氷奇のフレイ
西の地
フレイは水辺で立ち止まっていた。
目の前には広大な湖。
そして数え切れない程のリザードマン。
よく見れば、中央に一匹だけ巨大なリザードマンがいた。
上位種である、エンペラーリザードマン。
彼こそが魔王が一人。エンペラーリザードマンの『ジルク』
そして4匹のジェネラルリザードマンを従えている。
「これは凄い光景ですね。水がリザードマンで埋め尽くされています」
あまりの光景にフレイは恐怖ではなく感激していた。
「今ゼノンは留守にしているという!!! 今こそ四人で団結しジグマ城を落とすべし!!!」
フレイの存在に気づかずそのまま湖を進むリザードマン達。
するとジェネラルリザードマンの一人が急に倒れた。
いきなりの事に驚くジルクとその配下たち。
「?! どうしたッ!!!」
突然の襲撃に皆が慌てふためく。
「あ、頭に矢が!!! 矢が刺さっています!!!」
「なにッ?!!! ぬぅ?」
ジルクは遠くの水辺を見る。
そこには弓を携えた女が一人立っていた。
水色の髪に水色の瞳。そして白い肌に細い四肢。
そんなか弱そうな女がこの距離を撃ち抜いた。
ジルクは驚きを隠せずにいた。
「あの容姿・・・・・・まさかッ?!!! 皆急ぎ陸へ進軍せよッ!!!」
ジルクは何かに気付き急いで陸目指して進軍する。
その様子を見ていたフレイは何か気付いたようで
「あら? どうやら私の事を知っているようですね。でも遅いですよ。絶対零度」
湖は一瞬にして凍り付いた。
そしてリザードマン達も全てが凍りついた。
いや、辛うじてエンペラーリザードマンとジェネラルリザードマンの3匹は空中へ跳び、難を逃れた。
「流石は曲がりにも魔王。あの攻撃を避けますか。」
「抜かせッ!!! 貴様を知らなければそのままワシらも死んでおったわ!!! 氷奇のフレイ!!!」
ジルクはフレイの異名も知っていたおかげで、自分と側近達はなんとか生き残ることができていた。
「そうなんですね。私も有名なんですか。でもここでお別れです。氷の矢」
フレイは矢を携えて放つ。
矢尻が凍っている矢はそのままジェネラルリザードマンに向かう。
ジェネラルリザードマン「はっ!!! 矢如き、我の鱗は貫けぬわ!!!」
ジェネラルリザードマンは自分の防御に絶対の自信があった。
そして確かにその矢は貫く事は不可能であった。
しかし、
「馬鹿者ッ!!! すぐ避けろッ!!!」
ジェネラルリザードマンはジルクの発言に疑念を思い避けるのが遅れた。
そしてそのまま矢はジェネラルリザードマンの鱗に刺さる。
ジェネラルリザードマン「はっ!!! 所詮こんな物よ!!!」
かすり傷程度の傷にジェネラルリザードマンは余裕の表情を浮かべている。
しかし、ジルクだけは違った。
「むぅ・・・・・・遅かったか・・・・・・」
次の瞬間、ジェネラルリザードマンの体は矢尻を中心にどんどん凍り付いていった。
「な、何故だ?!!! や、や、め、ろ・・・・・・」
そしてジェネラルリザードマンはそのまま凍り付いてしまった。
「私の力で貫ける訳ないじゃないですか。あと3人。氷極槍。氷棘。」
氷の槍と幾つもの大きな氷柱がジェネラルリザードマン2体を襲う。
数の多さに受け切れず、そのまま2体も凍ってしまう。
残ったのはジルクただ1人。
「ぬぅ、たった一人の女に我が軍が全滅させられるとは・・・・・・抜かったわ。」
「貴方で最後です。魔王ジルク。いえ『エンペラーリザードマンのジルク』」
フレイはジルクが魔王たる存在では無いと判断し、訂正した。
それに対してジルクは魔王の名に誇りを持って名乗っていた為、踏みにじられた事への怒りを覚え、フレイに突進した。
「ワシは魔王だッ!!! リザードマンの王ジルク!!! 皆の仇、討ってくれる!!!」
ジルクは三又の槍をフレイ目掛けて突き刺す。
「いえ、貴方が名乗る資格はありません。リザードマンの王だけで居れば死ぬことは無かったのに・・・・・・さようならリザードマンの王よ」
フレイは二本の氷の剣で槍を受け流し、そのままジルクを斬り裂いた。
「私は弓が得意ですが剣も得意ですのよ。では失礼」
フレイの強すぎる魔法と技にリザードマンは絶滅した。
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