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オルレア一家

ゼノンの家に着くと皆がゼノンの家に集まり固まっていた。




「せ、せ、精霊王ッ?!!!!!!!」



全員が驚愕する。

何度驚かされればいいのか分からない。

おとぎ話の世界かと思っていた精霊がいて、しかも精霊王も存在し、その精霊王がゼノンの妻となったのだ。


情報が渋滞しすぎて皆が放心状態であった。



「そういう事でみんなよろしくね!私の事はメフィと呼んで頂戴! ムム、トラリー、今日から私があなた達の母親よ♪ 仲良くしましょうね♪」



そう言って手を出すメフィ。


トラリーは緊張して噛みながらも挨拶をし、握手を交わした。


だが、予想外な事に、ムムはゼノンの後ろに隠れてメフィの様子を伺っていたのだ。

好奇心旺盛で誰とでも話せるムムが今回は、恥ずかしいのか緊張しているのかわからないがメフィと話そうともしていない。

不思議に思ったゼノンは直接聞くことにした。



「ムムよ、何故隠れている? メフィがお母さんでは嫌か?」



メフィもいきなりで困惑させてしまったからか直ぐに謝ることにした。



「ごめんねムムちゃん! いきなり私がお母さんなんてビックリしちゃうよね?! 本当にごめんね?」



メフィが謝るとムムは首を横に振った。

するとトラリーが口ずさむ。



「メフィさんすみません。僕とムムは母の愛情を知らずに育ったんです。話す事や触る事さえ許されませんでした。だから、多分ムムは怯えているのかもしれません・・・・・・触れたら怒られる。話したら怒られる---ずっとそう育てられたので」



トラリーの言う通りだった。

ムムは母親という存在があれで根付いてしまったのだ。

母親とはそういうもの。

幼い頃からそう育った為に。



「そうだったのね・・・・・・。」



「ムム・・・・・・僕もいるから!!!」

「親がいた方が辛い事もあるのね」

「・・・・・・そうね・・・・・・」

「くっ・・・・・・」

「こんな幼い子を・・・・・・ちっ!!!」



ライムを筆頭に四魔将達もその境遇に思わず胸を打たれる。



それぞれが同情せざるを得ない。



メフィはムムの目の前へ行くとしゃがみ、ムムと同じ目線に座った。

そしてムムの頭を撫でる。

ムムは叩かれると思い、目を閉じたがメフィの優しい手に目を開く。

するとメフィは微笑み、



「ムムちゃん、私にはたくさん話して欲しいし、

触れて欲しいよ? 散歩する時は手を繋いで、寝る時はお話しながら寝ましょう。 だってムムは私のたった1人の娘だからね」



優しくそして暖かいメフィの言葉にムムは涙を流した。


本当はずっと甘えたかったのだ。

母親と話して触れたかったのだ。



そして『お母さん』って呼びたかったのだ。


泣きじゃくるムムを優しく抱きしめるメフィ。


「初めて会った人をお母さんと呼ぶのは難しいかもしれない。でも私はこれからずっと貴女のそばにいるわ。だから、ムムちゃんが呼びたくなったらいつでもお母さんって呼んでいいのよ?」





「ひっく・・・・・・お、お母さん・・・・・・ムムのお母さん!!! えーん、うぇーん・・・・・・」



「ずっと我慢して辛かったね。もう大丈夫よ、たくさん泣いてたくさん甘えてね」




ムムはメフィの腕の中でしばらく泣いていた。

そしてトラリーも。



「?ふふっ---トラリー、おいでっ」


メフィはムムを抱いている手とは逆の手で、トラリーに手を差し出す。

トラリーは恥ずかしがりながらも、ムムと一緒にメフィの腕に抱かれた。






(さすがはメフィだな。もう2人と打ち解けたか。

やはり母親の存在は大きいのだな)


メフィのその、誰にでもすぐ打ち解けられる性格にはゼノンも驚いていた。

ずっと精霊界にいたため、人と触れ合う機会は無かったのだ。

それなのにこの打ち解け様。

やはりメフィの人格の賜物なのだとゼノンは改めて思った。




フレイがゼノンの隣へ来た。



「ところでゼノン様とメフィ様はいつからの知り合いなのですか?」



「私とメフィが出会ったのは何百年も前の話だ。詳しくは言えぬが、たまたま精霊界に行きメフィと会ったのだ。その頃は私も若く、血気盛んでな。メフィに挑み敗れ生かしてもらったのだ。」



