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炎獄のリリア

翌朝、食事を済ませると皆で早速外に出て、魔法の適性を調べた。



「まずはトラリーからだ。適性の審査プロピレイト・プロダクション



ゼノンがトラリーに魔法をかける。するとトラリーの身体は赤く光った。




「ふむ。お前は火の適性があるようだな」



トラリーに施したように、火なら赤く、水なら青く、風なら緑色に光り輝くのだ。


中には稀に金色や黒、銀色に光ることもある。



「火か・・・・・・カッコイイ!!!」



トラリーは自身の適正に喜んでいた。

どうやらお目当ての色だった様子。


トラリー同様に目を輝かせてる者がもう一名。



「ゼノン様ッ!!! 次はムムもッ!!!」



そう。ムムである。

トラリー以上に楽しみにしていたようだ。



「うむ。適性の審査プロピレイト・プロダクション



するとムムも光りだす。

それも美しく銀色に光り輝く。



「ほう。珍しいな。ムムよ、お前は聖属性だ」



魔族ではまず見ることが出来ず、人間界でも指で数える程しか

存在し無い、貴重な魔法だ。



「私が知る限りあの聖女くらいだな」



ゼノンも昔一度見た光を思い出す。


その言葉にムムとトラリーが目を見開き驚く。



「聖女?・・・・・・聖女様と同じなんだッ!!!」



「凄いねムム!!!」



聖女とは人間界に一人しか存在しない高貴なる存在。

その上に位置するのは国王や王族、教皇くらいのものだ。


そんな聖女と同じ属性なのだから喜ぶのも当然。

あんな辺鄙に住むムム達でさえ知っているくらいなのだから。



そんなこんなで二人の適性を調べると、突如ゼノンが何かを感知する。



「ふむ。皆、私の後ろにいろ」



いきなりのゼノンの警告に皆はすぐにゼノンの後ろに隠れる。

ゼノンが警戒するくらいだ。

余程の事態がせまっているのだとトラリーも警戒する。



静まり返り、皆で上を見上げる。



皆が警戒する中、案の定空から一人の女性が降ってきた。

そこに現れたのは・・・・・・





「リリアか」



「お久しぶりです! ゼノン様!!!」



ゼノンの配下である四魔将の一人 『炎獄のリリア』



真紅の様に綺麗な髪にスタイルのいい女性。

瞳も赤く、装備品も赤を基調とされている。


トラリーとムムの目は、そんなリリアへと釘付けとなっていた。

人間には見えないほどに美しい女性。



そんな二人は置いておき、ゼノンは再び口を開いた。



「うむ。どうしてここへ?」



「はい! 魔界は他の三名が監視しているから、ゼノン様の警護へと参りました!」



「ふむ。この様な辺鄙な地で警護など不要であるがな。それに、」



「わかっています! 世界最強と言われているゼノン様が遅れをとることなど皆無。しかし私共はそれでも、主の事が心配なのです! 今後は私もここに住みますのでよろしくお願いします!」



