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長期戦

レビルと猿は互いに避けながら殴り合い、激しい近接戦闘を繰り広げている。



魔法を放とうにも、全く止まない雨のように降り注ぐ為

それをガードしつつ反撃の拳をいれるしかなかった。



とはいえ、レビルも近接戦闘が得意である為、特に不便はしていない。


むしろ、自分の拳で猿の顔を殴らないと気が済まない。

そういった様子で、殴打を繰り返していた。




こちらは長引くだろう。

ゼノンはそう思い、シエンへと顔を向ける。



するとちょうどシエンの魔法が発動していた。



龍の息吹(ドラゴ・フレア)



シエンは戦う際には、必ずこの魔法を放つ。

これで死ぬならよし。 死ななくとも、この魔法の防ぎ方で

相手の強さがわかる。


つまり、この一撃で相手の力量を測っているのだ。




シエンは羊を見つめる。

この魔法をどう対処するのか。


魔法で相殺する。 その場を退く。

果たしてどちらか。



否、どちらでもない。


羊は何もすることなく、シエンの魔法が直撃したのだ。



シエンの小手調べの技とはいえ、その威力は凄まじく

他の三大恐慌達でさえモロに食らったらダメージは入る。


それを羊は何もする素振りもなかったのだ。


そう。防御魔法さえ使っていなかった。



辺りを煙が立ちこめる。

それほどの凄まじい威力だった。


だが、シエンは油断せず着弾点を見つめる。




居た。

羊は先程と変わらず立っている。


周りの地面はぼろぼろとなっているが、羊は全くの無傷。

その表情も先程と何ら変わりは無い。


全くの無傷というのは初めてだ。

最初に戦った虎でさえ、多少の傷を負っていた。


だが、この羊はというと傷一つない。



「ほう。 やるのう。 その身体中の毛皮はただのお飾りじゃないということじゃな。 なら次はこれじゃ---龍の爪撃(ドラゴ・クロウ)



次は近接攻撃。

羊が先程から全く動かない為、近接しても問題ないだろうと思う。


もちろん警戒は怠らないが、この爪で、自分の手で攻撃をしてやろうとシエンは行動に移った。




「ザシュッ!!!」




確かに切った。

切ったハズなのだが、切っていない。


今までに経験したことの無い感触だ。

全く手応えがない。

硬くて防がれたとか、滑るように受け流された訳でもない。


まるで空気を切ってるかのような感覚。

自分は空気をただ切っていただけ。


そう思えるほどに手応えがなかった。




「なんじゃお前は、、、その分厚い毛皮に何かあるのか?

くっ、こうなったら攻撃あるのみよ! 龍の雷(ドラゴ・ブレイズ)



シエンが天に手をかざす。


すると、天より降り注ぐ雷の数々。


その一撃一撃が島を破壊しそうな程の威力。

それが何発も、、、何十発も降り注ぐ。



更にはその全ての雷がシエンの操作によって羊へと降り注ぐ。

まさに逃げられない天災だ。




が、、、やはり羊は無傷。

全く微動だにもしない。

更に言えばやはり、防御魔法も使用していない。


つまり、自分の体の力だけで受け止めたということになる。



「流石に腹が立つのう。 なんなのじゃこやつは。

攻撃してくる訳でもなし、避ける訳でもなし。

こんなにも虚しい戦いは初めてじゃ・・・・・・ならば、、、

ならば攻撃あるのみよ!!!」



更にシエンも攻撃の雨を降り注ぐ。

何度でも何度でも、この攻撃の手を緩めない。



こちらの戦いも進展が無いため長引くだろうとゼノンは思った。




そうして、レビルとシエンが戦っている中、ようやくジグルドが目を覚ます。


枯渇していた魔力もゼノンの魔法によって増強してもらった。



「申し訳ありません、我が主。 お手を煩わせてしまったようですね。 レビルとシエンも今戦闘中ですか。 戦況はどうです?」



「うむ。 互いに攻め手を欠いている。 対して相手はまだ本気で攻撃をしてきていない。 二人が不利なのは間違いなかろう」



ゼノンの言葉を聞き、そっとジグルドも二人の戦いに目をやる。


ジグルドは猿と互いに攻撃を繰り返しており、互角に見えるが

シエンと羊は違った。


シエンが一方的に攻撃しているのに対し、羊の方は何もしていない。


シエンの体力切れでも待っているのだろうか?


しかし、シエンは古代の龍とも呼ばれており、体力も無尽蔵である。


つまり、体力切れは期待できないだろう。



となると先に決着が着きそうなのはレビルの方だろうか。



ジグルドはレビルの方へと視線を向けた。






「ちっ! この猿助がッ!!! 図体の割に繊細な動きをしよるからに!!! ならこれでどうや! 水玉アクアボール!」



巨大な水を出し、猿の頭目掛けて飛ばす。


当然猿も喰らうまいと、叩き割る。

簡単に割れた為、肩透かしな気分を味わい、余裕の笑みを浮かべた。



「へっ! その笑みもいつまで持つかみものやな!」



突如猿の頭を覆う水の玉。

先程割ったのに何故?

そう思うも、時すでに遅し。



レビルは初めから二つの水玉を出していた。


割られる前提の囮玉と上空である死角から出した本玉である。



そして、案の定猿は囮玉だけに目が行き喰らってしまった。



猿は先程同様水玉を割ろうとするも、何故か割れる気配は無い。

何度やっても頭から離れないのだ。



「さっきの奴と同じと思っとるん? こんな水玉だけど、最上級

魔法やで? 最初に出したのは初級の方やけどな!

ちなみに今出した水玉は、わいの涙や。 そこらの水よりも

遥かに強力な弾力やで! そないなパンチで割れるほどやわじゃないわ! 窒息して去ね」



レビルの言う通り、悶えるも水が割れることはなく、どんどん猿の肺から酸素が枯渇していく。



この涙は貴重であり、ここまでの大きさを貯めるのに100年以上掛かった。

だが仕方ない。

出し惜しみなどして勝てる相手ではないと判断したから。



「ふぅ、、、今回は楽やったな」



そう思い、トドメを誘うと技を使おうとすると、突如物凄い吸引音が聞こえてきた。




あろう事か、猿はレビルの水玉(涙)を飲み干したのだ。


飲み干せる量では無い。

だが、圧倒的肺活量でそれをやり遂げた。


そして、窒息から間逃れたのだ。



「ちっ! そんなんアリかいな、、、また振り出しやんけ。

わいのとっておきだったっちゅうに、、、」



額に汗を垂らすレビル。


目の前には息切れをしながらもコチラを睨み付ける猿の姿が。



こうして、レビルの戦いは終わるかに思えたが、再び振り出しへと

戻るのであった。

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