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守るために

ゼノンの部屋にレイラがやって来る。



「どうかしましたかお父様」



「うむ。 お前は聖女である頃、神の声を聞いたことはあるか?」



「はい。 数回程度ではありますが、、、それがどうかしたのですか?」



「そうか。 実は私も神に聞きたい事があってな。 出来れば私も話がしたいのだが、何とかならないだろうか?」



突然の事に驚く。

意図が全く読めない。



話して何をするのか。 何のためにするのか。



「多分可能だとは思いますが、それには準備も必要ですし

お父様の魔力も必要となります」



「どのくらいかかる?」



「恐らく一月程かと」



「それなら許容範囲だ。 私の魔力はいつでも力を貸そう。

そして、この件はくれぐれも秘密にしてくれ。 私とお前だけのな」



きっと何か余程のことが起きたのだろうと感じ取るレイラ。

皆にも知らせられないということは、大変ななにかが。



「あの、、、差し支えなければ理由を教え願えませんか?」



気にならないわけが無い。

ゼノンが秘密事など、考えられなかった。



「そうだな。 レイラには協力してもらうに当たって知っておくべきなのかもしれぬ。 何年も先か、ここ数年か、今年かは分からぬがこの星の中心で『魔神』が眠っている。 奴は千年に一度目を覚ましてはこの星に住む大半の生き物を喰らうと言われている。

その魔神が目を覚まそうとしているのだ。

生憎と今の私では力が足りぬかもしれぬ。 だから、神に頼み力をつけようと思ってな。 奴が本当に起きるのか確信は無い。

だが、備えておくに越したことはなかろう。

だから、確定するまでは他言無用とする。

不要な心配は必要あるまい。 よいな?」



レイラは絶句した。

魔神の存在はもちろん知っている。


まるでおとぎ話の様に、人間界でも知れ渡っているから。

子供達が悪い事をしたり、親の言うことを聞かないとよく母親が

「魔神に食べてもらうよ」と脅し文句を言ったものだ。



ただ実際に存在していたと思う者は少なく、そして、千年前と言うこともあり魔神への危機感は完全に薄れている。


現にレイラもそうだった。

もちろん、怖いのだがあまり現実味がないというかその存在を信じられない。



だが、父であるゼノンが真剣な表情で頼んできたのだ。

恐らく、いや確実に魔神は存在し、目覚める時が近いのだろう。



「わかりました! 絶対誰にも言いません! ですが、お父様も一人で抱え込まず皆を頼ってください---私たちは家族なのですから」



不安そうにそう話すレイラ。

ゼノンもその事はもう身に染みるほど理解した。


家族となって一年が過ぎ、家族という名の団結力には驚かされてばかりだ。


四魔将達は、皆が自身のことしか気にしていなかったのに、ここへ来てムムやトラリー、そして他の者達と関わるようになってからは

助け合い、弱きを助ける事を知った。


それは家族になったからだ。



だが、だからこそ、ゼノンは皆を守る為。

大切な家族達を守る為一人で戦うことを決意した。


恐らく、守りながら勝てる相手では無い。

目の前で家族に万が一があれば、戦うどころでは無い。



だから、ゼノンは誰にも言わない。

例え、後でみんなに責められようが。


皆が生きていることに意味があるから。




「・・・・・・そうだな、、、確信がもてたら説明するとしよう。

レイラも準備が出来次第教えてくれ。 恐らくまだ時間はあるからそんなに切り詰めなくてよい」



「はい。 わかりました。 では、失礼します」



レイラはお辞儀をするとその場を後にした。




そして、ゼノンもメフィと子供達がいる部屋へと向かう。



「あっ、ほらソル、ルナ、パパが来たわよ」



まだ数日しか経っていないにも関わらず、早くもクーイングをするソルとルナ。


母であるメフィの言葉に「あー、うー」と返事をしていた。



そして心做しか人のことも認識できている気がする。

何せ、ゼノンが部屋に入ると二人ともゼノンの方に顔を向けていた。



「よしよし。 いい子にしていたな。 メフィも変わりないか?」



ゼノンは二人の子供を撫でて、メフィを気遣う。


二人も子供がいたこともあり、相当体力を消費していた。

それに魔力もだ。


レイラに診てもらったがしばらく安静との事で、基本はベッドで休んでもらう。


冒険者の仕事も緊急任務の時はゼノンのみが行くこととなった。



「うん。ありがとうゼノン。 私が動けないばかりに貴方には苦労かけるわ。 ごめんね」



俯くメフィ。

だが、そんなメフィの頬をゼノンは優しく触れる。



「謝る必要は無い。 この子らを産む時、私は何も出来なかった。

ならば、産んだ後の今は私がお前を支える時。 お前は子供達のそばに居てくれれば良い。後のことは任せろ」



ゼノンの優しい言葉に心打たれる。

そして、心からゼノンを愛しているんだと実感した。



「ありがとうゼノン。--。ねぇ、ゼノン? ワガママ言っていいかな、、、子供達が落ち着いたらまた二人の時間も欲しいな」



照れくさそうにそう話す。



「もちろんだ。 また二人でゆっくりするのも必要であろう」



その言葉にメフィは笑顔となり、唇を重ねるのであった。

しばらくは平穏な日々が過ぎようとしている。

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