そこまで気遣ってくれるのならここで帰すのは野暮である。



「うむ。あい分かった」



そこへトラリーが恐る恐るといった感じで口を開いた。



「あ、あの!」




「ん?なーに? ってか人間?!」


人間がゼノンと共に居ることに驚愕するリリア。



「ゼノン様は偉い方なのですか?!」



先程からゼノンに対して敬語で話すリリア。

そしてゼノンの事を全く知らないトラリーは不思議に思っていた。





「えっ? 当たり前じゃないッ!!! ゼノン様は魔界最強の、いえ全世界最強の大魔王様よ!」



「えええぇぇぇぇッ?!!!!!! それじゃあやっぱりあの『ゼノン』様?!!!」


トラリーは驚愕する。



ゼノンと言う名は、全世界に知れ渡っており、それこそ本や劇にも登場するのだ。



『史上最強の大魔王 ゼノン』


この世界に住む者で知らない者など生まれたての赤子くらいのものだろう。


まさか自分を救ってくれた人がそんなに凄い人だとは思いもしなかった。



驚愕しているトラリーに更なる追い打ちをかけるリリア。



「ちなみに私はゼノン様配下の四魔将 炎獄のリリアよ!」



「えぇっ?!!!!!! あの炎獄のリリア様?!!! あなたも有名人ではないですか!!!!!!」



ゼノン程では無いにしろ、四魔将も魔王ゼノンに付き従う最強の配下として知れ渡っている。


炎獄のリリア 全ての火属性を極め、火を扱ったら右に出るものはいないとさえ言われている。



「あ、頭がおかしくなりそうです・・・・・・」



驚きの波状攻撃にトラリーは放心状態である。


ゼノンも自分の事を話さなかったため、うっかりしていた。



「ふむ。私の話はしていなかったな」




ムムはと言うとポカーンといった表情でゼノン達を見ていた。



「ゼノン様って本に出てくるゼノン様?」


「私は見た事がないが恐らくその様だな」


「すごーいッ!!! 本の人とお話してるんだ!!!!!!」



ムムはいまいち魔王というものを分かっていないが、違う視点から驚いている。


しかし、このムムの態度をよく思っていないものがいた。


リリアだ。



「なっ?!!! 人間!!! その口の利き方はなんだッ!!!」



ゼノンに対して馴れ馴れしい口調で話すムムにリリアは殺気を放つ。

最強の魔王であり、忠誠を尽くす御方。


そんな崇拝する相手に、人間の、、、しかも子供が舐めた口を開いた事に怒りを抑えられない。




リリアの殺気を喰らったムムはガクガク震える。

生まれて初めて受ける殺気。

大人でもリリアの殺気など受け入れるものはいないだろう。



そんな妹を不憫に思ったトラリーが間に割って入る。



「リ、リリア様ッ!!! すみません!!! 妹はまだ5歳でありマトモな教養も受けておりません!!! 何卒ご容赦を!!!」



必死にムムを庇うトラリー。

深深と頭を下げていた。



だが、尚もリリアの殺気が沈まることは無かった。



そんな二人の前に庇うように立ちリリアを見つめるゼノン。



「リリアよ。そなたの忠誠は嬉しく思う。だがな、この様な小さな女子おなごに殺気を放つのは些かやりすぎては無いか。私はムムの事など気にしておらぬ。これから少しずつ学んでいけばよかろう」


リリアはゼノンの言葉に直ぐに殺気を沈め慌てて膝を着く。


「は、はっ!!! 出過ぎた真似をしました!!! 申し訳ございません!!!」



「うむ。ムムよ、リリアも悪気は無かった。許してやってくれ」





ムムは半べそかいていた。

むしろ、よく意識を保っていたものだ。



するとリリアは立ち上がり、ムムの前へと行き腰を下ろす。



「済まなかった。怖い思いをさせてしまったな。ムムと言ったか? 良ければ私にもゼノン様と同じように接してはくれないだろうか?」



「う、うん! ムムもごめんなさい・・・・・・」



互いに謝り仲直りの握手を交わす。

リリアは握手の意味を分かっていなかったが、ムムが手を出した為それに釣られて手を握った。




「済まない。ムムはとても良い子だな。良ければ私の事は、姉と思って接してくれて構わない」



「お姉・・・・・・ちゃん?」



先程まで泣いていたムムが驚きの表情でリリアを見つめる。



「あぁ、嫌か?」



そんなリリアの顔は先程までとは違いとても優しい表情をしていた。



「んーん!!! 私お姉ちゃんが欲しかったの!!! リリアお姉ちゃんッ!!!」


ムムはリリアに抱き着いた。

さっきまでの光景が嘘のようにムムは、嬉し涙で喜んでいる。


突然の飛びつきにリリアも驚きはしたが、直ぐに微笑み

そのままムムを抱き抱える。



「アハハッ! 可愛い子だな!!! これからもよろしく頼むなムム!」


こうしてゼノン一家??はまた一人家族が増えていったのであった。

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