フレイ達は驚く。あの最強無敗のゼノンが敗れた話等、一回も聞いたことがなかったから。

それもその筈であった。その戦いは精霊界で起き、他人に精霊界の話等出来るはずがなかった。


何故ならゼノンに魔法を教えてくれた恩人だから。



「まさかゼノン様の師匠が精霊王様だったとわ・・・・・・」



「道理でゼノン様はこんなに強い訳です」



「でも、今やったら私が負けるでしょうね! 貴方どれだけ強くなってるの!!! 私の魔力よりも多いなんて信じられないわよ!」



ゼノンの魔力量が15万に対してメフィは14万近くあった。ここまで来ると1の数値ですら上げるのが困難になるのだ。

それでいて1万の差がある。

最早メフィはゼノンに敵わないと感じていたのだ。



「ふっ、お前に負けてから死に物狂いで特訓したからな」



「貴方って意外と負けず嫌いなところがあるのよね♪」




フレイ達は二人の会話を目の当たりにして、感じてしまった。

この人には勝てないと。

力もそうだがゼノンの妻としてもメフィは適役であった。

何より認めている自分がいる時点で負けであった。

しかし、悔しいと言うよりは羨ましい。

そう思う女性陣であった。




「ゼノン様、メフィ様。この度は夫婦となった事、大変喜ばしく思います。おめでとうございます」



フレイの言葉を皮切りに全員から祝福の言葉がゼノン、メフィに贈られる。




「そういえばゼノン様に性はあるのですかな?」



バリアンはふと気になりゼノンに聞いてみた。

そして、皆も興味津々である。



「うむ。我の名は『』 ゼノン・オルレア』だ」



「ゼノン・オルレア・・・・・・」



「あぁ、つまりお前達はこれからトラリー・オルレア。ムム・オルレア。そしてメルフィーロ・オルレアと名乗るのだ。私の家族で良ければな」



「はい!!! 父上!!! 僕はこれよりトラリー・オルレアと名乗ります!!!」


「ムム・オリュリェア・・・・・・うっ、難しい、」



「オルレア・・・・・・素敵な性ね!!!」



「気に入ってもらえて何よりだ。」




皆で盛り上がっているとリリアだけどこか寂しそうな顔をし、俯いていた。


リリアもゼノンの家族の仲間入りをしたかったのだ。

だけど自分からは言い出せず、ただ羨ましいなと思うだけであった。


そんなリリアに気付いたメフィはリリアの正面に立つ。



「どうしたの?『リリア・オルレア』」



その言葉に反応したリリアは目を見開きメフィを見つめた。



「貴女はこの子達の姉なんでしょ? それなら私の娘でもあるわ。なら貴女もオルレアを名乗るべきでなくて?」


メフィは笑顔でリリアに話した。


更にゼノンも近付きリリアの肩に手を置く。



「どうしたリリア。お前も我が娘の様に思っているぞ。リリアが名乗りたければ名乗るがいい。私も歓迎するぞ」



リリアはその目に涙を浮かべている。


リリアも元は孤児であった。

そんな時に運良くゼノンに拾ってもらい、四魔将まで登り詰めた。


家族のいないリリアにとって四魔将やゼノンは家族の様な存在であった。

しかし、それは仮の家族である。


でも、今はゼノンが本当の家族として迎え入れようとしてくれている。

リリアはそれが嬉しくて、涙が溢れた。



「あ、ありがとうございます・・・・・・リリア・オルレア。オルレア家の名に恥じぬ働きをしてみせます!ち、父上・・・・・・」



照れくさそうにゼノンを父と呼ぶ。


するとバリアンまで悪ノリしてきた。



「ではワシもバリアン・オルレアと名乗るとしようかの!!! オルレア家のじぃとしてな!!! ゼノン様、よろしいでしょうか?」


ゼノンの顔には笑みが浮かんでいた。

バリアンなりにリリアを気遣ったのだろう。


自分より年下であるがバリアンの見た目的には、お爺ちゃんが似合う。



「ふっ、構わぬ。他の者達も名乗りたくば名乗るが良い。私にとってここに居るものは家族も同然だ。」



その言葉にレイラ、フレイ、シンが反応した。

3人とも名乗りたいとの事でオルレアを名乗ることを許す。




しかし、エリシア、フィルル、シリュウは辞退した。


名乗るのが嫌とい訳ではなく、元々性を持っていたのだ。

その為、エリシアはオルレア家、専属のメイドとなることを決め、フィルルは専属鍛冶師、シリュウは専属料理人となる事にした。




この3人は仕事に戻るとの事で家を出て行き、この場には

オルレア家となった者たちが残る。

どうやらメフィによる最初の家族会議が開かれるらしい。


早速メフィの母親による最初の目的があるようだ。

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