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モノマネ

『下界』そこは薄暗く、空気の重い世界。


まさに死者の世界といった感じだろうか。



「久しぶりに来たけどやっぱりここは嫌いだなー。

でも、ゼノンを一人にさせない為にも頑張らないとね!!!」



メフィはここへ何度も来たことがある。

今ある力もここで培った賜物なのだ。



「確かに、ここはなんだか嫌な感じがします。

生きているものが入ってはいけいない気がします」


「そうね。 私でさえ少し身震いしてしまうわ。」


「久しぶりじゃな! ワシらでさえ恐怖する世界なんて!

確かにここなら強くなれそうじゃ!」


「これで父上との距離を少しでも縮められるはず」



四魔将がそれぞれ思い思いに話していると、突如エンレカが

必死の形相で叫ぶ。



「皆! その場を離れてッ!!!」



エンレカが大きな声で叫ぶ。

だが、エンレカが何かに気付いた時点で、四魔将達も何かを察知したようでその場を離れていた。



すると、先程立っていた場所から突如、無数の黒い剣山が

出てきたのだ。


少しでも反応が遅れていれば、今頃串刺しになっていただろう。



皆が驚く中、メフィは微笑んでいた。



「ふふっ、久しぶりの再開なのにとんだ歓迎ね。フリード」



メフィの見つめる先。

そして、みんなも視線の先を見る。




ゆっくりと歩いてくるのは、黒と銀色の混ざった長髪に鋭い目つき。

身長は高く細身の男だ。



「ふっ、これくらいで死ぬようでは再開する意味もないからな。 何百年振りだメフィ。 そして、お前一人で来なかったのは初めてだな」



怖そうな見た目ではあるが、どうやら話は通じる様子。

それに、メフィを愛称で呼ぶところを見ると深い仲でありそうだ。



シンは突然の攻撃に腹を立てているのか睨んで今にも攻撃を仕掛けそうだが、その他の四人は警戒を解いた。



「そうね。 実は貴方に頼みがあるの」



「こいつらを強くしてれ、、、か?

確かに魔力は普通のもの達より遥かに多そうだ。

そして、力もある。 だが、俺にコイツらを強くするメリットはない。 悪いが断らせてもらおう」



確かにヴァルフリードにとって、この五人を育てたところで

プラスが無いことは事実。

彼には何の得もないのだから。


それでも、強くなるには彼を頼る他なかったのだ。


そして、メフィは彼が断ることも知っていた。

知っていた上でお願いしているのは算段があるからだ。



「ふーん。 いいんだねフリード? せっかく人間界のとっても美味しいお菓子を持ってきたのになー」



メフィの言葉に目を見開く。

そして、他の五人はメフィの言葉に首を傾げる。


お菓子如きで神が釣れるわけないだろと。



「いいだろう。 お前ら全員面倒を見てやる」




釣れた。

神がお菓子で釣れたのだ。



もちろん嬉しさもあるが呆れもあり、この先を不安に思う五人であった。





メフィの機転により、訓練をしてもらえると言う事で、

まずはお菓子を食べる。



「何だこのお菓子は?! 今までお前が持ってきた中でダントツだ! 百年経っただけでお菓子の味もここまで変わるのか?! 美味い、、、」



その、あまりにも美味しいお菓子に驚きを隠せない。

それもそのはず。

何故ならこのお菓子は、シリュウが作ったものなのだ。


今や、シリュウは世界で五本の指に入る料理人とまで謳われている。


そんな彼が作ったのだから美味いに決まっている。



「そうでしょ? 私達はちなみにこのお菓子を作った人の料理を毎日食べているわ! もしフリードがこの子達を強くしてくれればもっとあげるわよ?」



更に目を見開くフリード。

最早、彼もシリュウの手料理に虜のようだ。



「くっ、食べ物で釣るとは、、、いいだろう。 だが、まずはお前達の実力を知りたい。 人間界でいうSランク級の魔物を相手してもらう」




『パチンッ』




フリードが指を鳴らすと、突如五体の魔物が現れる。


人型ではあるものの、顔も体も真っ黒であり、影が現れたような感じてある。

表情も分からない為、不気味な雰囲気を放っていた。



「インプレイマン。 こんな見た目だが、Sランク級だ。

絶滅した魔物だな。 一人一体、コイツと戦ってみろ」



インプレイマンの一体が前に出る。

すると、こちらも一人が前に出た。



「俺から行こう。 お前たちの後だと、見て対処出来てしまうだろう。 初見出なければ意味が無い」



シンが前に進みでる。



「その心配はない。 必ず皆が初見であって、いつも目にする相手だ」



フリードの言葉に皆が首を傾げる。

ただ、メフィはこの魔物を相手にした事があるようで微笑んでいた。



「確かにそうね。 絶対に皆が初見になるはずよ」



どういう事なのだろうか。

四人が疑問に思うも、答えはシンの目の前のインプレイマンによって導き出された。



なんとインプレイマンは姿を変え、シンへと変貌したのだ。


色は若干黒いが紛れもなくシンだ。



それだけでは無い。

腰にもシンと同じ剣を刺している。



「なるほどな。 俺自身と戦うという訳か」


インプレイマン。 相手の姿に変え、更に技術も真似をすることが出来る。



相手は神速でシンに迫る。

その速さは紛れもなくシンの速さ。


つまり、Sランクなんかではきかない。

SSSランクはあるだろう。



シンに接近すると、そのまま剣をシンの首目掛けて振り抜く。


が、すんでのところで避けられた。

避けられた為、一度神速で後退する。



そんなインプレイマンの行動を見つめながらシンは口を開いた。



「確かに速いな。 だが、お前の力は俺を完全に真似ることは出来ないようだな」



シンは下がるインプレイマンよりも更に速く近接する。

インプレイマンも慌てて剣を振りぬことするも、それ以上に速くシンの抜刀で首を斬られた。


まさに一瞬の出来後である。



そう。インプレイマンは相手の全てを真似ることが出来るが、その力は9割が限界。


つまり、この事に気づければ本人が負けることは無いのだ。


それでも苦戦は強いられるだろうが。




「やるな。まだ一分も経っていないだろう。 よし、次の者前に出て戦え」



シンが戻ってくると、次はリリアが前に進みでる。




こうして、フリードの最初の訓練を皆がうけるのであった。

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