親善試合開始
親善試合当日
会場は中心の王城近くにある大演習場。
国家の重鎮はもちろん、国王や教皇までもが閲覧する。
年に一度の大イベント。
見に来る人が多く数千人、下手したら数万もの観客がいる。
そんな中でムム達は親善試合を行うのだ。
会場はコロッセオのようになっており、周りには観客達がズラっと座って見下ろしている。
武器は刃の丸い者が配布され、それぞれがブレスレットを一つ
装備する。
これは一定の魔法を喰らうと痺れて動けなくなる仕組みだ。
つまり、魔法ダメージは人体に影響はなくブレスレットに蓄積される。
ムム達家族も演習場へと入る。
するとあまりの客の多さに圧倒されてしまうムムとトラリー。
「うわー!!! お客さんがたくさん!!! でもムム頑張る!」
「あわわわわ! 皆の前で恥かいたらどうしよう・・・・・・足引っ張ったらどうしよう・・・・・・」
ムムとは打って変わって緊張しまくりのトラリー。
そんなトラリーの頭にそっと手を置くシン。
「何も心配するな。お前達は俺が守る」
「そうよ! あなた達は後ろでお姉ちゃん達の勇姿を目に焼き付けときなさい♪」
シンとリリアの言葉に笑を零すトラリーとムム。
「私達も応援しているからな。怪我することなく終われる事を願っているぞ」
「そうよ! 勝ち負けも大事かもしれないけどあなた達の
無事が何よりも大切なことなの! だから、怪我しないでね!」
「精一杯応援するから頑張ってくださいね」
「トラリーとムムを傷付ける者がいようものなら・・・・・・いかんいかん。」
「私達も応援してますよ」
「ムムー! トラリー! ファイトだよー!!!」
「お母様が変装魔法を掛けてくれたおかげで私もこうして応援に来る事が出来ました!」
今回はゼノン一家総出で応援に来ている。
もちろん魔物であるライムやレオン達は留守番だ。
「それでは代表選手の皆様はこちらに集合してください!」
セレス校長の集合がかかると皆が集まる。
1学年3人の12学年。つまり36人が選手である。
この場に集まる者たちこそがブルーノース学校の代表である。
「昨年は2人の強力な生徒の力もあり、あなた達も力をつける事ができました。もちろん1位目指して頑張ってもらいます。ですが、一番大事なことは無事である事。
そして、何か一つでも学ぶ事です。
この親善試合を通して、皆が1段階上に上がれる事を願っていますよ。作戦会議は生徒会長であるアグレシアに任せます。では控え室で待機してください。」
「では皆さん参りましょう」
12年生であり生徒会長であるアグレシア。
シンとリリアが入るまでは彼女のワントップであった。
彼女は4校の中でも屈指の実力者であったがそれでもチーム戦であるが故に敗北を重ねていた。
転機が訪れたのは昨年。
シンとリリアが入ってきた年はとうとう1位に輝いた。
そして今年も3人が居る。
絶対に負ける訳にはいかない。
アグレシアは強い意志を持って挑む。
ブルーノース学校控え室
「1年生は初めての為、説明しますが、旗もしくは敵の大将を倒せば勝ちです。そして、試合は4校の総当たり戦です。
つまり3校と戦う為、3回戦います。
ちなみに今回の大将は私がやらせてもらいます。
そして、フィールドは毎回同じで、道は真ん中と左右の三路あります。真ん中はシンさん、右翼はリリアさん、左翼は12年次席のカルロスにお願いできますか?
36名居ますので9名ずつ配属します。
各学年の配属ですが中央に10.5.3年生、右翼に9.6.2 左翼に8.7.4、そして守りに1と12年3席のパウロと11年3席のソフィア。以上が配属となりますがどうでしょうか?」
攻めに10人ずつ均一に配置されていて何も問題は無いと思われる。
守りは6人だが抜かれなければいいだけの話。
それに大将であるアグレシアもいる。
しかし、ここでシンが一つ異議を唱える。
「中央は俺一人で十分だ。3年生も守りに入れてくれ」
皆が驚く。
確かに去年のシンの活躍を見ているが故に十分だとも感じてしまう。
低学年を気遣ってるかのような発言だが実際はトラリーを
心配しての発言だった。
「確かにシンさんの実力なら可能かもしれません。ですが、万が一という事もありますし・・・・・・」
シンの異議に困ってしまうアグレシア。
そんなアグレシアを見て助言を出すリリア。
「むしろ近くに置いた方が安全なんじゃない?」
その言葉を聞き確かにと、納得するシン。
自分が居る中央とリリアの居る右翼が抜かれる事はありえないが、万が一左翼が抜かれた場合はムムに危険が迫る。
それだけが唯一危惧するところであった。
しかし、そこでリリアは解決策を思い付く。
自分の近くに居させればいいんじゃんと!
「あの一つ配置換えをお願いしたいんだけど、1年と
2年を替えてくれないかな?」
皆が驚く。
普通1年生は1番後方で敵が来ても逃げるように言われている。
何故なら1年生はお試し参加だから。
それなのに1年生を前線に出すという。
しかし、言ってる相手が相手なだけに無下にはできない。
アグレシアは再び頭を悩ます事となる。
「安心して! この子達は私が必ず守る。傷1つ付けさせないわ」
リリアの強い意思に負け、アグレシアは妥協した。
「ではリリアさん。1年生の事は任せました。
セレス校長も言った通り怪我をしない事が1番です。
ですが勝利をめざして頑張りましょう! 我らは青き北の獅子!」
「「「「「「「おおおぉッ!!!!!!!!!」」」」」」」」
初戦はブルーノース学校 対 イエローウエスト学校である。
イエローウエスト学校は昨年4位であり、去年通りならまず負けることは無い。
だが、勝負に何があるか分からない。
その為、全員で油断せずにいく。
応援席
「なんだか自分が戦うよりも緊張しちゃうわね!
これが親目線ってやつなのね」
「全くだな。少し飲み物でも買ってくる。」
ゼノンはメフィにそう言いその場を後にする。
階段下にいたのは3人の信頼する仲間達。
「バリアン、シリュウ、不死の王よ警戒を怠るなよ。子供達を狙う輩が居たら捉えて吐き出させろ。
私も警戒するが数が多ければお前達にも協力してもらう」
「お任せあれ! 孫達に手を出す輩は捻り潰してくれる!!!」
「いやはや、バリアン殿、捻り潰しては情報を聞き出せませぬぞ?」
「まさか、肉体を与えて貰えるとは・・・・・・ゼノン様ならなんでもありですな! 久方ぶりに肌に感じる風。この恩に報いるため、必ずや捕らえてみせましょう。」
暗躍する者がどれ程の規模でいるか分からないため、今回は
不死の王にも協力してもらっている。
全ては子供達の為に!
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