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新しい家族

「ただいまーーー!!!」



ゼノンとメフィ達がいる部屋は、玄関から距離があるに関わらずメフィの元気な声が聞こえてきた。



「ふふっ、朝学校へ行く時は居なかったのに、赤ちゃんが

産まれてたらビックリするわね」



帰ったら急に家族が二人増えているのだ。

驚く事間違いなし。



「あぁ、そうだな。 それよりも、休まなくて大丈夫なのか?

疲れているなら寝ていいんだぞ」



赤ちゃんを産んで精神的にも肉体的にも疲労困憊のはず。

だが、メフィは眠ること無くずっと起きていた。


どうしても起きていたかったのだ。



「んーん、私が寝たら皆は気を使ってこの部屋に入って来れないでしょ? そしたら赤ちゃんが見れない。 それにね! 早く

皆にも赤ちゃんの事見せてあげたいんだ♪」



飛び切りの笑顔でそう答えるメフィ。

それなら仕方がない。



「もし、本当に辛くなったら遠慮せずに言うのだぞ。

お前の身体は最早、お前だけのものでは無いのだからな」



ゼノンは優しくそう話すとメフィも頷いた。

そして、ゼノンはそのままメフィにキスをする。



「ふふふっ、今ので元気になっちゃった! あっ、そろそろムムが来るわね!」



そして、ノック音がし扉が開かれた。



「ただいまお父さん!お母さん!・・・・・・えぇッ?!!! 赤ちゃん産まれたの?!!! 凄い可愛いッ!!! ねぇねぇ! 触ってもいい?!!! ムムちゃんと手洗ったよ!!!」



興奮しっぱなしのムム。

それもそのはず。

今日という日を皆が待ち望んでいたのだから。



「えぇ、良いわよ。 ムムの弟と妹だから、これからも優しくしてあげてね!」



そこで赤ちゃんが二人も居ることに気が付いた。

更に驚愕するムムは、最早興奮しっぱなし。


小さな赤ちゃんの手に自分の指を掴ませては喜んでいる。



「本当に可愛いねお母さん! ムムの大切な弟と妹、、、」



赤ちゃんを目の当たりにして感動するムム。

皆が帰ってくるまでムムはずっとこの部屋に居るのだった。



そして、時間が経つにつれて次々と帰宅する皆。



最後にバリアンが帰ってきてようやく全員集合だ。



「僕に弟が出来たんだ、、、僕が守ってあげるからね」



トラリーは男の子の赤ちゃんの頭を撫でながらそう呟いた。



「すごい可愛い、、、私赤ちゃんって初めて見たかも! それになんて柔らかいのかしら」



リリアも感動していた。



「シン、お前も抱いてはくれぬか? お前の弟でもあるのだ」



シンは一人、距離を置いてその光景を見守っていたがゼノンに呼ばれた。



「わ、分かりました。 ですが、俺も赤ちゃんなど抱いた事がありませぬ。 万が一傷付けたらと思うと俺は、、、」



そんなシンを見て、まるで先程のゼノンを見ているようだと思い笑うメフィ。



「ふふふっ、大丈夫よシン。 ゼノンもさっきまでシンと同じように不安がっていたもの。 一回抱いてみると慣れるからね!

抱いてあげて」



笑顔でそう話す母親にシンは頷き、ゼノンから赤ちゃんを受け取る。


やはり最初はぎこちなかったが、シンも赤ちゃんの抱き心地、そして、暖かさに感動していた。



(これが赤ちゃん、、、なんて可愛いんだ。 思わず顔が綻んでしまいそうだ。 まずい。 この天使をずっと抱いていると自分が自分ではなくなるようだ。 早く父上に渡さなければ)



頭ではそう思っているのに手放したくない。

気付けばシンは何十分も抱いたままだった。



「おいシン! ワシにも抱かせろ! お前はいつまで抱いておるんじゃ!」



自分の番が中々来ないバリアンは、痺れを切らしてシンに言う。

バリアンもずっと抱っこしたかったのだから。



「いや、バリアン。 お前が抱いたらこんな小さな子は潰れてしまう。 小さくなってから出直して来るんだな」



赤ちゃんを心配するあまり、辛辣な言葉を投げかけるシン。



「ぬぬぬっ、シンの奴め、、、だが、残念だったな! 赤子はもう一人居るのだよ!!! リリア! ワシにも抱かせておくれ!」



シンが抱かせてくれない為、リリアに頼み込むバリアン。



「いいけど、本当にそっとよ?」



シンと違い、直ぐに変わってくれたリリア。


流石はバリアンといったところか、誰よりも上手に赤ちゃんを抱き抱えていた。


見ていても、全く心配にならない。

むしろ安心感がある。



「ほっほっほっ、なんて可愛いんでちゅかねー! ワシがおじいちゃんじゃよ? 今度は一緒にお外でお散歩ちまちょうね」



バリアンは元々子供好きという事もあり、外では見せられないような顔と赤ちゃん言葉になっていた。



「バリアン、、、少しキモイかもしれないわ」



「多分耳に入ってないですよリリア。 自分の世界に入っていますね」



「バリアンの方が上手いだと、、、俺も何度か抱けば、もっと赤ちゃんは懐いてくれるはず」



四魔将達がそれぞれに話している。


赤ちゃんが二人増えてオルレア家は一気に賑やかになるのであった。



「さっ、皆、お母様は疲れているのですからそろそろ部屋を出ましょう。 それに、赤ちゃんも今日産まれたばかりなのですからね」



フレイがメフィと赤ちゃんを気遣い、皆を部屋から連れ出す。

皆名残惜しそうにしているが、また明日も会える。


それに赤ちゃんの体調が崩れてしまっては本末転倒である。



「フレイ、ありがとう。 貴女も今日一日お疲れ様。 本当に助かったわ」



最後にメフィはフレイに御礼を言う。



「いえ、お母様もゆっくり休んでください」



一礼して皆と共に部屋を後にする。




先程まで騒がしかった部屋が急に静寂に包まれた。



「皆の喜ぶ顔が見れて良かった! ねぇ、ゼノン。 今日から四人で一緒に寝ましょ」



立っているゼノンに手を差し出すメフィ。



「あぁ。 私も同じことを考えていた。 本当に今日はよく頑張ったな。 おやすみメフィ」



ゼノンは手を取り赤ちゃん二人を挟む形で川の字で眠る。



「ゼノンもありがとう。 おやすみゼノン」



その姿光景は幸せそのものであり、四人ともぐっすりと眠りにつくのであった。

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