妻の座
ある一室にリリア、フレイ、レイラ、エリシアの4人が集まっている。
ただならぬ雰囲気で皆が険しい剣幕になっていた。
4人は今、ある事について話し合っていたのだ。
「私が『母親』になるわ!!!」
「リリアに母親は厳しいと思うんですよね」
「どちらかというと娘に近いですからね」
「頼れるお姉さんではあると思いますけど・・・・・・母親となると・・・・・・」
そう。ゼノンが父親となった今、ムム達にとって母親も必要だと皆が思ったのだ。
そこで女性陣は、母親を決める事にした。
この中で、誰が1番母親にふさわしいかを決めているのだ。
皆に否定されるリリア。
涙目になりながら頬を膨らませ拗ねていた。
「そんな拗ねないでください。リリアはまだ若いでしょ? 母親になるという事はムムやトラリーはもちろんの事、ゼノン様とも夫婦になるのですよ? 貴女はまだ若い。そんな覚悟がありますか?」
フレイの言葉にリリアは何も言えなかった。
むしろ顔を赤くして、何故か恥ずかしがっている。
「・・・・・・わ、私だって夜伽くらいできるもん・・・・・・」
「ふふふっ、リリアは本当に可愛いですね! やはり母親となると私かエリシアにしか無理だと思うんですがどうですか?」
「はい、私もこの中ならどちらかだと思います」
「私も出来ますよ!!! が、頑張れば出来ます!!!」
レイラも中に入ろうと頑張るが、周りの目線はやけに冷たかった。
「・・・・・・レイラには厳しいわね。1番年下だし、貴女こそ娘って感じがするわよ?」
「確かにレイラには厳しいですね」
「私も常日頃、娘のように見てきました」
皆に否定され、今度はレイラが落ち込んでしまった。
「わ、私だって・・・・・・」
いつまでも終わらないこの会議に痺れを切らしたリリアは一つ提案をする。
「わ、わかったわ!!! それならゼノン様に決めてもらいましょう!!!」
そもそも母親になるという事はゼノンの妻になるのだ。
それなのに自分達だけで決めるのはおかしな話であった。
リリアの意見には皆が納得し、ゼノンの部屋へと皆で押し掛ける事にした。
4人はノックしゼノンの了承を得ると、部屋に入る。
ゼノンは椅子に座って何か書類の様な物に目を通していた。
「どうした、この4人が集まるとは珍しいな」
年長者組の女性陣が集まっている。
ゼノンは何となく勘づいていたが敢えて聞く。
何より圧が凄いのだ。
「ゼ、ゼノン様!!! この中で妻を選ぶとしたら誰が1番ですかッ?!!!」
早速本題を切り出すリリアに他の3人も驚いていた。
凄い度胸だと。流石に他の3人は切り出す事を躊躇っていた。
それなのにリリアは即答したのだ。
その点は凄いなと皆が思うのであった。
そしてリリアの問に皆がゼノンを注視する。
一体誰が選ばれるのか。
誰が1番妻に相応しいのか。
ゼノンから一時も目が離せなかった。
少しの沈黙の後、ゼノンは軽く笑い答える。
「ムムやトラリーには母親も必要。そう思っての事なのだろうが・・・・・・お前達は皆、娘のようにしか思えぬ。そして、お前達がムム達に接するその姿は、良き姉のように見えるのだ。
つまり、お前達はこのままで良い」
皆が驚愕したしていた。
フレイとエリシアも、リリアとレイラが娘に見えるのはわかる。
しかし、自分達までそう思われていたとは思わなかった。
「で、ですがあの子達には母親が必要では無いでしょうか?」
フレイの言葉は尤もであった。
子供にとって母親の存在はとても大きい。
ましてやムムにとっては目指すべき存在として、母親は必要だった。
「うむ。お前達の言う事は尤もだ。私も考えていない訳では無い。それに、1人だけ心当たりがある。明日の朝一番にその者に会ってこようと思う」
ゼノンの言葉にまたしても驚愕する。
心当たりがある---それはつまり、ゼノンが少なからず好意を持っている相手という事だ。
色恋沙汰無しだったゼノンの嫁候補。
リリアとフレイは驚愕せずにはいられない。
そんな素振りは今まで見たことが無かったのだ。
一体その相手は誰なのか。
考えても出てくる筈がなく痺れを切らしたリリアはまたしても直球でゼノンに聞くことにした。
「あ、あのゼノン様?! その相手とは一体誰なのですか?!!!」
リリアの質問に皆がゼノンに注目する。
世界最強のゼノンが選ぶ妻とは一体だれなのか。
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