー。ブルーノース学校 シン選手が旗を取った為、試合終了てなります。ブルーノース学校の勝利!」
ブルーノース学校の生徒達が歓喜する。
称え合い抱きしめ合い、勝利の味を噛み締める。
中には嬉しくて泣いてるものもいた。
それほど、薬を使用したレッドサウス学校との戦いは熾烈を極めていた。
この勝利は攻めのシンとリリア。そして、守りのカルロスとパウロのおかげで勝てた。
アグレシアは4人に感謝の言葉を述べる。
アグレシア「シンさん、リリアさん。あなた方が立ちはだかる敵を倒し、旗を取ってくれた為勝つ事ができました。
もう少し遅ければ負けていたかもしれません。
本当にありがとうございます。
そして、カルロスとパウロ。あなた方が時間を稼ぎ敵を防いでくれたおかげで守りきる事ができました。
本当にありがとうございます。
そして、共に戦ってくれた皆! この中で1人でも欠けていたなら勝負の行方は分からなかったでしょう。
本当にみなさんありがとうございました!」
アグレシアは大きな声で大将として皆に礼を言う。
すると拍手が鳴り響き、歓声が湧く。
ブルーノース学校が2連覇を成し遂げたのだ。
アグレシアはようやく優勝した事を実感すると思わず涙が溢れた。
4校親善試合の優勝は生徒達の1番の名誉であり、この試合が最後の試合であった。
そして、大将となり自分が皆を率いる立場での優勝だったのだ。
嬉しくて堪らない。
アグレシアの瞳には嬉し涙が溢れていた。
パウロ「会長・・・・・・やったね。大将という重圧の中本当に
ご苦労様」
カルロス「アグレシア、お前が大将で本当によかった。
皆を率いてくれて助かったぞ。ありがとう」
側近とも言える2人から労いの言葉を貰うとアグレシアは
笑顔で返した。
そして、3人で熱く抱擁を交わす。
ブルーノース学校の生徒達は勝利の味を噛み締めるのであった。
ブルーノース学校が歓喜している中、レッドサウス学校の生徒達は皆が俯いていた。
もちろん、大将であるミネロヴァも・・・・・・。
ミネロヴァ「また負けたの?・・・・・・私が最初から薬を飲んでいれば・・・・・・本当にごめんなさいお父様。勘当されても
おかしくないかもしれない。私のせいだもんね・・・・・・。」
ミネロヴァは教皇である父を恐れていた。
性格が厳しいのはもちろんだが、教育方針がスパルタなのだ。
暴言はもちろん、体罰も多々あった。
そして、恐らく家に帰れば暴力を振るわれるだろう。
だが、悪いのは自分だと腹を括るミネロヴァ。
ミネロヴァは覚悟する。
そんなどんよりした気持ちの中、1人の女が近寄ってくる。
アグレシア「ミネロヴァ、パウロがすぐにやられていたなら勝負はあなたが勝っていたでしょうね。」
ミネロヴァ「何を言っているの。最後の技は互いに相殺したじゃない。貴女よりも弱いとは思わないけど力は互角だったと思う。
おめでとう、アグレシア」
負けて悔しいながらも相手に賞賛を称える。
そして、互いに握手を交わしそれぞれが仲間の元へ去る。
こうして、1年に1度の大行事である4校親善試合は
ブルーノース学校の勝利で幕を閉じるのであった。
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