表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

165/199

愛弟子

ゼノンとエンレカの間に緊張が走る。


エンレカは歯をかみ締め、ゼノンの問に答える。



「ゼノン師匠、教皇は死に教皇派は解散しました。 ですが、奴らは教皇が居なくなってもやる事は変わりません。 奴隷を買い漁り、自分の慰め物とし、拷問や性的暴行、人がするとは思えない様な非人道的行為が行われているんです。

私の配下の友達もそれで殺されました、、、それで、配下の悲しむ顔を見ていたらいても立っても居られずに、、、」



ゼノンはその言葉を聞いてホッとした。

やはり、意味もなく殺したりなどしなかった。



「そうか。 お前は配下思い出あり、配下からも信頼されているようだな。 現に今もお前の配下達は殺気立っている」



その言葉を聞いた瞬間、エンレカは驚くように振り返り怒声を上げた。



「おい!!! お前達! この方は私の師匠だ!!!

この御方に無礼を働くことは許さぬぞ!」



その言葉を聞いた瞬間、皆の殺気は静まり返る。

やはり、エンレカは良く信頼されている。



「怒ってやるな。 お前を思っての事だ。 そして、理由も分かった。 私が来た理由だが、、、」



「わかっています。 私を捕らえに来たのでしょう。 SSランクにゼノン師匠の名前があったのでもしかしたらとは思っていましたが、やはりゼノン師匠だったのですね。

そして、ゼノン師匠はギルドマスターより、私を捕らえるよう任務が与えられたと。 私にはゼノン師匠への多大なる恩があります。 じたばたなどしません。 大人しく縄にかかるので

配下達は見逃してください」



素直に頭を下げるエンレカ。

だが、配下は黙っていない。


エンレカが一人で行くと言うなら自分達も行くと。

死ぬ時は必ず一緒だと。


涙ながらにそう語るも、エンレカは当然それを良しとしなかった。



「ダメだ!!! 私が死んだ後の世は誰が守る?!

私が死んだあともお前達が影で皆を助けるんだ。

未来を視る事を諦めた、哀れで可哀想な奴隷達をお前達が助けるんだ。 必ず、また腐った貴族達は出てくる。

いいな?」



そんなことを言われれば無下になど出来ない。

皆が涙を流しながら頷く。



「ゼノン師匠、お見苦しい所をお見せしました。

では参りましょう」




「いや、気が変わった。 いや、元よりお前を信じていた。

私が直々に国王へ直訴しよう。 お前は顔が知れているから

このまま出れば捕まるだろう。 変装魔法を掛ける故についてこい」



その言葉にエンレカはもちろん、配下達も目を丸くしていた。



「よ、宜しいのですか?! 私に手を貸せば師匠も反逆者へ加担したことと見なされます!」



ゼノンの発言はもちろん嬉しかった。

だが、それとこれとは別だ。


現実問題、反逆者へ加担すれば同様に処刑となる。

つまり、ゼノンまで死ぬことになるのだ。


だが、ゼノンはそんな事気にしない。



「何故、お前が反逆者なのだ? 人を殺したからか? 貴族を殺したからか? 違う。 お前が殺した奴も人を殺したのだ。

殺す者は自身が殺される覚悟が無ければならない。

それに、やつの場合は死んでも同然の相手だ。

私はお前を今でも誇りに思っている。

何も心配するな」



気付けば目からは涙が流れていた。

配下の手前という事もあり、我慢していたのだ。


だが、久しぶりの師匠の再開。そして、心許せるたった一人、

父の様な存在を目の当たりにし、とうとう決壊した。


止まらない涙を手で覆う。



「私からすればお前はまだまだ子供だ。 それに、大人が涙を流してはいけない事などない。 我慢をするな」



そう言ってゼノンはエンレカを抱きしめる。


ゼノンの胸の中で、まるで子供のように泣きじゃくる。

そして、配下達も別にエンレカが泣いている姿を軽蔑することは無い。

同じように皆も泣いていた。






「すみませんでした師匠。 久しぶりの再会だというのにあの様なお見苦しい姿を・・・・・・」



頬を赤くしながらそう呟くエンレカ。

泣くだけ泣いたら冷静になり、数分前の出来事を思い出すと恥ずかしくなってきていた。



「なに、構わぬ。 それほどお前が追い込まれていたという事だ。 それよりも準備よいか?」



先程までの様子が嘘のように真面目な面持ちで頷く。

そして、配下に別れを告げると変装魔法を掛けてもらいゼノンと共に外へと繰り出す。






ゼノンの顔パスで次々に王都の内部へと入る2人。

普通なら何日も前に話を通さなければ面会することは叶わない。


だが、ゼノンの首には公爵のみが国王より直接与えられる紋章を

ぶらさげているからその日の内に面会出来るのだ。




そうして、国賓室へと案内されしばらく待つと国王と宰相がやってきた。




「これは、これはゼノン殿、そして、隣のお嬢様は?」



国王が見たことの無いその顔に疑問を抱いていると、ゼノンが指を鳴らす。



「なっ?!!!」



そこに居たのは反逆者として手配書が出されているエンレカであった。


それには国王も宰相も驚きである。

何せ、拘束されていないのだ。



「ゼ、ゼノン様? これは一体、、、」



宰相がそう問うとゼノンは平然と答える、



「うむ。 エンレカは私の数少ない人間の教え子の一人だ。

セレス、カルロス、エンレカ、もう一人居るがそれは構うまい。

そして、エンレカの罪を取り下げて貰いたくて私自らやって来たのだ」



こうして、ゼノンはエンレカの経緯を話す。

下手をすればゼノンも人間の敵となりうる大事な会談。

「面白いな、続きが読みたいなと思ったらブックマーク、高評価をお願いします。そして誤字脱字や意見などあったら是非コメントしてください。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