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3人目の旧知

ゼノンは急遽冒険者ギルドへと呼ばれていた。

呼ばれるということはSSランクでなければ対処出来ないということ。


それもゼノンが所属しているブルのギルドではなく、ブロンのギルドからだ。


そして、目の前には久しぶりに見る顔が。



「お久しぶりですゼノンさん。 海の皇帝(レヴィアタン)の件ではお世話になりました」



そう。レヴィアタンの任務で以前依頼をしてきた、このブロンのギルドマスターであるカリファだ。



「うむ。息災で何よりだ。 して、何があった?」



早速本題に入るゼノン。

世間話をしに来た訳では無い。

なぜなら、早く終わらせて愛する子供の顔を見たいのだから。


だが、いきなりの本題にカリファは少し面を食らったような表情をしていた。



「そ、そうですね。 実は、Sランクの一人、『闇のエンレカ』が貴族殺しをしてしまったのです、、、」



それに少し驚くゼノン。

そして、ゼノンも驚く事があるのかと、それに、自分も驚くカリファ。



「そこで国王より捕縛の指示が与えられました。 ですが、

彼女はSランク。 それに彼女を支持する仲間達も多数居ます。 彼女に同格の者を当てても下手をすれば負けるのはこちら。 ですので、最上位に位置するゼノン様にこの話が来たのです。 どうか彼女を捕まえるのを手伝っては頂けないでしょうか?」



ゼノンはしばらく沈黙する。

なんとも言えない空気にカリファも唾を飲む。


何故、直ぐに返事をしてくれないのか。

海の皇帝はよくてSランクはだめなのか?


不安になりながらもカリファはゼノンの答えを待つ。




そして、ゼノンはゆっくりと口を開いた。



「そのエンレカが私の知るエンレカなら、私が育てた人間の内の一人だ」



その言葉に驚愕するカリファ。

まさか、あの超危険人物に指定されているエンレカがゼノンの弟子だとは。


先程の間もこれが理由だった。


確かに闇魔法を得意としており、周りからも軽蔑の眼差しを送られてきていたが、それでも意味もなくそのような事をする人間では無い。



つまり、エンレカにはそうせざるをえない状況に陥っていたのだと予想する。



「直ぐに向かう。 よいか?」



「え、えぇ! で、でも場所がまだわかっておりません!」



「必要ない。 彼女の魔力なら覚えている。 ではまた後でな」



そういとゼノンはその部屋を後にして、屋根へと登ると

魔力探知を使用する。



くまなく探すと下水の方で懐かしい魔力の気配を汲み取った。



そして、彼女の周りにもいくつかの弱々しい魔力を持った人間達が。



ゼノンはすぐ様エンレカ目掛けて歩きだす。




思いの外遠くではなく、わずかな時間で到着した。

橋の下から入れる下水への道。


異臭がしており、ゼノンは思わず洗浄クリーンを使用し、綺麗にしながら前へと進んだ。



そして、距離をだいぶ詰めた頃、突如前方より飛んでくる真っ黒の刃。


しかし、ゼノンは避ける事などせず、ただ右手を突き出しその刃を受け止める。

そのまま受け止めたかと思ったら握りしめ、その刃を消滅した。


そのふざけた力にはまだ影に潜んでいるものの驚いていた。




闇の剣(ダークネス・ブレード)か。以前よりも威力はだいぶ上がっている。 懐かしいなエンレカ」



その言葉に更に驚愕する。

何度も聞いたことがある声。

自分が一番信頼する声。


彼女は自然と足が前へと進んでいた。


暗がりから前へと歩み、段々とエンレカの姿が見える。



黒髪ショートで両手にはクナイの様なものを。

そして、動きやすさを重視したかのような露出度が大きめの服装。



「・・・・・・ゼ、ゼノン師匠?」



エンレカは固まっていた。

まさか、こんな場所に魔王であるゼノンがいるはずがないと、頭が回らなかった。



「うむ。久しいなエンレカ。 お前がやらかしたと聞いてな。 様子を見に来たのだ」



10年振り近くのゼノンにエンレカは大粒の涙を流し、叫び、そのままゼノンの胸へと飛び込んだ。



「ゼノン師匠ッ!!! ゼノン師匠ッ!!! 本当に会いたかった、、、どうしてずっと会いに来てくれなかったのですか? 本当に寂しかったんです、、、うぅ、、、」



まるで子供のように泣きじゃくる。

恐らく不安だったのだろう。


そして、こんなにも優しい子が理由もなく貴族を殺すはずがない。


とはいえ、一先ずはエンレカを落ち着かせることが大事だ。


ゼノンはそっと頭を撫でてエンレカを落ち着かせる。





しばらくするとようやく落ち着きを取り戻したようで、エンレカは頭を下げた。



「ご、ごめんなさい師匠。 感極まって泣いてしまいました。

で、ですが師匠はどうしてここへ?」



当然、エンレカはゼノンが魔族である事も知っている。

だから、驚いているのだ。

ここは人間界である。


といってもゼノンは、昔は自分達の為にちょくちょく人間界へはやって来ていた。


それでも数十年は会わなかったのだ。



「うむ。本題に入る前に私の事を伝えておくとしよう。

実はな------。」




ゼノンは人間界へ来た経緯とこれまでの生活を全てエンレカへと説明した。


途中途中で少し質問もあったが、エンレカはズットゼノンの言葉を聞いていた。




「という事があってな。 今では私も人間界で暮らしているのだ」



全ての言葉を聞いて驚く。

あの師匠が家族を持ち、妻を持ち、子供を持っているという。


昔では考えられないことだ。

何せ、ゼノンは異性に全く興味が無いものだと思っていたのだから。



なんだか、感慨深くなるエンレカ。



「そっか、、、師匠にも家族が、、、いいなぁ、、、」



エンレカは微笑むもその目はどこか寂しげな目をしている。

そこで、ゼノンは早速だが本題へと切り結ぶ。



「実はな、お前が貴族を殺したと聞いてな。 その事についてお前に直接聞こうと思っていたのだ」



その言葉にビクッとするエンレカ。

理由もなく殺すはずがないとゼノンは思っていたが、やはり

なにやら理由がありそうだ。



そうして、エンレカはゆっくりと口を開くのであった。

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