主と従者
家に帰ると全員を呼び、奴隷達、いや新たな仲間を紹介した。
「皆様どうもはじめまして。ハドソンと申します。以前は執事長をしており、ここでもゼノン様に執事長をと仰せつかったので努めさせて頂きます。どうぞ、よろしくお願いいたします。」
「ウチの名前はソルナ! 昔は商人やっとりました!
ただ、ちょいと仲間に騙されてもうて・・・・・・奴隷になったんや・・・・・・この家の家計簿、売買交渉ならウチにお任せあれ!」
「私はこの子の母親のファルニールと申します。
長いのでファルとお呼びください。家事は得意ですので
娘共々よろしくお願いします。」
「私の名前はフィルニール!です! フィルで大丈夫!です! お母さんと一緒に頑張るからよろしく!です! 」
「私の名はエオメルと言います。この度はゼノン様に救っていただき感謝致します・・・・・・そして!
エリシア殿! 貴女ほど美しい女性を見た事がない!
貴女はまるで自然そのものだ! どうか私を貴女の足で踏みにじって頂きたい・・・・・・」
「「「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」」」
「えっ・・・・・・はい。どうぞよろしく。」
4人中1名が若干おかしいがこうして新たな仲間が増えた。
「4人はハドソンの指示の元働いてくれ。そして、ハドソン。お前にこの家の事は全て任せる。期待しているぞ。
そして、フィル。お前もまだ幼い。ムムが帰ってきてからはムムと共に遊ぶが良い。仕事は明日から頼むぞ。
今日は家をゆっくり見て周り食べて休んでくれて構わない。
そして、最後に解錠」
ゼノンは奴隷達の首輪を全て解錠した。
奴隷の首輪は、主人の命令に忠実に。そして、主人に歯向かうことは許されない。など、割と軽めの契約だ。
だが、ゼノンはその見栄え的に気に入らなかった。
何より奴隷にしておくのが嫌だった。
だから、奴隷の首輪を取り自由にしたのだ。
「これでお前達は自由だ。ここで働くも出ていくもお前達の自由だ。強制はせぬ。自分で決めるがいい。」
元奴隷達は首輪を取れたことに驚きと感激が入り交じっている。
そして、もちろん万丈一致で残るとの事。
改めて、奴隷ではなく従者として手を握った。
「ねぇお父さん?フィルちゃん達もここで寝るの?」
ムムはフィル達の寝床を心配しているがその点はゼノンが
既に考えてあった。
「その事だが、ハドソン曰く主人と従者の住処は別の方が良いとの事で空いてる敷地に私が家を建てた。だから、お前達5人はそこの家を好きに使ってもらって構わない。」
ゼノンは先程のうちに創造魔法で二階建ての家を建てていた。
ここはハドソン達5名の住む家である。
「そうなんだ! ねぇフィルちゃん! ムムが家の中を案内してあげる!」
ムムは早速フィルに話しかけ手を出した。
フィルは緊張していたもののムムのお陰で緊張は解けムムの手を取り部屋の探検に行く。
「ムム様! ありがとう!です!」
「様なんて要らない! ムムでいいよ! ムムもフィルちゃんって呼ぶね!」
「いいの?ですか?それじゃあムムちゃん!です!」
「ムムには敬語もいらないよ?」
「それはだめ!です! でもムムちゃんって呼ぶね!です!」
そんな2人の光景を微笑ましく眺める皆。
フィルの母親であるファルがゼノンの隣へ行く。
「ゼノン様。この度は本当にありがとうございます。
娘も今まで同い年の子と話す事もなく、本当に楽しそうです。
誠心誠意働かせていただきます。」
「うむ。そんなに硬くならずとも良い。お前達もそんなに
気を張らずにしてくれ。ここがお前たちの家なのだからな。」
ゼノンの言葉にお辞儀をしハドソン達はレイラに家の案内をしてもらう。
そんな中1人だけエリシアに跪いている男がいた。
エオメルだ。
エリシアの手を取り手の甲にキスをしていた。
エオメルは金髪の長髪で典型的なエルフの見た目をしている。
イケメンなのにその性格が残念である。
「あぁ、エリシアと言う名前なのですね! 名前まで美しいなんて・・・・・・どうか私の事はエオメルとお呼びください。
そして、私は貴女をエリシア様とお呼びしても?」
皆が引いている中エオメルは淡々と言葉を並べていた。
ある意味肝っ玉の座った男だ。
あのエリシアを困惑させている。
「あ、あの、普通で結構ですので・・・・・・それに私は
ダークハイエルフですよ?」
ダークハイエルフは皆から忌み嫌われている。
それなのにエオメルは嫌うどころかこんなにも言い寄ってくる。
それがエリシアには理解できなかった。
「そうですね。貴女はダークハイエルフ。私はハイエルフです。同じエルフ同士ですが、それがどうかしましたか?
それよりも、私めは是非貴女に案内をお願いしたいのです。
よろしいですか? 我が愛しのエリシア様」
エリシアは驚いた。
エオメルはダークハイエルフなど関係ない。
むしろ、そんな事眼中に無いといった感じで話を続けてきた。
変わり者だとは思っていたがここまでとは驚きであった。
だが、いい意味で驚いた。
これから同じ屋根で過ごす事も増えるため、もし差別意識が
酷かったらエオメルはまた売ることになっていた。
だがそんな心配は必要なさそうだ。
むしろ、逆の方向に行き過ぎている。
そんなエオメルにはゼノンも驚きである。
そして、こういうエルフもいるのだと学ばせてもらった。
「よかろう。エリシア、お主が嫌でなかったらエオメルは
お前が案内をしてやってくれ」
いきなりのゼノンの言葉にてんやわんやのエリシア。
「べ、別に嫌ではないです・・・・・・私でよければ此方へ・・・・・・」
少し頬を赤くしながらもエオメルを案内するエリシア。
そんな2人を見て、意外とお似合いのカップルになるかもとメフィはにやけていた。
一通りの案内を終えると皆で食事をとる。
しかし、ハドソンの決めた規定により、従者達の食事は
ゼノン達が終わってからという事に決められた。
ゼノン達は皆でとればいいと伝えたが、それでは万が一来訪者が来た時に示しがつかないとの事だ。
「こういうところは徹底しておけば、後に役立つ事もあります。せっかくのお気遣いですが申し訳ありません。ですが、
ゼノン様の、そして皆様のお心遣いには至極感服いたしました。
宜しければ初日である今日に限り、食を共にすることをお許し
願えますか?」
その言葉にフィルとムムは喜んだ。
そして何故かエオメルも。
「ふっ。構わぬ。なら定期的に皆で食事をとる機会を設けよう。毎日では無いのだから構わぬなハドソン?」
皆の喜ぶ顔を見てはハドソンも否定はできない。
何より、ハドソン自身も嬉しかった。
「かしこまりましたゼノン様。」
こうして新たな住人を迎えることとなった。
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