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第8.9の島

「はぁ、はぁ、はぁ、、、くっ!、、、」



最早立つのも辛いほどに疲弊しきったジグルド。

そのまま前に倒れる。


魔力は枯渇し体力も限界。

体に傷はなくとも中身は既にボロボロなのだ。



だが、地面に倒れることは無かった。



受け止めてくれる『仲間』がそこにいたから。



「ようやったわ。 今回ホンマにあかんかと思ったで。

信じきれてなくてすまんかったのう。

最高の戦いやったでジグルド」



レビルが体を受け止めてくれたから。


普段はこんなに褒めるような男ではないのだが、流石にあんなにも熱い戦いを見たらレビルも居てもたってもいられなかった。



「あ、ありがとうございます。 ですが、そんなにも貴方に褒められると何だか変な気分ですね」



「なんやねん我! せっかく人が褒めてあげてるっちゅうにッ!!! でも、そんな口がきけるようならまだまだくたばらんな!」



レビルの激励。

それは確かにジグルドの心に染み込んでいた。


レビルの肩を借りながらゼノンとシエンの待つ場所へと向かう。



「我が主よ、無様な戦いを見せてしまい申し訳ありませんでした。 ですが、この戦いで何かを掴めた気がします」



体はボロボロであってもその闘争心は燃え尽きていない。

むしろ燃えたぎっている。



「謝る必要は無い。 お前の戦いを非難するものなど誰もいようが無い。 良い戦いを見させてもらったぞ」



ゼノンのたったその一言で、ジグルドは報われた気がした。


戦い終わっての安堵からか、ジグルドはそのまま微笑みながら眠るように気絶してしまう。



「なんや? 骸骨でも眠るんか? しゃーない。 わいが運ぶから次行こうや! あんな戦い見てたら滾って仕方ないわ!」



ジグルドの戦いに感化されたレビルは、早く戦いたくて仕方が無い様子。



「なら次はお主が戦うがよかろう。 そのまま呆気なくやられんとええがのう」



「お前は本当に嫌味ったらしい奴だな!!! 少しは仲間を想いやるとかないんかい!」



まるで夫婦喧嘩をしているかのように言い合いをする二人。


この二人は会う度に喧嘩をする為、ゼノンやジグルドも慣れたものだ。



二人の痴話喧嘩を聴きながらも次なる島へと到着する。



が、何故かこの島から魔物の反応が無くなっていた。


先程までは確かにあったのだ。

辺りを警戒するも全く気配は無い。



「ふむ。 先の島へと転移したようだな。 この先から二体の魔物の反応がある」



ゼノンが魔力探知でその動向を探り当てた。


この島にいた魔物は何故か先の島へと入ったのだ。

つまり、この先では二体の魔物が待ち構えているという事になる。



「なんやて?! そんなら二体を相手にするっちゅう事かいな!?」



「妾一人でも別に構わんがな」



「はぁーーーッ?!!! 一体でもギリギリなのにアホ抜かさんといてや!」



「ぐっ、お主だってギリギリだったではないか!!!」



またしても、二人で言い合いを始めてしまった。


しかし、そんな中ゼノンが二人を唖然とさせる言葉を発する。



「二人でやればよかろう。 相手が二体ならこちらも二人でいけばいい」




「ッ?!・・・・・・。」



思わず顔を見合い、固まる二人。


確かに今までの傾向だと、一人で勝てるはずがない。

恐らく敵の強さも上がっている。


むしろ負けるかもしれない。



「ふっ、まぁいい。 行くぞ」




いつまでももどかしい感じを醸し出す二人を置いて前へと進むゼノン。






再び歩き、島へ着くとやはり居た。


羊と猿だ。


やはり、普通の羊や猿よりも二回り以上大きい。

更に、羊の魔力は膨大でありシエンよりも多かった。


対して、猿はふてぶてしい体で近接専門の様子。



「なるほどのう。 恐らく近接と遠距離のペアなのだろう。

おい蛇公、お主近接はいけるかえ?」



「んあっ?! なんでもできるっちゅうねん!」



「ならばお前があの猿を食い止めていろ。

そな間に妾が羊を倒して、お前の事を助けに行ってやる」



シエンは悪気は無い。

素で言っているのだ。


だから、余計レビルは腹を立てている。



「なんやとッ?!!! わいが直ぐに終わらせて助けてやるっちゅうねん!!!」



兎にも角にも二人ともやる気十分である。



対して、猿は不敵な笑みを浮かべてこちらを見つめ、羊はというと不気味な瞳でこちらを見続けている。



「なんやあの猿助、わいらを挑発してるんか?」



「あの羊の目も気に食わん。 やるぞ蛇公」



「おう」



どうやら、二人とも意見は一致したようだ。

共に戦い奴らを倒す。


二人の頭にはそれしかない。




いつまでも不敵な笑みを浮かべコチラを見つめる猿に対して

レビルもニヤッとした。



そして猿が瞬きした次の瞬間には何故か目の前にレビルが居た。

数十メートルはある距離を瞬き一つの瞬間にやってきたのだ。


猿も突然の事で呆けた顔をしていると、既にレビルは拳を構え

振り被ろうとしている。



「その気持ち悪い笑顔、苦渋の顔にさせてもらうからのう!

水覇拳ウォーターバレッド!!!」



猿のお腹にレビルの拳が突き刺さる。

手には水を纏い、常に水は超振動をしており、威力も数倍となっている。


先程のジグルドの戦いを見ている最中に考えた新技である。

単純ではあるものの、威力も凄まじく、魔力消費も少ない。




殴られた猿はというと、不意をつかれたという事もあり、吐血し吹き飛ぶ。



「二度とその不細工な笑顔見せんなや」



レビルと猿の一手目はレビルに軍杯が上がるのであった。




そして、もう一つの戦い---。




「蛇公もやりおるのう。 妾達も始めるかのう?」



無表情の羊に不敵な笑みで見つめるシエン。



こうして2-2の戦いが始まるのであった。

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