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温泉の魔力

家族皆で温泉に浸かる。


今日も夜空には満天の星空が。


ソルとルナは溺れる為、ゼノンとメフィがしっかりと抱いている。



「ルナも暖かくて気持ちがいいでちゅね♪」



最近メフィはソルとルナに話しかける時、赤ちゃん言葉になってしまう。


わからなくもないが、ゼノンはそれがおかしくて愛おしかった。



ソルも余程気持ちよかったのか、温泉に浸かったまま眠りについてしまった。



「お父さん! ソル寝ちゃったよ!」



ムムもソルの顔を覗き込み寝たことに気付いたようでゼノンに報せる。



「あぁ、赤ん坊は寝るのが仕事だからな。 それに、温泉が余程気持ちよかったのだろう」



気持ちよさそうにスヤスヤと眠るソル。

そして、気付けばルナも眠ってしまった。



「いいなー! ムムも温泉で寝たい!」



ムムのいつものが始まった。

最近赤ちゃんと同じ事を真似したがるのだ。


俗に言う赤ちゃん返りというやつだろうか?



そして、ここで毎回登場するのがバリアンである。



「ガッハッハッ!!! ムム! ワシが抱っこしてやろう!

ワシの腕の中で眠るがいい!」



そう言って両手を広げるバリアン。


皆が若干赤ちゃん寄りになる一方、バリアンだけはソルとルナが産まれてもムムだけを一番に考えてくれている。


一人でもそういった家族がいるおかげでムムは子供にヤキモチせず、暮らせているのだとゼノンは思う。


何せ、ソルとルナがいるとどうしたって二人を主体に動かなければならない。


赤ちゃんは何も出来ないのだから当然だ。



ましてや、今回は双子の為ゼノンとメフィの二人で付きっきり面倒を見なくてはならない。



だから、バリアンの存在には二人もとても感謝している。



それにムムもバリアンが大好きな為、バリアン目掛けて飛び付いていた。



「ムムはいつまで経っても赤ん坊じゃのう!」



「違うもん! ムムはただバリじぃの事が大好きだから抱き着いただけだもん!」



「はう」



突然の告白に思わず鬼の顔が綻ぶバリアン。

鬼神と恐れられているバリアンであるが、今では子犬の様な面持ちになっていた。



「ムムは本当に可愛い孫じゃのう。 ムムに万が一彼氏が出来たらどうしよう、、、ワシ、抑えられる気がしない、、、」



将来のことを考えて身震いする。

下手をすれば殺してしまうかもしれない。


そう考える自分が恐ろしくなってきたが抑える気もなかった。



「ムムはずっと皆と一緒に居るから大丈夫だよ! ムムはこの家族が大好きなんだもん!」



その言葉でまたしても顔が綻ぶバリアン。



「そうじゃよな! ムムは絶対に誰にもやらん!!! ガッハッハッハッ!」



ムムの言葉で上機嫌となったバリアンは声高らかに大笑いした。



「ふっ、やれやれ。 どっちが面倒見てるのかこれじゃあわからぬな」



ムムとバリアンの会話を聞いて微笑むゼノン。



「ほんとよね! ムムに何かあった時、一番怒り狂うのは絶対バリアンね!」



メフィの言葉にゼノンが頷く。



「あぁ、間違ってもムムを泣かすような事は控えよう」



怒り狂ったバリアンはそれこそ手が付けられない。


過去に一度、狂乱したバリアンを目撃したがゼノンでさえも

本気を出さないと止める事が出来なかった。



今となっては懐かしい過去である。




「ねぇ、トラリー! シン!ちょっといい?」



突如名前を呼ばれるトラリーとシン。

二人は端っこで温泉に浸かりながら星空を見上げていた。



前を見ると目の前にはリリアとフレイ、レイラの大人三姉妹ズが居た。


皆、スタイルが良く目のやり場に困るのは言うまでもない。



またしてもトラリーのモノが窮地に立たされていた。



「ど、どうしたんですか?! っていうか座ってよ!!!」



思わず叫ぶトラリー。

目の前でいつまでも刺激的なものを見させられてはたまったものでは無い。



「あらあらトラリーには刺激が強すぎましたね」



そう揶揄いながらフレイは笑って座るとトラリーは頬を赤くしていた。



「そ、それでどうしたんですか?」



急にやってきた三人に戸惑うトラリー。


シンはというと相も変わらず表情を変えず三人を見ていた。



「三人で恋バナしてたんだけどさ! トラリーやシン達はどうなのかなって! ましてやシンなんてミネロヴァとベットで寝てたんでしょ? 詳しく聞きたいなって!」



リリアがそう話すとフレイとレイラも頷いていた。


何故、この話が広まってしまったのか。

言うまでもない。 メフィだ。


メフィが嬉しく皆についつい広めてしまったのだろう。



ため息をつきながら目を閉じるシン。



「母上に聞いたんだな? いいか? あれは事故だ。 突然立ちくらみがしたミネロヴァを介抱していたら体勢を崩してそのままベッド

に倒れただけだ。 俺にそのような感情が無いのは分かっているだろう」



シンの言葉に不貞腐れるリリア。



「なーんだ! つまんないのー! せっかくシンにも恋の予感がしたと思ったのになー! でもお似合いだと思ったけどなー!」



リリアの言葉に頭を抱えるシン。



「恋などいつでも出来るだろうに。 今は剣の腕を磨き、一刻も早く父上に追いつくのみ。 お前もうつつを抜かしてばかりで腕が衰えても知らぬぞ」



辛辣な言葉に頬を膨らますリリア。



「ぶーーー!!! ご心配なく! 私だってやる事はやってます!

それよりもトラリーはどうなの? 好きな人とか出来たの?」



「ぼ、僕は出来ないですよ。 僕もシン兄さんと同じで今は強くなることしか考えてませんから」



真面目な解答につまらないといった表情のリリア。

そんなトラリーにレイラが語りかける。



「トラリーくん。 確かに実技や勉学も大事かもしれません。

でも、恋も人生において大切なものなんですよ?

お父様とお母様を見てください。 二人は愛し合い、子供を産み

次へと繋いでいます。 そうやってこの世界は潤っているのです。 だから、トラリーくんもいつか恋してくださいね!」



何故かレイラの言葉は胸に刺さる。

確かにゼノン達を見ていればそう思える。


それと同時に、、、



「それならレイラ姉さんはどうなんですか?」



まさかの言葉に困惑するレイラ。

人に偉そうに言ったはいいが、自分も恋などしていなかった。



「えっ? あっ、 うん、 アハハー! なんだか熱くなってきましたね! そろそろ出ましょうか!」



そう言って逃げるようにその場を後にするレイラ。



その光景に皆が笑っていた。


こうして、家族の温泉の時間はあっという間に過ぎていくのだった。

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