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暗躍する大人達

〜校長室〜


「そうですか・・・・・・そのような事が。面倒かけてしまってすみません。ゼノン様から任されているというのにこの失態。後日ゼノン様にも謝罪しなければなりませんね」


「いえいえ。その必要はありません。私事なのでこんな事までゼノン様、いえお父様に言う必要はありませんよ。それに彼もきっと改心してくれるはずです」


校長とフレイは先日起こった出来事について話し合っていた。

フレイは助勤講師であると共に、セレスの目となり現場で起こった事をセレスに伝える任務もある。

これはセレスからの頼みで、自分の見えていない事も把握

しておきたいとの事だ。

校長である為、その仕事量は膨大である。


そんなセレスを助ける為、引いては弟や妹達の助けになればと思い、フレイは引き受けた。




「そう言って頂けると助かります。

本当ならフレイ先生に担任になって頂きたいくらいです」


「クリス先生も十分優秀ですよ? 今ではちゃんと生徒に真摯に向き合っていますし、人気も出てきています。

私はこのままでも十分ですよ」


「ゼノン様といいフレイ先生といい。とても良き人格者です。人間よりも余っ程。これからは、そのような事が起きないよう私も細心の注意をはらいます。この度は本当にすみませんでしたねフレイ先生」


フレイは全然気にしていなかった為、セレス校長を気遣い

校長室を後にした。




1年Sクラス。


演習場にて。


ルーガス先生「よぉし! 今日は魔玉逃マジックボールランアウェイ、略してマジランすっぞー!」


生徒達「やったーーー!!!!!!」


これは授業であり、遊びだ。

担任であるルーガスが出す無害の魔法の玉から10分間逃げる。

言わば鬼ごっこのようなものだ。

当たったものはその場で動けなくなる。


生徒たちに大人気の授業だ。




「10秒経ったら撃つからそれまでに逃げろよー!

ちなみに魔法で打ち消すのは無しだぞ? 自分の身体能力だけで逃げろよー!」


先生が10秒数えると皆が逃げ出す。


ムム、ミレディ、シンリーは意気込んでいた。


「今日も絶対逃げ切るんだから!」


「3人で絶対逃げ切りましょうね!」


「前回は私だけ捕まった・・・・・・今日は逃げる!」



10秒がたち先生の放ったマジックボールが飛んでくる。

無造作に追いかけるその玉は予測できず、皆がむしゃらに逃げる。


5分経つと半分に。

8分経つとムム、ミレディ、シンリーの3人だけとなる。




「またこの3人が残ったな? 前回は2人に逃げられたが今回は全員捕まえてやる!」


大人気ない先生である。

しかし、そんなルーガスであるが故にみんなから好かれているのだ。


速度を増すマジックボール。

だが3人も負けじと走り逃げる。


残り30秒!


「はぁ、はぁ、いけるよ2人とも!」


「は、はい!!! 頑張りましょう!」


「はぁ、はぁ、今日こそは!」


3人ともそれぞれ必死に逃げる。


しかし、10秒を切ったその時ミレディの叫び声が響き渡った・・・


「2人とも危ないッ!!!」


「えっ?」「あっ!」


逃げるのに必死のあまり、ムムとシンリーはいつの間にか接近していてぶつかってしまった。

勢いよくぶつかった為、2人とも吹き飛ぶ。


「ムムさん!!! シンリーさん!!!」


「おい大丈夫かお前達!!!」


2人は急いで駆け寄る。

シンリーは軽い擦り傷程度だが、ムムは頭を打ったためか気を失ってしまった。


2人を急いで保健室へ連れて行く。

シンリーは魔法で治してもらい、ムムも特に傷はなくそのうち目を覚ますとの事でベッドで寝かせてもらった。




30分後。

ムムは保健室のベッドで目を覚ます。

初めて入った部屋であり、ここがどこなのかわからなかった。


布団から起き上がると頭痛と目眩がした。


「うぅっ。そうだ。シンリーちゃんとぶつかっちゃったんだ・・・・・・シンリーちゃん大丈夫かな?」


その時の記憶がなくシンリーを気遣うムム。

そして、ムムの声に気付いたのか、ムムの眠るベッドのカーテンが開かれ1人の女性が入ってきた。


「ムムちゃん具合のほうはどうですか?」


「レイラお姉ちゃん?! どうしてここに?! ここはどこ?!」


いきなり現れたレイラに驚くムム。

トラリーやムム達にもレイラやフレイの事は内緒だったのだ。

メフィのイタズラ心である。


レ「ここは保健室と言って怪我をしたものを癒す場所ですよ! 私、ついこの間からここで働くことになったんです!

