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皆の一日

ゼノンは朝日が昇るのと同時に目を覚ます。


ベランダに出ると綺麗な街並みが見える。


ゼノンが住んでいる領主館を中心に4方向に道が伸びている。

道の両脇には家や畑が並ぶ。




ゼノンの館にはスライムのライム、ムム、トラリー、リリアが住んでいる。


レイラは彼女の願いで教会を建ててあげ、そこに住んでいる。

エリシアは畑の近くの家に。

シリュウはレストランの二階に暮らしている。

フィルルは鍛冶場に寝泊まりしていた


そしてフレイ、バリアン、シンは空いている家に住んでいる。


ゴブリン達にはでかい旅館みたいなものを造ってあげそこで雑魚寝している。


つまり、この街だけで全てが事足りる生活を営めていた。




朝、昼、晩飯はシリュウのレストランでそれぞれ食事をとる。


それ以外の時間は、ムムがレイラに聖魔法を習い、空いた時間はフェンリルのレオンやミノタウルスのミノと遊んでいる。


そしてバリアンにも良く懐いており遊んでもらっていた。



トラリーはレイラに火魔法を習い、その他の時間はシンやバリアンに剣術、武闘術を習っている。



バリアンは優しいがシンは厳しかった。

だがそれでもシンは嫌な顔をせずトラリーに付き合っている。

シンは弱いものが嫌いだ。

ゼノン一家を名乗るなら強くなければならない。

だからシンは厳しくしていた。



エリシアは畑仕事を終えるとゼノンの住む領主館へ来て

スライムのライムと共に家事をしてくれている。




シリュウはレストラン、フィルルは鍛冶場に一日中居る。



皆の一日の流れはこんな感じである。




ムムは魔法の訓練を終えライムとレオンとミノの四人で遊んでいた。


するとシンがフェニックスのイヴを伴って近付いてくる。

シンは魔界に居た頃から一人で居ることが多く目付きが鋭い事から周りに怖がられ誰も近付かず、一匹狼と言われていた。

ライムもまともに話したことすらなかったのだ。

その為シンの登場にはとても驚いていた。


シンは何も言わずムムを見つめていた。

何か言いたそうで言えないような空気を放つシン。

その事が気になりムムはシンの元へ近寄る。


ムム「こんにちは!!! あなたは・・・・・・えっと・・・・・・」


シン「・・・・・・シンだ」


ムム「そうだった!!! シンお兄ちゃん!!!」


ムムの言葉にシンとライムは驚く。


シンは自分でも顔が、と言うより目付きが悪いことは知っていた。

魔界でも子供とすれ違うと恐怖の顔になっていたのだ。

まさか人間の娘が自分を恐れず近付いてくるとは思ってもいなかった。

そしてライムも同じであった。

ムムの恐れ知らずのその性格には驚愕を隠せない。



シン「・・・・・・お兄ちゃんだと?」


ムム「うん!!! この家は皆が家族なの!!! ゼノン様がお父さんだからシンお兄ちゃんはお兄ちゃんなの!!!」


ムムはシンの鋭い目付きにも物怖じせず話し続ける。


シン「・・・・・・そうか。ムムと言ったか? この子を、イヴも一緒に遊ばせてやってくれないか?」


イヴはいつもシンにくっついており全然動く事をしなかった。

その為、シンはイヴの運動不足を心配していたのだ。


イヴを遊ばせるなら同じ魔物同士の方が良いと思いムムの元へ訪れた。


イヴは最初こそ不安がりシンから離れなかったがムム達が安全だとわかると空を飛び共に駆け回ったり隠れんぼをして遊んでいた。


シンは木を背に座り、皆を眺めている。


「子守りですか?」


シンが後ろを振り返ると、そこにはフレイが居た。


シン「・・・・・・イヴが心配でな」


フレイ「ふふっ、本当にシンは動物が好きなのですね」


シン「俺が孤児の時ずっとそばに居てくれたのはウルフだった。魔物や動物は裏切らないからな。」


フレイ「ここに住む、人間やエルフ、ドワーフ達も優しい方ばかりですよ」


シン「・・・・・・かもな。」


二人で話しているとムムが走ってやって来た。


ムム「ねーねー!!! フレイお姉ちゃんとシンお兄ちゃんも一緒に鬼ごっこしようよ!!!」


二人の袖を掴み引っ張るムム。

フレイは笑顔で了承したが、シンは目を細めている。


フレイ「そんな怖い顔ばかりしては、ムムちゃんが泣いてしまいますよ?」


ムムを気遣ってフレイがシンに注意する。

しかし、シンは元々こういう顔だと否定し、遊ぶのを断った。

そんなシンをムムは寂しいのかと勘違いし、さらに積極的に誘う事にした。


ムム「シンお兄ちゃんは全然怖くないよ!!! だってイヴちゃんがこんなにシンお兄ちゃんに懐いているんだもん! それはね、シンお兄ちゃんが優しいからなんだよ! だから皆で遊ぼう?」


ポーカーフェイスのシンは驚きのあまり口が半開きになっていた。

子供は愚か、大人でさえ寄ってこないのにムムは何度も話しかけてくる。

そして、そんな自分を優しいと言ってきた。


シンはよく分からないが何か心が温かくなる感覚を覚えた。

シンは根負けしたのか付き合うことにする。


シン「・・・・・・私は速いぞ?」


フレイ「ふふっ、こういう時は手加減するんですよ」


ムム「んじゃあシンお兄ちゃんが鬼ね!!! 10秒数えてから来てね!!! 皆逃げろー!!!」


ムムの合図と同時に皆がバラける。


そして、いきなり鬼と言われ困惑するシン。

しかし、やると言ったからにはやらなければいけない。

シンは10秒しっかり数え、次々に皆を捕まえる。




ムム以外の全然があっという間に捕まってしまった。


フレイ「もぉー! 少しは手加減してくださいよ! 神速のシン!」


フレイは容赦ないシンに笑いながら不貞腐れていた。

しかし、シンは本来の半分以下のスピードだと言ってきた。


それでもフレイ達からすると十分速すぎたのだ。


そしてシンはムムに狙いを定め一気に距離を詰める。

必死に走っているムムは石に躓き、転びそうになってしまう。


シンは転びそうなムムを見ると物凄いスピードで駆けムムを抱き抱えた。

地面が近くなったと思ったらいつの間にかシンに抱えられているムムは困惑していた。


ムム「あれ?! 転んだと思ったのに。ありがとうシンお兄ちゃん!」


シン「走る時はよく足下に注意して走るんだ。次からは気をつけるんだぞ。ムム」


ムムは名前を呼ばれた事に驚いた。

それはフレイとライムも同じであった。


シンが他人を気遣う。

そんな光景は見たことが無い。

誰にも関心を持たない男。

魔界でもそう思われていたのだ。


そんなシンがムムに対しては心を開いている。

ムムには何か特別な何かがあるのだとフレイは思うのであった。

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