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新しい生活

「久しぶりねムム!」

「相も変わらず危なかっかしい子だな」


たまの休日に帰ってきてはいたが、ほとんど会えずじまいだった2人。


2人を見つけるとトラリーも走ってきた。


「シン兄さん! リリア姉さん! お久しぶりです!

僕、ちゃんと1日足りとも訓練を怠りませんでしたよ!」


そんなトラリーの姿が2人には、子犬の様に見えた。

尻尾を振り、目を輝かせ、いかにも褒めてといったその表情。


「よくやったわね!!! 流石は私の弟♪」

「これからは毎日俺が見てやるからな」


そこへゼノンとメフィもやって来る。


「久しいなリリア、シン。息災であったな。それでだ、・・・・・・。」


ゼノンが何か言おうとしているが口に詰まっていると痺れを切らしたメフィに


「ゼノン?! 早く言ってあげて!」


リリアもシンもなんの事か分からずキョトンとした表情でゼノンを見つめる。


メフィに対してゼノンも、わかっていると返事をすると


「校長から聞いたぞ。お前達は『学力、魔力、剣術、魔術。その全てにおいて学校順位1.2を独占したそうだな。親としてお前達を誇りに思うぞ」


ゼノンに褒められた事により嬉しいよりも驚愕が勝ってしまう2人。

そんな2人の様子を見てメフィはクスッと笑っている。


「この人はね、父として子の功績を褒めてあげたかったのよ、何より最初に聞いた時は本当に喜んでいたわ!もちろん私もね♪ つまり、父としての務めを果たしたかったのよ! あなた達の父に相応しく在りたいと思ってね♪」


2人はようやく納得する。

魔族として、四魔将として、このくらいの事は当たり前だと思っていたからだ。

しかし、ただの子としてその言葉を受け取るなら、そのゼノンの褒め言葉はとても嬉しいものだった。


「お父様、お母様---ありがとうございます!今後もより一層励んでいきます!」

「俺も父上と母上の顔に泥を塗らないよう精進致します」


そんな固い2人の返答にメフィは苦笑いしつつ、2人の後ろに周り首に手を回す。


「も〜う! そんな固いのは無しよ?! それよりも学校は楽しい? 友達はできた? 恋はしてる?」


怒涛の質問攻めに戸惑う2人。

そしてゼノンもこれが母親というものなのかと、痛感する。

子の事は何でも気になる。それが両親。

ゼノンも気にするようにしようと心掛けたのだった。


「学校楽しいですよ♪ 人間の友達もできたし、皆で街巡りもしたわ♪ 恋人は・・・・・・人間では無理ですね」


そんなリリアの言葉にメフィは心躍らせていた。

青春している我が子。とても微笑ましたかった。


「いいじゃないいいじゃない♪ シンは?」


「俺は友達等必要ないです。強いて言うなら、学校に居る動物達ですかね」


「あははは・・・・・・」


メフィは苦笑いせざるを得ない。

シンは確かに寡黙でぶっきらぼうな為、人付き合いを得意としていなかった。

だがメフィはそれでもよかった。


「人間だけが友達とは限らないわ! あなたのお陰でその動物達もきっと楽しい筈よ! とにかく2人とも楽しんでるようでよかったわ!ね、ゼノン♪」


「うむ。明日からはこの2人も学校へ入学する為、面倒の方は頼んだぞ。」


「「はいッ!!!」」


今後は2人もこの大豪邸で共に暮らす事となる。


これでようやく家族揃っての生活がまた始まった。


「シリュウよ、今日の食事は豪勢に頼む。」


「わかっておりますとも!久しぶりの豪華な食事! 腕がなりますな!!!」


「私もお手伝いしますねシリュウさん!」


2人が厨房へ行くとシンが不意に話した。





「そういえばトラリー、お前は今日編入試験じゃなかったか?」



シンの言葉に固まるトラリー。


「・・・・・・あぁぁーーーッ!!!!!! 忘れてたッ!!!!!! どうしよどうしよ!!!!!!」


時刻を見ると編入試験が始まるのは10分後だった。

ここから学校までは、頑張って走っても20分かかる。つまり絶対に間に合わない。


ムムは新入生の為、試験はないが編入の場合は試験があるのだ。

その事をトラリーは完全に忘れていた。


しかし、トラリー以外の皆は何故か冷静だった。


「5分前に着けばよいのだろう?何をそんなに慌てている。」


「父上!!! こっから走っても20分はかかりますよ!!! これじゃあ間に合わない・・・・・・」


落ち込んでいるトラリーを見て笑うメフィ。


「ふふっ♪それはあなたが走ったらでしょ? いきなり1人で行かせるわけないじゃない、ゼノンかシンが一緒に行くわよ!」


「私の転移なら1秒で着くが学校の構造はよくわからない。シン、悪いがお前が連れて行ってくれるか?」


「はい父上。まだ早いがゆっくり走って行くとしよう。トラリー来い。」


トラリーは戸惑いながらもシンの元へ歩み寄ると脇に抱えられた。


「では行ってまいります。」


一瞬でその場を消え、トラリーが気付いた時には学校へ着いていた。


「えっ・・・・・・試験まであと9分?!・・・・・・1分で着いたってこと?!!! あははは。」


あまりの速さに壊れるトラリー。

1人で焦っていたのが馬鹿みたいだった。


「トラリー、試験は筆記試験と魔力測定のみだ。お前なら簡単に合格出来るだろう。落ち着いて行ってこい。俺はここで待っている」


シンの励ましに大きく頷くトラリー。


「はい!!! 送って頂きありがとうございますシン兄さん!!!」




トラリーは試験を無事に終え、家に帰ると既に豪華なご馳走が並んでいた。

トラリーとムムの入学祝いということで豪華な食事会がスタートしたのだった。


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