最終試合
ナレーター「それでは本日最後の試合。ブルーノース学校 対 レッドサウス学校の親善試合を始めます。試合開始!!!」
ナレーターの声で全員が配置につき進むべき道へと進む。
ブルーノース学校は終始同じ布陣であり、シンが中央、リリアが右翼、カルロスが左翼である。
昨年の経験からするとブルーノース学校の勝利は確実である。
何せ、昨年に加えてトラリーに、そして頼もしい1年生も入ったのだから。
去年よりも更に強くなったといえるだろう。
だが、ブルーノース学校は油断はしない。
全力でレッドサウス学校を倒しに行く。
中央にて。
シン「いいかトラリー、レッドサウス学校の奴らは今までの奴らとは比較にならないほど強い。先の戦いの倍は強いと思え。決して油断することなく戦うんだ。いいな?」
シンは改めて忠告する。
昨年もグリーンイースト学校とイエローウエスト学校は余裕で倒したものの、レッドサウス学校には少し手間取ったのだ。
もちろん、シンとリリアは余裕であったが他の生徒達は劣勢に立たされていた。
シンとリリアが居なければ余裕で負けていたのだ。
トラリー「はい!兄上! 僕は自分の力を過信すること無く
戦います!」
元気よくそして、強い眼差しで応えるトラリー。
そんなトラリーの表情にシンも安心していた。
シン「戦闘は俺が行く。キャメルとレムは俺の後に続け。
ララは残りの者を率いて後方より援護。その他、近接出来るものは魔法攻撃が始まったと同時に攻めたてろ。無理はするなよ3年生。」
シンの言葉に皆が頷く。
いつも騒いでいる3人の上級生も今は真面目になっている。
それ程気が抜けない相手なのだ。
その空気を3年達も肌に感じていた。
ジョッシュ「なんだか今までの2戦と空気が違うな」
メアリー「そうね。なんだか緊張してきた」
トラリー「大丈夫だよ2人とも。僕達には僕達の出来ることをやろう」
トラリーの言葉に頷く2人。
しばらく走ると奥の方に相手が見えてきた。
数は8人とこちらよりも少ない。
敵のリーダーはボルトと言いレッドサウス学校第2席の男だ。
ボルト「やっぱり中央はアイツ(シン)がいやがったか!
去年の借りは返させてもらうぜ!!! この薬でな!」
8人の生徒達は瓶に入った液体を口に入れる。
みるみると魔力は高まり、力が溢れそうであった。
ボルト「最高だぜッ! 行くぞおめぇら!!!」
全員が謎の瓶を飲み干す。
その瓶に入っていた液体は、禁忌薬である。
一時的に力が増すものの、人体に悪影響を及ぼす恐れのある違法薬である。
もちろん、一般の人間が手に入れる事など不可能である。
用意したのは教皇だ。
子供の行事に違法薬まで使わせて勝ちたいという貪欲な教皇。
違法薬は寿命が短くなったり、体に障害がでたりなどするのだ。
そんな薬を子供達に飲ませるのだから、教皇は完全にいかれている。
だが、生徒達は喜んでいた。
この薬を飲めば強くなる。それしか聞いていないため、デメリットを知らないのだ。
そのままボルト達レッドサウス学校の生徒達はシン達目掛けて突っ込んだ。
シンは既に違和感を覚えていた。
去年の戦いで戦った時よりも明らかにレベルが上がっていたのだ。
たった1年でここまで上がるわけが無い。
だとすると何か姑息な手を使ったに決まっている。
そこからのシンの指示は早かった。
シン「作戦を変更する。キャメル、レム、ララの3人で残りの9名を守れ。コイツらは俺がやる」
突然の作戦の変更。
だが、キャメル達もシンの意図に気付いた。
キャメル達から見てもレッドサウス学校の生徒達の脚力は異常であった。
何より、魔力量も急激に増えていたのだ。
キャメル「わ、わかりました! 2人とも! 皆を守るよ!」
レムとララは頷く。
ボルト「オラァッ!!!」
ボルトがシン目掛けて大剣を振りかざす。
「どごおおおんッ!!!」
スピードに乗ったまま振り下ろされたボルトの大剣。
あまりの威力に地が揺れる。
昨年ではありえない光景であった。
だが、シンもそれを難なく受け止める。
シン「おい貴様、遠目から見ていたが貴様らが飲んだ薬はなんだ? 恐らく違法薬だろう」
シンには心当たりがあった。
かつて人間と戦争を繰り広げていた頃に似た状況に見舞われた。
押せ押せだった魔王軍だったが、突如人間達の力が増したのだ。
その時はシンの活躍により勝利したが、魔王軍にも少なくない被害を出していたのだ。
ボルト「へへっ! なんの事か分からねぇな!!! おいテメェら!
残りの奴らもやっちまえ!!! ぶっ殺せッ!!!」
素直に認めることは無いようだ。
ボルトが味方に大声で指示を出す。
『ぶっ殺せ』。平和な街では、普段聞かないその言葉を、人間の
口から初めて聞いた3年生達は恐怖のあまり体が竦んでしまっていた。
ララ「キャメルやばいキャメルやばいキャメルやばい!!!
3年生戦意喪失3年生戦意喪失3年生戦意喪失」
ララの言葉にシンと共に前線で戦うキャメルが後ろを振り返ると
3年生は顔面蒼白となりブルブルと震えていた。
キャメルもレムも相手に押されている中、更に3人が戦えないとすると数も質もコチラが不利となってしまう。
質で押されているなら、せめて数では同じ土俵に立たなければいけない。
キャメル「3年生! 落ち着いて! この戦いで死ぬことは絶対にありえないから! ダメージは全部このブレスレットが蓄積されるの! だから、落ち着いて平常心よ! くっ!!!」
キャメルがなんとか3年生を落ち着かせようとするも、それを
敵が黙って見過ごしてくれる訳では無い。
キャメルも自分の相手で手一杯なのだ。
レム「キャメル! この状況は本当にまずいよ・・・・・・なんとか僕達だけでも目の前の敵を倒さないと!・・・・・・くっ!」
レムの言う通りであるが、レム自身も押されている。
なんとかこの状況を打開しなければ、レムの言う通り中央の戦いは負けてしまう。
焦るキャメルであったがどうすることも出来ない。
現に3年生達は未だに戦意喪失している。
ボルト「ガッハッハッ!!! シン!!! テメェの仲間は戦意喪失してるみてぇだぞ? 今回の勝負は貰ったぜ!!!・・・・・・ガハッ!!!!!!!!!」
先程までシンと鍔迫り合いをしていたボルトであったが
一瞬で腹部に強烈な胴を喰らってその場に蹲る。
違法薬を飲んだおかげか気絶することは無かったが、あまりのダメージ量にブレスレットの蓄積量は満タンとなり痺れて動けなくなってしまった。
そんな光景を周りのレッドサウス学校の生徒達も見ていたが、何が起きたのか理解出来ずにいる。
気付いたらボルトが倒れていたのだ。
シンは倒れたボルトを踏みにじる。
そして、固まっている他のレッドサウス学校の生徒達に持っている剣を突き付け、
シン「おい貴様ら・・・・・・俺の弟をぶっ殺すと言ったか?
俺の弟を恐怖に陥れたな?・・・・・・お前らが『死ね』」
怒り心頭のシン。
ここからシンによる殺戮ショーが始まるのであった。
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