だから、いつでも遊びに来てくださいね! 後ここでは『先生』ですよ!」


笑いながらそう話すレイラ。


「わかったよ!レイラ先生!」


ムムの可愛さにキュンキュンしてしまうレイラ。


レイラの心の声(ちょっと可愛すぎますよムムちゃん! そんな笑顔で先生なんて呼ばれたら私・・・・・・)


あまりのムムの可愛さに逝ってしまったレイラ。


「あっ! 先生が今日は休んでいいからゆっくり体を休めてくれって言ってましたよ!

あと監督不届きで申し訳なかったって!

もう時期、各学校の親善試合もありますし無理しないでくださいね!」


「そうだ!!! もう少しだったね! 緊張するなー・・・・・・皆の足引っ張ったらどうしよう・・・・・・」


「大丈夫ですよ! シンお兄様に、リリアお姉様が居るんですから! ムムちゃんは無理せず怪我しないようにしてくださいね?」


そうだ。

自分には頼もしい姉と兄がいる。

何も心配する必要は無い。

レイラの激励に元気よく返事をするムム。




いよいよ親善試合まで1ヶ月を切ったのだ。

年に1回の大イベント。

何せ国王まで見に来る程だ。


最優秀選手には国王から直々に褒美の言葉と剣が貰える。

ちなみに前年度の最優秀選手にはシンが選ばれていた。

国王から貰った剣に実用性はなく、シンにガラクタボックスへと入れられてしまっている。


そして学校行事であるにも関わらず、裏では大人達も暗躍しているのだ。







ブルーノース学校のとある場所。


「おい。狙う相手の顔とかは覚えてるな?」

「あぁ、前年度の最優秀選手に選ばれたシンって奴とリリアって女だろ?」

「上からその2人を消せとの命令が出た。学生だからって油断するなよ?」

「わかってる! それじゃあ行くか!」


こそこそ学校を嗅ぎ回る2人の怪しい男。

その時!





「貴様ら余所者が何をしておる」




「ッ?!!!」


2人は急いで振り返る。

気配等何も感じなかった。

だが、目の前に立っている。

それも気付かぬ筈が無いほどの大男が。


「何やら聞き捨てならぬ言葉が聞こえてきてな。

ワシはこの学校の庭師をしているものだ。シンとリリアをどうすると言った? もう一度言ってくれんかのう?」




2人の男はバリアンの言葉を聞いて安堵する。


「なんだ、ただの庭師か」

「ビビらせやがって! さっさと始末して仕事に取り掛かろうぜ!」

「だな! 悪いが見られたからには殺させてもらうぜ?

死になオッサン!!!」


2人の男は剣をとりバリアン目掛けて突き刺す。


「パリンッ!」


「「なっ?!!!」」


突き刺した筈の剣が何故か壊れた。

見たところバリアンは鎧や防具など着ていない。

それなのに折れたのだ。

驚く2人にバリアンは口を開く。


「貴様ら程度の力でワシに傷をつけられる訳がなかろう。相手との力量差も分からぬとは、悪いが眠ってもらうぞ。

フンっ!!!」


バリアンは両手を突き出し2人の鳩尾に拳を入れる。

2人は崩れるように倒れた。




倒れた2人を抱えとある場所へ向かうバリアン。


「やれやれ、子供の行事だというのに物騒な事だ。

シン達ならともかく、トラリーとムムに何かあれば許さんぞ人間共!」


静かに殺意を醸し出すバリアン。


バリアンのおかげで事なきを得たがとうとう動き出す大人達。

親善試合は間近へと迫るのだった。


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