豪鬼バリアン
北の地
「ほぉ、中々のデカさだな」
バリアンの前方には魔王が一人、巨人族の『グラゴラス』がいた。
「あーーー? 何だおめえ? 一人で俺らを止めようってのか?」
グラゴラスは配下を500程引き連れ、ゼノンの城であるジグマ城へと向かっていた。
しかし、今、目の前には一人の鬼人族が立ちはだかっている。
ゼノンが配下、『四魔将 豪鬼のバリアン』
「ワシの倍はあろうかのう? だが、デカければ強いというものでもない。 さあ存分に楽しもうぞ!」
バリアンは数の差をものともせず、グラゴラスへ向けて突進した。
その手には巨大な戦斧を持っている。
そんな一人で突っ込んでくるバリアンにニヤッと笑みを浮かべる。
「猪野郎め。てめぇらやっちまえ!!!」
配下である巨人族に指示を出し、バリアンを迎撃させる。
グラゴラスの配下の中には巨人族が多く、皆がバリアンよりも大きかった。
敵がたくさん来るのもお構い無しにバリアンはそのまま敵へ突進し続ける。
そしてぶつかると同時に
---「ザシュッ!!!」---
前列にいた巨人族は、皆が斬られ吹き飛ばされる。
「なっ?!!!」
その光景にグラゴラスは言葉が出なかった。
バリアンよりも大きな巨人族を軽々吹き飛ばし斬り飛ばす。
体には巨人族の血を纏い、まさにその姿は鬼そのものであった。
「お、お前らなにをしている! アイツは一人だ! 早く殺れ!」
焦るグラゴラスは味方を叱咤する。
そんなグラゴラスにバリアンは苛立ち、大きな声で叫ぶ。
「味方ばかり戦わせないで貴様自身が止めればよかろうッ!!! 我が王は常に前線で力を奮っているぞ!!!
貴様の様な後ろでふんぞり返っておる奴など、魔王の器ではないわ!!! どけ貴様らッ!!!」
あまりのバリアンの気迫に巨人族達は自然と道を開いてしまった。
「き、貴様らッ!!! ええいッ!!! 使えぬヤツらだ!!! 我は魔王だ!!! 魔王の力を思い知れッ!!!」
グラゴラスは棍棒は上段に構え、バリアン目掛けて振り下ろす。
しかし、バリアンはそれを避けずに左手で受け止めた。
それも軽々と。
「なっ?!!! 我が渾身の力を片手で受け止めるだとッ?!!! ば、化け物め!!!」
バリアンに掴まれたその棍棒はビクともしなかった。
「ふん。やはり貴様に魔王を名乗る資格はないな。魔王の名を手にするのはゼノン様だけだ! 小童めッ!!!」
同じ魔王でも、ゼノンとは雲泥の差である。
最早比べるのも失礼な程に。
バリアンは棍棒を後ろに引き、倒れてくるグラゴラスの首目掛けて戦斧を振るう。
「ドッスンッ!!!」
グラゴラスの首が地面に落ちる。
巨人族は皆何も言えずに、固まってその光景を見ていた。
「グラゴラス。四魔将が一人バリアンが討ち取ったりッ!!!」
高らかに声を上げると巨人族は皆バリアンに膝を着いた。
「ガッハッハッ!!! 貴様らも中々の力であった!!! 我が仲間になりたくば付いて来い!!! 嫌なやつは故郷に帰れ!!!」
500人居たうちの100人はバリアンに殺され、200人は故郷へ帰った。
そして残る200人はバリアンに従う。
バリアンの後を200体の巨人族が付き従う。
こうして『豪鬼のバリアン』の名はまたしても魔界全土に広がった。
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