氷上のダンス
湖に着くとシートを敷いて皆でシリュウ特製弁当を食べた。
サンドイッチや肉料理。シリュウがピクニック用に作ったのだ。
「シリュウさん!!! すっごい美味しいよ!!!」
「ほんと、ただでさえ美味しいのに外で食べるともっと美味しくなるわね!」
「この大自然の中で食べるシリュウさんの弁当は格別です!」
みんなにべた褒めされたシリュウは上機嫌になっていた。
「ハッハッハッ!!! 皆にそういわれると私も料理人冥利に
尽くというものである!!! 沢山ある故たくさん食べて
くだされ!!!」
シリュウの弁当を満喫した後は目の前の湖に立っていた。
「ねぇねぇ、フレイ!『アレ』やってよ!」
何やらリリアはフレイに頼み事をしていた。
リリアの言うアレとは一体。皆もなんだろうと興味津々である。
「ふふふっ、アレ、ですね!いいですよ!
全域氷結」
フレイが魔法を唱えると、目の前の湖は凍りついた。
更にリリアの足に氷魔法で何やら細工をしている。
「これこれ!最高ッ!!!」
リリアはフレイにスケート靴の様にしてもらい滑っていた。
皆がリリアを凝視する。
見たこともない遊びをしている為、余程珍しかったのだろう。
「すごーーーい!!!!!!!!!ムムもムムも!!! フレイお姉ちゃんムムも!!!」
ムムは興味津々だったようでフレイに頼んだ。
「ふふっ♪焦らなくてやってあげますよ♪」
全員にそれをやると皆で湖を滑って楽しんだ。
ムムやトラリーは上手く滑られず転んでばかりいた。
シンやリリアに支えてもらいながらなんとか滑っている。
やはりフレイは氷属性ということもあり一番上手だった。
そんな中、ゼノンとメフィは2人で両手を繋ぎ踊るように滑っている。
「あら、ゼノンはダンスの心得も持っていたのね♪」
「ふっ、何百年と生きているからな」
2人の空間以外はまるで時が止まったかのように皆の目が釘付けになっていた。
ある程度滑り終わると、皆から拍手喝采が起きた。
「凄いよお父さん、お母さん!!! 凄い綺麗だった!!!」
「本当に・・・・・・思わず見とれてしまいました!」
「私よりも上手に滑っているのでちょっと自信なくしますね」
笑いながらそう話すフレイ。
「お粗末様でした! こうやって楽しめたのもフレイのおかげよ♪ ありがとうフレイ」
メフィはフレイの頭を撫でるとフレイは顔を赤らめた。
とても珍しい光景だ。
普段は長女という立場もあり、更にフレイの性格上、あまり感情を表に出す者では無かった。
そのフレイが照れているのだ。
リリアはからかうようにフレイを構った。
「あれれー?フレイもそんな顔するんだねー?」
先程まで照れていたフレイの顔は急に笑顔になっている。
しかし、その目は笑っていない。
さすがにやり過ぎたと思ったリリアは急いでその場から逃げることにした。
「ま、待ちなさいリリア!!!」
「いやよ!!! 待ったら許してくれるの?!」
「許すわけないでしょ!!!」
そんなふたりの光景を皆で笑い楽しんでいる。
あっという間に日は落ち、夕日が顔を覗かせた。
たくさん遊び疲れたのか、ムムはバリアンの背中で眠っている。
トラリーもフィルルも寝てしまい、シンとエリシアに背負われていた。
「ふふっ、遊び疲れて寝てしまったようですね」
「フィルルも久しぶりにたくさん遊べたものですから楽しかったのでしょうね」
「まだまだお子ちゃまなんだから♪」
「そういう貴女もよ、リリア」
先程の件をまだ引き摺っているのかフレイはリリアを見つめる。
当の本人は笑って誤魔化す。
ちなみに湖の氷はフレイがちゃんと溶かした。
「宿へ戻って休んだら皆で温泉に入るとしよう。」
「そうね! 早く温泉に入りたいわ♪」
「へぇー!こういう衣装も可愛くていいわね!」
「リリアお姉ちゃん可愛い!」
「ムムもとーっても可愛いわよ♪」
皆は風呂に入る為、浴衣に着替えていた。
「なるほど、薄い生地で動きやすいな。」
「ワシのはちっとばかし小さいのう」
「これを着ると温泉って感じがしますね」
「はい♪ この浴衣というものは人間界の温泉の必需品なんです!」
「これなら家でも着たいくらいですね」
「確かに。売ってはくれないだろうか?」
「温泉で着るからいいんだよ!」
「フィルルは通だね!」
皆が浴衣に着替えると本命の温泉へ出発。
「よし、準備は出来たな。温泉へ向かおう」
「貸し切りとはいえ男女は別よ♪」
こうしてゼノン一家は本命の温泉を楽しみに行くのであった。
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