男風呂
いつも読んでいただきありがとうございます。
今日だけ18時にも投稿しますのでよかったら読んでください。
〜男組〜
「ふむ。中々に広いな」
「まずは身体を洗ってから入浴するんですよ!」
「なるほど、作法は家と変わらないな」
「ワシはサウナとやらに早く入りたいのう!」
「いやはや、温泉とは粋ですな」
トラリーはマッチョ4人組に囲まれて温泉に入る。
4人は風呂椅子に座りそれぞれ身体を洗う。
「父上!僕が背中を流しますよ!」
トラリーはこういう時しかゼノンと一緒に風呂に入ることは無いため、親孝行のつもりで背中を流す事にした。
ゼノンは驚いたが無下にする必要も無い為、頼むことにする。
「うむ。それでは頼むとしよう」
トラリーはゼノンの背中をゴシゴシ洗う。
初めて見る父の背中。
なんと言い表せばいいのか、とにかく大きかった。
そして硬かった。
鍛えられたその背中は広く大きい。
改めて父の大きさを思い知るトラリーであった。
続けてトラリーはシンの背中も洗う。
シンは遠慮したものの、弟の務めだと言ってトラリーは
引き下がらず渋々お願いした。
ゼノンよりも細身であるもの、やはり大きかった。
シンは着痩せするタイプだが、その下は無駄な脂肪などなく筋肉で覆われていた。
トラリーが目指しているのはシンの存在であり、この背中である。
バリアンは自分からトラリーに頼んできた為、笑いながらトラリーはバリアンの背中も洗う。
バリアンの背中はとにかく大きすぎる。
バリアンは座っているにも関わらず、トラリーの身長と
ほとんど同じだ
2m50cmもあるその巨体はただ、デカいだけではなく
筋肉量が凄まじかった。
まるで大きな岩でも洗っているかのような錯覚を起こす程だ。
トラリーの力では対して気持ちよくはないだろうが
バリアンは気持ちいいと言ってくれている。
シリュウの背中は人化している為、羽は出ていなく1番洗いやすい背中だった。
そして、シリュウが1番気持ちよさそうに洗わていたのだ。
4人の背中を洗うと今度はゼノンがトラリーの背中を洗ってくれた。
トラリーは恐縮過ぎて断ったが、シンとバリアン、そしてシリュウに無理矢理座らせられた。
ゼノン(いつの間にかこんなに大きな背中になっていたのだな。)
ゼノンが初めてトラリーを見た時は死体だった。
痩せ細った身体で脂肪は愚か、筋肉すらなかった。
あるのは皮と骨。
そんなトラリーも今や、シンとバリアンに鍛えられ
逞しい身体に変貌している。
そんなトラリーを見てゼノンは感慨深い思いをしていた。
これが温泉の力なのである。
普段は一緒に入ることの無い者と温泉に入る。
更に温泉の力で何故か、普段は話せない事も話せてしまう。
メフィは温泉の力でもっと家族の絆を深めたい。
そう思って温泉を選んだのだ。
「ありがとうございました父上!」
「うむ。本当に大きくなったな」
5人は仲良く風呂に入る。
入って直ぐにバリアンがせっかくだから外の風呂へ行こうと言うので、皆で露天風呂へと向かう。
「父上!シン兄さん!バリじぃ! 空を見て!」
トラリーがいきなり大きな声を出して空を指さす。
そこには・・・・・・
「ほ〜う! 満天の星空じゃ!!!」
「この大自然の中で見る星空は格別だなトラリー」
「うむ。これを見るだけでも来た価値ありだな」
夜空には輝く程の星空が広がっていた。
雲ひとつなく満天の星空だ。
露天風呂に浸かりながら見る星空。
皆が星空から目が離せなかった。
「ほれい!!!」
星を見ていたらバリアンがトラリーの顔面目掛けてお湯を飛ばしてきた。
バリアンのお湯掛けは量がえげつなく、溺死するレベルだった。
「ブハッ!!! ちょっ!!! バリじぃ!!! 死んじゃうから!!!
量を考えてよ!!! くらえ!!!」
トラリーも負けじとバリアンの顔にかける。
トラリーはシンに助けを求めるも軽くあしらう。
「ふん。その様な子どもじみた事を俺がする訳ないだろう・・・・・・ぶふっ!!!」
しかし話終わると同時にバリアンがシンの顔目掛けてお湯を掛けた。
それを見て当の本人は高笑いしている。
「ガッハッハッ!!!!!! すかしているからじゃ!!! ゴフッ!!!」
笑っているバリアン目掛けて今度はシンがやり返す。
「いいだろう・・・・・・どちらが強いか証明してやる!」
「ぬかせ童!!!」
最早お湯の掛け合いは津波状態だ。
トラリーは思わず溺れかける。
そんなトラリーをゼノンが抱き上げ、唯ならぬオーラを
発していた。
やりすぎた! そう思うバリアンとシンであった。
「2人とも・・・・・・私も混ぜろ。私が一家の大黒柱
であるぞ!!!」
「ええぇぇぇッ!!!!!!!!! 止めるんじゃないんですか?!
父上!!!」
まさかの反応に驚くトラリー。
「ガッハッハッ!!! それを言うならワシがじぃちゃんであり
1番上じゃ!!!」
「今こそ父上に私の力を見せる時!」
こうして3人のお湯の掛け合いが始まった。
現場は最早、自然災害となっている。
トラリーはお湯に流されとうとう場外まで吹き飛んだ。
その弾みで男湯と女湯の仕切りを破壊しお湯ごとトラリーは
女湯の所まで飛ばされていた。
「「「・・・・・・あっ・・・・・・」」」
裸の女性陣達が顔を赤らめている。
そんな中、メフィは笑顔だが恐ろしい表情で3人に近付いてくる。
「あなた達は一体何をしているのかしら?
全員今すぐそこには座りなさい!!!!!!」
こうして3人は正座をし、メフィに説教される。
トラリーは目をクラクラさせ倒れている。
ムムとフィルルが近付き声を掛けるも反応はない。
そんなトラリーを見てリリアがやれやれと膝枕をしてあげる。
トラリーが目を覚ましたら恐らく鼻血を出してまた気絶するだろう。
その頃シリュウはというと1人サウナを満喫していたのであった。
温泉に入るなり、さっさとサウナにすぐ入っていたのだ。
誰もシリュウの存在に気付くことなく・・・・・・。
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