表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

193/199

一歩先

互いに攻撃の手を弛めることなく、激戦を繰り広げている。



だが、徐々にシエンの傷が増えていた。

やはり、自力の方は鳥に軍杯が上がる様子。



魔力、威力、スピード、その全てにおいて鳥が勝っていた。



「くっ、、、このままいけば直ぐに負けることは無いが妾の負けは確実か、、、ならば!!! 死龍の誘いデス・ドラゴ・インヴァイト



見えない攻撃。

これは最早シエンの息。


つまり、息を止める他防ぐことは不可能。

相手も技がただの息とは思うまい。




だが、、、鳥は違った。



突如その場で旋風を巻き起こし、死の息吹き飛ばしたのだ。


何かの嗅覚が働いたのか?

それとも、本能がそう叫んだのか。



鳥も確信はなく、突如その行動に移った。



そんな鳥の行動にシエンも思わず冷や汗を垂らす。

これが自身の最強の必殺技だったから。



初見で防ぐことも難しく、尚且つ一度喰らえば死あるのみ。


だというのに一度で防がれたのだ。



シエンは焦りからか、がむしゃらに技を繰り出す。

魔力の残存量など関係ない。



防がれるならそれ以上に繰り出す。

だが、無慈悲にもその全てを鳥は迎撃する。





「あかん、、、躍起になってるわ、、、」


「シエンさん、、、」


「・・・・・・」



それぞれが悲しい表情、険しい表情でシエンを見守る。


そして、三者が同様に思った。



『この勝負、シエンに勝ち目はない』と、、、




いい加減鳥も苛立ちを覚えたのか、巨大な竜巻を巻き起こす。


あまりにも大きなその竜巻は一瞬にしてシエンを巻き込むと

次々に切り傷を増やしていった。



逃げられない斬撃。

終わらない斬撃。


シエンの意識は既に朦朧としている。




(くっ、、、妾は負けるのか? ここまで来て終わるのか?

・・・・・・否! 妾は龍の王! 古代の龍であるぞ!!!

そして、仲間の為にも負けられぬ!!!)



シエンの弱々しい目が一気に見開く。



翼を閉じて体を覆い守っていたが、一気に開き、竜巻を

掻き消す。



古代龍の怒り(ドラゴ・メガ・フレア)



龍の息吹の上位版。

威力はその二倍どころか三倍ともなる。



あまりの威力に鳥もすかさず、自身の最強の技で迎え撃つ。



互いの攻撃は均衡する。

いや、、、僅かにだか鳥の技が押していた。



徐々に押し込まれるシエンの技。

叫ぶジグルドとレビル。



だが、ゼノンは違った。

シエンの目を見て、まだ諦めていないとわかったからだ。



「喚くな二人とも。 妾は負けぬ!!! そして今見つけた。 この技の先を。 恐らく、これが妾の最強の技なのだろう。 古代龍の逆鱗(ドラゴ・ギガ・フレア)



赤い炎が青へと変わり、その威力は桁違い。

押されていたシエンの攻撃が逆に一気に押し返す。



突然の事に鳥も驚くが、既に遅い。

鳥は青い炎に飲み込まれ、一瞬にして光の粒子へと変わり果ててしまったのだ。



負け寸前だったシエンの逆転劇により、見事勝利を収めた。

恐らく、シエン以外の二柱が挑んでいたならば負けていただろう。


相性の問題もあるが、それ程にあの鳥は強かった。





人間形態へと変わり、その場に崩れ落ちるシエン。

龍の姿で居るだけでも辛い様子。


恐らく人間でいる方が楽なのだろう。



辛いながらも笑顔でガッツポーズを向けるシエン。


こんな姿は初めて見る。

それ程に彼女も嬉しかったのだろう。


自分より格上の相手。

そして、新しい技。


シエンは格段に、ここへ来る前よりも強くなった。

それはゼノンでさえも感じた事だ。



「ホンマにすごいで! なんちゅうか、、、凄いで!」



「レビルさん、、、同じことを繰り返していますよ?

ですが、確かに凄かったです。 そして、何故でしょう?

私も今昂っています」



「ふっ、なんじゃ二人とも気持ち悪いのう。 じゃが、確かに

一歩の差で負けていたかもしれぬ。 それ程に奴は強かった」



険しい表情。もしくは悔しい表情だろうか。

奥歯を噛み締めた様子でそう話すと、ゼノンが近寄る。




「だが、お前が勝った。 それが全てだろう?」



ゼノンの言葉に目を見開き、微笑む。



「ふっ、そうじゃな。 結果が全てじゃ。 だからゼノン。

戻ったらまた妾と戦ってくれるか?」



今度は強い眼差しでゼノンを見つめそう語るシエン。


ようやくいつものシエンに戻った。



「うむ。 いいだろう。 だが、手加減はせぬぞ」



その言葉に目を輝かせる。

手加減はしない。 つまり、本気で相手してくれるのだ。



シエンも知っていた。

今までゼノンは一度も本気で相手をすること無く、加減してくれていたのだと。



だが、今は違う。

ゼノンは本気を出すと言ってくれた。


それがシエンにはとても嬉しかったのだ。



そして、安堵からかシエンはそのまま倒れて眠ってしまう。

いや、今度はゼノンに抱えられ、ゼノンの腕の中で健やかな表情で眠りについた。



こうして、シエンの四回にも渡る激戦はシエンの全勝により終わるのであった。


何よりシエンはさらなる強さを手にしていたのだ。


「面白いな、続きが読みたいなと思ったらブックマーク、高評価をお願いします。そして誤字脱字や意見などあったら是非コメントしてください。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