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ハイキング?

ムムはレイラとトラリー、そしてリリアと共に森に入っていた。


トラリーは魔物が出た際の迎撃。

ムムはトラリーが怪我した際の回復の練習だ。


二人の練習の為に森を進む。のだが、一向に魔物が出てこない。




リリアはその理由が分かっている。




「ちょっとシン!!! あなたが倒したら練習にならないじゃないの!!!」




シンがムム達の周りの魔物を片っ端から倒していたのだ。

その為4人は、ただのハイキング状態になっていた。




「・・・・・・ムムやトラリーが怪我でもしたらどうする。人間の子は弱い。ましてやムムはまだ5歳だぞ」



リリアは呆れてモノが言えなかった。

シンは過保護すぎるのだ。

生き物好きなのはわかっていたが、ここまで子供も好きだとは思わなかった。


そして、シンにもこんな一面があったとは思わず、リリアも強く言えずにいる。




「この子達も練習して強くならないと大人になってから困るでしょ?だから今のうちに練習しなきゃいけないのよ!」




リリアの言葉にシンは苦い顔をする。

リリアの言う事もわかる。


人間は弱い為、強くならなければあっという間にやられてしまう。

それでもムムが怪我をすると思うと、いても立ってもいられなかったのだ。


そこてシンは一つの案が浮かび、リリアに提案する。



「・・・・・・わかった。では俺も同行する。トラリーが戦う相手は俺が決めよう」



リリアはその案で折れた。いや折れざるをえなかった。

でないと、練習ができないのだから。



そんな呆れたリリアにムムは笑顔で近寄った。



「リリアお姉ちゃん!あのね、シンお兄ちゃんはね、すっごく優しいんだよ!!!」



シンを庇うようにそう話すムムにリリアも降参と言った表情で、そうだね と賛同した。





シンを含め5人は森を進み、奥から猪の魔物が出てきた。



「ワイルドボアか。トラリー、アイツは真っ直ぐしか進めない。必要最低限の動きで避け、アイツの後方から魔法を放てば容易く勝てるだろう。ただし、油断はするなよ」



シンの的確な指示にトラリーは元気よく応えワイルドボアと対峙する。


ワイルドボアはトラリー目掛けて突進してきた。



「必要最低限で避け!」



体制を崩さず避ける。そして



「後方から魔法を放つ!!! 炎の槍(ファイヤーランス)!!!」



トラリーの魔法はワイルドボアを捉え見事に絶命させた。





「シン兄さん!!! やりました!!! どうでしたか?!」



トラリーは余程嬉しかったのか声を張り上げシンに駆け寄る。

いかにも褒めて欲しそうな顔で。


そんなトラリーに若干押されながらも、



「・・・・・・あぁ、俺が言った通りしっかり出来ていたぞ。だが調子に乗るなよ。調子に乗り始めた時に油断は生まれ命を落とす」



シンの飴と鞭の様な発言にトラリーは喜ぶと同時に改めて

気を引きしめる。



「はいっ!!!」




そんな2人を見ていたリリアは何故か不貞腐れている。


レイラはリリアの様子に気付き話し掛けた。



「リリアさんどうかしましたか?」



リリアは不貞腐れながらも



「だって、トラリーったら私が師匠なのにシンにいち早く報告するんだもん!!! それにあんなに嬉しそうにさ!!!」



そんなリリアの発言に、レイラはクスッと笑った。


リリアは嫉妬していたのだ。

炎獄のリリアと恐れられている者が嫉妬している。

それがレイラにはおかしくて堪らなかった。




「ちょっとレイラ! 何楽しんでるのよ!!!」



あまりにも笑うレイラにリリアは恥ずかしがりながらも怒った。


「楽しんでなんかないですよ! リリアさんはしっかりお姉さんなんだなと思ったんです」


レイラは宥めるようにリリアを説得する。



「ま、まぁね! 私はあの子達のお姉さんだからね!」



そんな話をしているとトラリーがリリアの元へ来た。



「リリア姉さん! 僕の魔法はどうでしたか?! リリア姉さんに鍛えてもらったおかげで一撃で倒せるようになりましたよ!!!」



嬉しそうに話すトラリーにリリアも照れくさくなりながらもトラリーを褒めた。



「え、えぇ! よくやったわねトラリー。流石は

『私の!』愛弟子ね!!! これからも鍛えていくからちゃんと付いてきなさいよ!!!」



レイラはそんなリリアを見て現金だなとまた笑っていた。




魔物も無事倒し、家へ帰ろうとすると、ムムが魔法が使えなかったと駄々をこねたのだ。


そんなムムの為にシンが自分の手を斬ろうとして練習代わりになろうとしたのを止めるのが大変だった事はここだけの話である。

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