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思わぬ事件

エンレカを連れて我が家へと戻ってきた三人。

そして、もう慣れたがその屋敷の大きさにエンレカも驚いていた。



「し、師匠の家・・・・・・デカすぎません?」



ゼノンは軽く相槌を打ち、メフィは微笑みながら中へと入る。




「おかえりなさい!」




既にムムは学校を終えて家に帰ってきていた。

その手には赤ちゃんが抱かれている。


ムムは手が小さい為、見ていて危なっかしいがそれでもしっかりと抱いていた。


隣にはエリシアがもう一人の赤ちゃんを抱っこしている。

二人とも眠っているようで、目を閉じている。



「寝ていたか。 すまなかったなエリシア」



ファルとフィルも協力をしてくれていたようだが、彼女達も家事がたくさんある。


その為、ほとんどエリシア一人で子守りをしていたのだ。

だが、エリシアの顔に疲れは見えず、むしろ微笑んでいる。



「いえいえ、むしろ楽しい時間を過ごさせて頂きました。

二人ともとてもいい子だし、全く手のかからないいい子ですよ。 何よりとても可愛いんです」



滅多に見せないエリシアのにやけ顔。

その顔だけで、本心から言っているのだと理解出来る。



「それに、ファルさん達やムムさんもこうやって助けてくれましたしね」



エリシアの言葉で万遍の笑みを見せるムム。

まるで、褒めて褒めてと言っているかのように。


もしムムにしっぽがあったなら最速で振られているだろう。



「ムムもありがとね! 流石はお姉ちゃんね♪」



「うん! ムムはお姉ちゃんなの!」



お姉ちゃんという言葉が余程嬉しかったのか、ムムはご機嫌で踊っている。




しかし、その時だった。




踊っていたムムの足が絡み、そのまま転倒しかける。

もちろん、赤ちゃんを抱いたまま。



「危ないッ!!!」



エリシアが叫ぶも既に転ぶ直前。



闇縫ダークマリオネット!」



突如天井より黒い糸が飛び出し、ムムの身体に貼り着く。

宙ぶらりんの様な体制となり、無事に事なきを得た。



やったのはもちろんエンレカだ。

闇魔法を得意とし、その技はピカイチだ。



ゼノンがすぐ様駆け出そうとしたが、エンレカが動くのを見て敢えて止まった。



ムムとソルの元へ駆け付けるメフィ。



「ムム! ソル! 怪我は無い?!」



二人まとめて抱きしめる。

転ぶ前にエンレカが止めたから怪我はなかった。


だが、ムムの瞳からは涙が。



「ご、ごめんなさい、、、ムム、、、ソルの事怪我させそうになった、、、本当にごめんなさい、、、」



下手をすればソルに大怪我を負わせていた。

だが、ゼノンもメフィも怒りはしない。

何故なら自分で過ちを理解しているから。


人間に限らず、全ての命あるものが過ちを繰り返す。


問題はその後だ。


気にせずにそのままでいるのか、反省し次へと生かすのか。



ムムはしっかりとわかっている。

だから、涙を流し反省しているのだ。



ゼノンはムムの元へと歩み寄る。



「確かにムムはソルを危険に晒したかもしれない。

だが、ムムもちゃんと理解出来た。ならば、私達がお前に怒ることはあるまい。 これからもソルの姉として面倒をみてくれると嬉しいのだがな」



ムムの頭に手を置きながら優しく語りかける。



「そうよムム。 誰でも失敗はあるの。 ムムはたくさん反省したんだからもういいの。 ねっ?」



ムムを抱き締めながら優しく微笑むメフィ。



二人の優しさが更にムムの涙を助長する。



「うわぁぁあんッ、、、ごめんなさい、、、お父さん、お母さん、ソルもごめんね、、、」



ソルを抱くムム、そしてムムを抱きしめるメフィ。更に寄り添うゼノン。



エリシアはそんな四人の姿を見て、なんだか分からないが感動していた。

理由は無いが涙が出ていた。



家族の愛を目の当たりにして感動したのだろう。


それはエンレカも同じだ。



「エリシアさん、って言いましたよね? 私師匠が結婚するなんて夢にも思いませんでした。 ましてや人間の子供がいるなんて。

でも、不思議です。 今、こうして目の当たりにしていると、

凄くしっくりくるんてす。 世界一幸せな家族だなって思うんです。 そして、ここでのゼノン師匠はちゃんとお父さん何だって」



エンレカはずっと見詰めたままそう話す。



「そうですね。 私は昔のゼノン様を知りませんので、不用意に発言は出来ませんが、ここでのゼノン様はどのお父さんよりもお父さんですよ。 自分よりも子供を、自分よりも家族を---いつも

最優先に考えてくれています。 だから、皆ゼノン様の事が、メフィ様の事が大好きなのです。 これがオルレア家なんですよ」



エンレカは羨ましそうにエリシアの話を聞き入っていた。

エンレカも孤児であり、ゼノンに救ってもらった。

当然家族とは無縁だ。


ちなみに彼女は20中半になっていた。


だが、もしゼノンが父親だったのなら、、、そう考えると

とても羨ましく思えて仕方がなかった。



「いいですね。 これが家族か、、、」




「エンレカ、先程は助かった。 お前のおかげで我が子は無事だった」



いつの間にか目の前に現れるゼノン。

考え事をしていた為、全く気付かなかった。



「い、いえッ!!! 私が手を出さなくともゼノン師匠なら

もっと早くやれましたよね! 余計な手を出して出しゃばってしまい申し訳ありませんでした」



頭を下げるエンレカ。

すると下げた目の前にはムムの姿が。



「エンレカお姉ちゃん、ありがとう、、、お姉ちゃんがいなかったらソルが怪我してた。 本当にありがとう」



涙で目を腫らしたムムの姿が。

そして、お姉ちゃんという言葉。


なんだか、自分も家族になったような気分だ。

エンレカの心はポカポカと暖かかった。



「んーん、ムムちゃんも無事でよかったよ。 赤ちゃんは繊細な生き物だから気を付けようね! あと、これからしばらくお世話になります」



エンレカとムムは握手を交わす。

いきなりの騒動ではあったが、仲を深める事ができゼノンもホッとするのであった。

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