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下界

皆が激戦を繰り広げている中、地上世界ではメフィが一家の皆を召集していた。



議題はもちろん、、、



「私達もゼノンの元へ行くわよ!」



突然の申し出に全員が驚く。


皆もちろん行きたいのは当たり前。

だが、行くにしたってレイラに扉を作ってもらい、更には

ゼノン一人でも開けるのが厳しかった扉をまた開かないと行けないのだ。



さすがに全員が揃ってもそんな事は不可能であった。



「お母様、私達の力を合わせても、扉を開くには魔力が全然足りないと思います。 悔しいですが待つしかないかと」



フレイが冷静に判断をし、母を諭す。



「むーーー、なんなのよゼノンは! なんで一人で解決しようとするのよ! 私達を頼ってくれてもいいじゃない!

私達は家族なのよ? 家族が支え合わないで誰が支えるのよ!」



その言葉に皆が苦い顔をする。

自分達は頼られなかった。


レイラの話では魔神が出てくるとの事。

そして、それはゼノンの力をも凌駕すると。



だから、ゼノンは強くなる為、家族や愛する者を守る為に一人で、いや三大恐慌達を率いて天界へと向かったのだ。



「俺達の力では、父上の役に立てないのか。 足を引っ張るだけの存在なのか。 これで、また父上と力の差が広がってしまうな」



いつも寡黙なシンでさえ、愚痴を零さずにはいられなかった。



そんな時、メフィはとある事を思いつく。



「そうだ!!! ゼノンが天界で訓練をしているのなら、私達は

下界で訓練しましょう!」



突然の申し出に皆はただただ首を傾げる。


下界とはなんだ?

天界は本の世界でも見たことがあるし、耳にしたこともある。


ただ、下界なんて言葉は一度も聞いたことがない。



メフィはみんなが喜ぶと思って言ったつもりだが、反応が自分とはあまりにも違いすぎて戸惑っている。



「・・・・・・あれ? みんな? 強くなりたくないの?」



その言葉で各々の目が見開かれる。



そして、返事はもちろん、、、



『なりたいッ!!!!!』



ようやく、思っていた反応が見れた事により満足する。


そして、皆が下界を知らない事もわかった。



「どうやら、下界の話は長年の時を経て風化されたようね。

天界を治める神『ヴァルハラ』、そして、下界を治める神『ヴァルフリード』、この二神がこの世界を作ったとされているわ。

ただ、下界とは黄泉の国であり死者の世界。

昔は脅し文句に使われていたようだけど、今じゃ全く耳にしないわね。 とはいえ、私の力もヴァルフリードによって育ててもらったの。 シンみたいな性格をしているけど、とても面倒見のいい神なのよ。 そういえばゼノンにもこの話してなかったわね。

ただ、危険な場所には変わりないわ。

行くのは、『私、バリアン、シン、フレイ、リリア』の五名よ。

他のみんなはここに残っててね」



突如決まったメンバー。

そして、外されたメンバー。


オルレア家にとってメフィの言葉は絶対であり、自分達も自身の力量は理解している。



「ルシウスやガルム、エンレカや他の人達でも、行ける力はあると思うけど、家の事も心配なの。 四人の子供達をしっかりと守って欲しい。 ごめんね」



頭を下げるメフィ。

確かに、トラリー、ムム、ソル、ルナの四人を見守る者も必要だ。


特にソルとルナはまだ赤ん坊。

エリシアとレイラに二人の事は任せた。


後の者たちも二人の補佐やトラリーとムムを守ってもらう。

だが、ここでガルムが手を挙げる。




「あの、奥方様。 一つよろしいでしょうか。 影より守るは私とその部下で十分です。 よろしければエンレカを連れてっては

くれないでしょうか? 彼女の力はまだまだ伸びます。

ただ、私の力では現状維持がやっと。 そして下界というのなら

闇を使いしエンレカは適正だと思われます。

何卒彼女を連れてってはくれないでしょうか?」



その言葉にエンレカはめに涙を浮かべていた。

自分のことをこんなにも思ってくれている。


そして、自分の力をもっと知りたい。

もっと強くなりたいと、常々思っていたのだ。



「た、隊長! いいんですか?!」



涙を浮かべながら不安な様子で伺うエンレカ。

そんなエンレカの頭に優しく手を置き微笑む。


「あぁ、お前もゼノン様の力になりたいと常々思っているのだろう? お前がゼノン様の話をする時は特に楽しそうだったからな。 メフィ様、いかがでしょうか?」



二人はメフィの様子を伺う。




「ガルムがいいと言うならいいわよ! その代わり、死んでも

私のせいにしないでね? それ程に危険な場所なのよ」




脅しの様な忠告ではあるが、それでもエンレカは力強く頷く。


そんな様子にメフィは微笑むと、口を開いた。



「ふふっ、それなら行くわよ! 深淵の道、下界へと誘え、我、

精霊の王也!」



メフィからとてつもない魔力が解放される。


その魔力は目の前に集中すると、いつの間にか大きな穴へと変貌する。



「なるほどのう。 この穴からはイヤな感じがヒシヒシと伝わってくるわい。 トラリー、ムム、この穴に近付くでないぞ」



バリアンが二人に忠告する。

しかし、当の二人はその危険性を全然感じとれていなかった。



だが、トラリーは気付いた。

いや、周りの皆の表情を見て理解したのだ。


この穴の先はとても危険だと。


なぜなら、バリアンだけでなく、他のみんなも顔は強ばり、額から汗を垂らしているのだから。



「おもしろい。 今回ので父上には更に先をいかれてしまうと思っていたが、これでまた距離を詰められるかもしれない」



やる気十分のシン。


確かに皆、緊張はしているが、それ以上にさらに強くなれることへの好奇心の方が勝っていた。


そんな頼もしい家族を見てメフィも微笑む。



「ふふっ、皆やる気十分のようね! なら直ぐに行くわよ!

この穴が塞がったらまた数百年は開けないから。

それに私の魔力もほとんど枯渇しているしね!

ルシウス! 皆の事は任せたわよ」



ゼノンの右腕であり、参謀を務めるルシウス。

そんな彼もメフィには逆らえずにいる。

むしろ、ゼノンの奥方であるメフィを慕っていた。



「はっ、お任せを奥方様。 このルシウス、命を懸けて家と家族を守り抜くと誓いましょう」



その言葉を聞いて安堵する。



「ふふっ、でも貴方も死んだらダメだからね?

それじゃあ行ってくるわね!」



こうして、天界とは別に、地上ではメフィ達が下界へと進むのであった。


ゼノンの力になる為に。

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