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留守番組

ゼノン達が天界、メフィ達が下界へ行く頃、地上ではトラリーとムム達が大人しく待っていた。



長期休みが重なった為、皆が家にいることが多い。



この家の全てを任されているゼノンの右腕たるルシウス。

彼は書類を持ちながら廊下を歩いている。


ふと、窓を見れば庭には一人座り込むムムの姿が。



(あれはムムお嬢様。 何やら浮かない顔をしている)



ゼノンとメフィが旅立ってからムムはずっと元気がない。

もちろん、全く笑顔じゃない訳では無い。


だが、どこか作り笑いの様なその表情は、誰が見ても気付いた。



ムムはフェンリルたる、レオンを枕にしながら庭で寝転がる。


空を見つめ何かを思う。



「ねぇー、レオン、ムムは何も出来ないね。 お父さんもお母さんもお兄ちゃんもお姉ちゃんも皆が頑張ってるのに、ムムは何も役に立てないよ」



周りの人には愚痴ることが出来ないが、レオンには自然と愚痴をこぼすことが出来る。



(そんな事ないよムム! ムムの聖魔法は凄いってレイラが言っていたよ! 今はまだ子供なんだからそんなに焦らないで)



レオンの言葉に空返事で言葉を返す。



すると、後ろから何やら足音が。



「日向ごっこですかなムムお嬢様」



ムムが体を起こして振り返ると、そこにはルシウスの姿が。



「違うよ。 ムムはね、今ね、劣等感に苛まれてるみたい」



「?!」



突然難しい言葉を使うムムに驚く。

恐らく最近誰かがその言葉を口にして使いたくなったのだろう。


子供というのは覚えた言葉を直ぐに使いたくなるものだ。



「これはこれは、ムムお嬢様、そんな難しい言葉をよくご存知で。 先程、レオンに話しかけておられましたな。 貴女は自分の非力さに悲しんでおられる様子。 ですが、一つ言わせてもらいましょう。 その道を辿ってきたものはムムお嬢様だけではありません。 誰しもが通る道なのです。 何故なら子供だから。

貴方の父であるゼノン様でさえも、自分の力の無さに深く悲しんだ日もありました。 ですから、ムム様、今は焦る時ではありません。 悲観するときではありません。 大人になって後悔しない為に頑張るときなのです。 大人になる為の準備期間が子供なのですよ」



ルシウスの言葉に目を輝かせる。

少し、ムムには難しく長い話であったが、それでも要所要所をしっかりと理解した。



「わかったよ! ありがとうルシウスおじさん!!! ムム、頑張る!!!」



ようやく、いつものムムに戻った。

そんなムムを見てレオンはルシウスに吠える。



「ワオンッ(ありがとう)!!!」



魔物の声は聞こえないが、確かにそう聞こえた。



ルシウスは微笑むと、その場を後に仕事に戻って行く。




そんなルシウスの元へ一人近寄る。



「ルシウス様、ありがとうございます」



振り返るとそこに立っているのは、この家の管理を任されている執事長たるハドソンだ。



「これはこれはハドソン殿。 やはり、ハドソン殿もムムお嬢様の落胆に気付いておられましたか」



「えぇ、ですがなんと声をかけたら良いものかと考えておりました。 本当にありがとうございます。 よければ、古酒が手に入ったので晩酌で御一緒にどうですか?」



「それは良いですね。 お供させて頂きましょう」



お互い歳を召している事もあり、話が合う。

二人は夜の約束をすると、それぞれ仕事へと戻って行った。




レイラとエリシアは、ソルとルナの面倒を見ている。


赤ちゃんということもあり、ほぼ一日付きっきりだ。



「メフィ様は本当にすごい御方です。 もちろん強さもそうですが、母としてもすごい御方です。 一人で二人も見ているのですから」



一人でも大変なのに、二人も見るなどエリシアには考えられなかった。

とはいえ、ソルとルナはあまり手が掛からない為、親孝行な赤ちゃんである。



「でも、エリシアさんもお手伝いなさっていますよね?

お母様が言っていましたよ。 エリシアさんが自分の仕事を中断してまで育児を手伝ってくれるって」



そう。 エリシアは自身の仕事を同じ仲間であるエオメルに任せ

育児を頻繁に手伝っているのだ。


何故なら、エリシアは赤ちゃんが大好きだからだ。



今まではそんなに関わったことがなかったから分からなかったが、ソルとルナに出会ってわかった。



自分は赤ちゃんが大好きなのだと。


そして、自分も欲しいなと思っていた。




「エリシアさんもそんなに赤ちゃんが好きならエオメルさんと作っちゃえばいいのに♪」



突然の事に思わず吹き出す。



「な、な、何を言ってるんですかッ?!!! わ、私がエオメルと?!!! や、やめてください!!! そ、そんなのあ、有るわけないじゃないですか……」



分かりやすいほどに顔を真っ赤にして叫ぶ。

そんな姿を見てフレイは微笑んでいる。



「ふふふっ、エリシアさんって凄い真面目でお堅いイメージがあるけど、本当は誰よりも乙女ですよね♪ エリシアさん可愛いなー」



からかい続けると、やり過ぎたのか頬を膨らますエリシア。



「もう! そ、そんな事よりそろそろこの子達のご飯の時間ですよ! シリュウの元へ行きましょう!!!」



この話を変えたくて逃げるようにシリュウの元へ早足で行く。



「待ってよエリシアさん!!! うっ!、、、ご、ごめんなさい!!!」



エリシアを追いかけようと走っていたら、人とぶつかってしまった。

謝りながら、誰だろうと顔を見上げるとそこに居たのは、




「ガ!ガルムさん!」




ガルムは驚愕した。


実の娘であり、なるべく会わないようにと避けていた娘。

そんな娘が目の前に現れたのだ。

驚かずにはいられない。



いきなり現れた娘にガルムは、、、


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