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第四の島

シエンの炎により、燃え広がる森。


そんな光景を遠目からでもゼノン達の目には見えた。



「なんやこれ! すげーな! 結局シエンの圧勝や」



「そうですね。 まぁ、我々も人間の姿では互角ですが、本来の姿ならここに住む魔物達に遅れをとることはないでしょう」



「それでも本気を出さなければ勝てまい。 先程の龍王の息吹。 あれはシエンの本気の技だ。 つまり、本気を出さなければ勝てなかったという事だ」



ゼノンの言葉に頷く二柱。

確かにレビル達も本気を出さなければ、こんなに早くはカタがつかなかっただろう。




燃え盛る森から歩いてくるシエン。

龍の形態からゆっくりと歩いてくる。



「待たせたかえ? 次なる島へ行くとしよう」



「うむ。 中々の戦いであった。 先を急ごう」



シエンと合流し、次なる島へ橋が架かった為次なる場所を目指す一行。




「お前達三人がこのままやるとすると、残りは九体。

つまり、一人三体ずつだ。 最初の相手にそれぞれが本気を出して戦った今、苦戦するのは必須」



ゼノンの言葉に苦い顔をする。

確かに、既に本気を出していた。

出さなくても勝ててはいただろうが、時間は掛かり疲労も増していただろう。



そして、この先に行けば敵も恐らく強くなるのは必須。

となると、このまま行って勝てるかわならない。



だから、苦虫を噛み潰したような表情になっていたのだ。



「だかな、私はお前達の力を信じている。三大恐慌の力はこの世界をも恐怖されるとな。 行こう」



ゼノンの言葉に先程とはうってかわり笑みを零す。


そして、やる気に満ち溢れた。

ゼノンの言葉だけで力が漲る。



三柱はゼノンの元へと駆け寄る。



そして、次なる島が見えてきた。


最初の二つの島の様に辺り一面草原だ。


そして、島の中心に一体の小さな魔物が居た。



「ん? あ、あれは・・・・・・『兎』やな?」



そう。皆の見る先に見えるのはごく普通の小さな兎だ。


みんなが驚愕する。

地上界にもいる普通の兎なのだから。



いや、驚いているのはソレではない。

あんなにも小さな兎であるにも関わらず、あの兎からはとてつもない魔力量を感じるのだ。


その量は自分達とは遜色ないほどに。



そして、兎もコチラに気づいた様子。


ふると、突如兎の体はブルブルと震え光り出す。


その体はあっという間に大きくなり3メートルはあろう、巨体へと姿を変えた。


それも二足で立っている。

体もふてぶてしく、まるで大熊の様だ。



「なるほどな。 アレが本物の体っちゅう訳か。

そりゃそうやな。 んじゃ、次はわいの出番や」



レビルが一歩前へと出る。

順番的にそうなる。が、、、



「ちょっとお待ちを。 次は私に行かせてくれませんか?

試したい力があるのです。 お恥ずかしながら、どうも

力を試したくてうずうずしているのです」



後方より、不死の王たるジグルドがそう話す。



普段は大人しく冷静な男であるが、感情的な彼を見るのは久しい。


ゼノンは何も言わずレビルに任せる。



「しゃーねーな。 そこまで言わせたら流石にわいも断れんわ。 その代わり、下手な戦いしたら許さんで?」



レビルがその拳をジグルドの胸に当てる。

つまり、託したという意味だ。



「えぇ、ありがとうございます。 必ずや我等に勝利を」



ジグルドはそのまま前へと歩みでる。


そして、巨大な二足歩行の兎と対峙した。

目の前に来てわかる。


今までの三体の魔物達よりも数段上だ。


つまり、先程よりも苦戦するのは必須。

ジグルドは大きく呼吸を吸ってはいた。



「すーーー、、、ふぅーーー、、、この緊張感、久しぶりですね。 ですが、不思議とワクワクしております。

では小手調べにいきましょう。 闇の閃撃(ダークネス・グロウ)



右手をかざし、手の平より無数の斬撃が兎へと飛び交う。

その斬撃の一本一本がS級ランクの魔物を一撃で葬り去る程の攻撃。



だが、兎には効かなかった。


手から伸びた鋭い爪にて、その斬撃を切り裂く。

更には俊敏な動きで避けている。


スピード、力、共に最高クラスの様だ。



「なるほど。 流石にこの程度では傷すら付けられませんか。 これは骨が折れそうです」



次の攻撃を考えていると、突如兎が目の前へと飛んできたのだ。

ジグルドは決して油断はしていなかった。

目を離していなかったのだ。


それなのに、突如目の前に現れた。

既に相手はその手を振りかざしている。



「くっ! 闇の障壁(ダーク・ウォール)



ジグルドも直ぐに目の前に障壁を張る。

だが、それで防げるほど生易しい攻撃ではなく、障壁を破り

ジグルドの腹部を切り裂き、そのまま吹き飛ばす。



強烈な一撃だ。

生身の人間なら体は真っ二つだろう。



吹き飛んだジグルドはその場をゆっくりと立ち上がる。



「ふぅ、、、まさか障壁も簡単に破られるとは。

そして、全身に障壁を纏っていてよかったです」



ジグルドは事前に体の周りに障壁の膜を張っていたのだ。

これがなかったら、身体は粉々になっていただろう。



「くっ、休ませてはもらえませんね」



休む暇もなくジグルドへと接近する兎。

その爪で次々に攻撃を加えるも、ジグルドもひたすら避け続ける。


少しでも掠れば致命傷となるその攻撃は止まることを知らない。



「なるはど。力、スピードに加え体力も無尽蔵ですか。

このままでは私が負けるのは必然。 ですが、負けるわけにはいきません。 何故ならゼノン様に託されたのですから。

私達に任せると。 ならば、その責務。 果たさなければならない! 究極闇魔法 闇への誘い(ダーク・ナイトメア)



ジグルドの体から闇が溢れる。

それは一瞬にして兎をも包み込む。



避けようにも、空気そのものが闇へとなっている為避ける場所がない。


兎は必死にその腕を振るい闇を振り払うも、そんなもの焼け石に水である。



「はぁ、はぁ、はぁ、やはり、この魔法を体に応えますね。

ですが、これでもう終わりです」



兎はその場に立ち尽くしている。

心ここに在らず。

目の焦点はあっておらず、呆けた顔をしていた。



この技は、肉体的ダメージを与えるものでは無い。

精神を破壊する技なのだ。



兎は振り払う暇があるのならば、急いでこの場を離れるべきであった。


だが、油断から来たのだろう。

兎はその場に立ち尽くしていた為、ジグルドの技を喰らったのだ。



そして、暫くすると心は破壊されたようでその場に「ドシンッ!」

と倒れる。



その姿は光の粒子へと変え、ジグルドの勝利が確定した。




「ふぅ、肉体的ダメージを与えることは出来ませんでしたか。

まだまだ修行が足りませんね」



慢心すること無く、更なる高みを目指すジグルド。

これが不死の王たる力であった。

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