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好敵手

また振り出しに戻るレビル。

そして、一向に攻撃が通らないシエン。



互いに終わりの見えない戦いに業を煮やしている。



「ちっ、なんやねんこいつ! ちょっとでも当たれば逆にわいがやられてまうわ!」



猿の剛腕から繰り出される、殴打の嵐。


その図体からは想像もつかない程の速さで殴ってくる。

更に一発一発が致命傷になりかねない。



対して、レビルの攻撃は度々当たっているものの、皮膚の硬さや、筋肉量によりダメージが阻まれている。



とにかく避けては攻撃を繰り返し、少しでも相手にダメージを与える。

それしか今の手はなかった。





対するシエンはというと一方的に攻撃を繰り出している。


傍から見れば優勢間違いなしにみえるが、実際は違う。


羊には全く攻撃が入っておらず、ただそこに立ち尽くしているだけだ。

まるで何かを待っているかのように。



恐らく魔力切れだ。

いや、それしかないだろう。


羊はシエンが無駄に攻撃を放ち、魔力が枯渇するのを待っている。


そして、魔力が枯渇した頃に悠々とやる気なのだろう。

だが、それはシエンも理解している。



「妾がどれくらい生きていると思うているのじゃ。

舐めるなよ羊が!!! 古代龍の怒り(ドラゴ・メガ・フレア)



シエンは自信の必殺の技を放つ。



これは先程竜を倒した時の技であり、シエンのもつ技の中で最強の技だ。


魔力消費が激しい為、温存していたがそうも言ってられなくなった。



羊目掛けて放たれる技。



しかし、ここでとうとう羊が動き出す。




「メ゛エェーーーーーッ!!!」




咆哮を上げる羊。


するとシエンの攻撃が反転し、シエンの放つフレアは自分自身へと跳ね返る事となったのだ。


突然の事で、そして動かないと思っていた羊が動いたことにより、驚き反応が少し遅れる。



「くっ!!!」




自分の攻撃をもろに受け、人間形態へと戻ってしまう。

魔力消費の節約でもあるが、純粋に戻らざるを得ない状況に追い込まれたのだ。




ぼろぼろになり、倒れるシエン。



生きているのかも分からない。

それほどのダメージを受けてしまったのだ。





「助けに行かなくては!!!」



後ろで見守っていたジグルドが動き出そうとする。



が、ゼノンは結界を解除することはなかった。



「我が主よ、お願いです。 我が仲間を、我が友を、助けに行くことをお許しください」



頭を深く下げる。



「ならん。 これはシエンの戦いだ。 シエンが自分で限界と言うまでは、私達が手を出すのは野暮というもの。 違うか?」



「で、ですが、シエンはもうぼろぼろ、、、もしかしたら既に限界で動けないかもしれません」



「シエンを友と呼ぶのなら信じろ。 奴は今もしっかり立ち上がろうと奮起している」



「えっ???!」



ゼノンの言葉にシエンの方を見ると、確かに立ち上がっていた。

ぼろぼろになりながらも確かに自分の脚で立っていた。



「シエンさん、、、」



そして、目の闘志は未だ衰えておらず、しっかりと羊を睨み付けている。



「はぁ、はぁ、はぁ、妾をここまで追い込んだのはゼノン以来かのう。 言うて、妾の攻撃に追い込まれた訳じゃが。

となると、やはり妾の力は最強という事じゃな。

お前は確かに最強の防御力を備えておる。

よって、たった今完成した妾の技を見せてやろう。

死龍の誘いデス・ドラゴ・インヴァイト




羊は身構える。




何も起こらない。

何かをするつもりだったのだろうが不発に終わったのか?

待てど待てど、シエンから攻撃が放たれる素振りは見られなかった。



一向に攻撃してこないシエンに苛立ち始め、とうとう羊から動き出す。

いや、動けない。


それどころか、口から吐血し、苦しくなってきた。

羊は何が起きたのか分からずに悶えていると、シエンが近付く。



「お主の防御力は正しく最強じゃ。 だから、中からやらせてもらう事にした。 妾の吐いた死息を吸い込ませてのう。

警戒して呼吸を止めるべきじゃったな。

少しでも吸えば、死は間逃れぬ」



羊は倒れ、死ぬ間際までシエンを見続ける。


最後の最後て油断してしまった。

てっきり、先程の技はシエンの限界が来て魔法を失敗したのかと思っていた。



「お主程苦戦した相手は久しぶりじゃ。 本当に死ぬかと思ったぞ。 安らかに眠るがいい。 天龍の誘いヘヴン・ドラゴ・インヴァイト



最早、死ぬのは目に見えている羊に対して更なる魔法を繰り出す。


だが、今回の魔法は先程の技とは違い、痛みもなく、むしろ

天へと昇る快楽を与え、死に致しめるものだ。


シエンなりに相手を気遣っての事だ。

腰を下ろし、羊の腹部に手を当てる。


そして、羊の瞳を見つめた。



「なんじゃ、、、こう見ると中々に綺麗な瞳をしているじゃないか。 また会おうぞ『メル』」



突然の名付けに驚く羊。

だが、少し気に入ったのか小さく鳴いて応えてくれた。



そして、最後に好敵手であるシエンをじっと見続けながら光の粒子へとなって天へと昇る。




そんな光をシエンはいつまでも見続ける。



「あの光は一体どこへ行くのじゃろうか。

また会いたいと思うのは、不思議なものじゃ。

ひとまず、こで終わりじゃな」



こうして、長く続いたシエンの戦いはシエンの勝利に終わるのであった。

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