ブルーノース学校
-入学当日-
「お父さん!お母さん! ムム似合う?!」
ムムは学校の学生服を着てクルクル回っていた。
「とっても可愛いわよムム♪」
「うむ。よく似合ってる。トラリーも似合っているぞ」
「あ、ありがとうございます父上!」
メフィの助言もあり、ゼノンはなるべく褒める事を覚えた。
ちなみに正装はメフィが用意してくれた。
子供達の学生服は指定されていた為、それを着る。
「ゼノン様、メフィ様、トラリーおぼっちゃま、ムムお嬢様。馬車の用意ができました。どうぞこちらへ」
4人はザックスに連れられ門の前に立つと、豪華な馬車が待機していた。
それを引っ張る2匹の馬も普通の馬とは違う。
むしろそれは魔物だ。
『ノーブルホース』
魔物であるが人に害は無く知性もある事から貴族達御用達である。
しかし、入手困難な為、今ではほとんど見ることは無い。
「うわー! 白くて綺麗!!!」
「普通の馬より一回り以上大きいですね!」
トラリーとムムは見上げて興奮していた。
毛並みは白く体高2mは優に超えている。
「いつの間にこんなものを用意したのだ?」
メフィ達はてっきりゼノンが用意したのかと思っていたが違った。
すると後ろから、
「気に入って頂けましたか?」
この馬車を用意したのはフレイだった。
そして馬はバリアンが確保しに行ったようだ。
「せっかくの弟達の晴れ舞台ですからね。何よりお父様とお母様をその辺の馬車に乗せる訳にはいきません。気に入って頂けましたか?」
ゼノンはフレイのその行動力に驚いた。
人間界へ来たのは昨日だ。
昨日の今日でこれだけの物を用意したのだ。
さすがのゼノンもこれには驚いた。
「うむ。お前がいなければ私達は、歩いて行くところであった。良くやってくれたなフレイ。」
フレイの頭を撫でると珍しくニヤけるフレイ。
メフィも大変喜んでいた。
御者はザックスが引き受けるとの事で、レイラとフレイ達は留守番である。
バリアンが駄々を捏ねたがさすがに入りきらない。
リリアとシンは先に学校へ行っている為、後で合流する事になっている。
そして、全員に人化魔法を掛けてあるため、魔族とバレる心配もない。
「それではお乗り下さい」
ザックスが馬車の扉を開け中に座る。
外観だけでなく内装も豪華で座り心地も抜群であった。
「凄いふかふかだよ!!!」
ぴょんぴょん跳ねるムム。
「こ、こんな豪華な馬車で向かったら凄い注目されそうですね・・・・・・」
緊張しっぱなしのトラリーはこの馬車に乗り更に緊張が増した。
トラリーはムムとは違い編入となる。
トラリーが普段の実力を発揮出来れば、容易く入学出来るだろう。
「ムム、危ないからちゃんと座っててね!」
「はーいっ!!!」
ムムは注意されたにも関わらず、何故か喜んでいた。
母親との何気ないやり取りが嬉しいのだ。
親子の会話をするのがムムにとっては当たり前ではなく
1つ1つの会話が嬉しかった。
学校に着くとそこは広大な土地があった。
ちなみにこの王都には全部で4つの学校がある。
ブルーノース学校
レッドサウス学校
グリーンイースト学校
イエローウエスト学校
ムム達が行くのはブルーノース学校である。
中心地には王様が住む城があり、城を中心に学校が四方を
囲むように建設されている。
その学校特色のブレザーが配布されており、ムム達は青いブレザーを着ている。
学校へ着くとその広大な敷地にムムは圧倒されていた。
何より学校の外観も凄かった。
青を基調とされており、その名に相応しい学校だ。
この王都には50万人程住んでおり、それぞれの学校に
約1万人もの生徒が在学している。
魔族とはいえリリアとシンはその1万人の中の頂点にいるのだ。
ゼノンはともかくメフィは鼻が高かった。
「こんな大きな建物初めて見た!!! 凄いねにーに!!!」
「僕も昨日来た時は驚きっぱなしだったよ。僕達の村が丸々はいりそうだね!!!」
「今日からここにあなた達は通うのよ♪」
「魔法もそうだが知識も必要なモノだ。そして何より楽しんで来るのだぞ。」
父親らしい事が最近言えるようになったゼノン。
そんなゼノンを見てメフィもホッコリしていた。
馬車を停められる場所に着くと周りがガヤガヤと野次馬の様なものが出来ていた。
そんな群衆を馬車の中から眺めるトラリー達。
更に緊張が増してしまった。
「ど、どうしよう・・・・・・凄い見られてる・・・・・・注目されるの苦手なのに、」
「ムムにもお友達沢山できるかな?」
トラリーとムムは友達をつくったことがなかった。
ライムやレオン、ミノやイヴは居るが人間の友達はまだ居ない。
「2人の性格ならきっとすぐにできるよ♪」
ノック音がする。
ザックス「ゼノン様、着きました。」
ザックスが扉を開け、皆が出るとざわめきがより一層増えた。
「誰なの?! あの美男美女は!!!」
「キャーーーッ!!! あのイケメンのお父様は誰の親?!」
「おい見ろ!!! あの人が母親なのか?!!! 姉の間違いだろ?!!!」
「同じ人間とは思えない・・・・・・」
「この世は不平等だらけなのさ・・・・・・」
「子供達もイケメンに可愛いとは」
「ピンクの髪なんて珍しいな」
トラリーは緊張しっぱなしだったがムムは違った。
ゼノンとメフィ、つまり父親と母親が賞賛され嬉しかった。
ムム「ねーねーお父さん、お母さん?」
ゼノン「どうした?」
ムム「私の親になってくれてありがとう!!!」
改めてお礼を言うムムにメフィはもちろん、ゼノンまで
思わず微笑んでしまった。
娘が可愛い。初めてそういう感情が芽生えたのだ。
メフィ「まぁームムったら♪ 本当に可愛いんだから!!!」
人前にもかかわらず抱きしめるメフィ。
ゼノンも頭を撫でムムを見て微笑んだ。
ゼノン「それは私のセリフだ。子を持つなど考えられなかった私に父親となる機会を与えてくれてありがとうムム。それにトラリー、お前もだ」
2人の頭を撫でるゼノン。
最早この空間は4人だけの空間となっていたのだった。
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