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出産

気付けばあっという間に三ヶ月の月日が流れていた。


ちなみに、産む手助けをするのはフレイとエリシアの二人だ。


二人とも知り合いのを手伝った事があるらしく、信頼出来る。

もう三ヶ月は経った為、いつ産まれてきてもおかしくは無い。


メフィのお腹もパンパンに膨れている。

魔法でお腹の子の性別を確認出来るが、メフィは生まれてからの楽しみにしたいという事で、その通りにする。



確かに、魔法で見たらつまらないかもしれない。

自分の目で確認するからいいのだ。




そして、それは唐突にやってきた。

皆が学校や仕事に行っている昼下がりに突如、メフィが苦しみだした。


近くに控えていた、エリシアとフレイが駆け付ける。

彼女達はわざわざ仕事を休んで付き添ってくれているのだ。



そして、ゼノンもしっかりとメフィの手を握っていた。


(私に出来るのはせめてこれだけか。 緩和レリーフ



ゼノンは少しでも痛みが減るように魔法をかける。



そして、その魔法が効いたのかメフィは顔に汗を流しながらもニッコリと微笑んで御礼を言った。



「何も喋らなくて良い。 しっかり息を吸って吐くのだ。 私はお前の傍にずっと居る」



ゼノンも自分が何も出来ない事に不甲斐なさを感じながらも励ます。



どのくらいだっただろうか。

突如部屋中に響き渡る赤子の泣き声。



それも二人分の泣き声が。



なんと、メフィのお腹には双子が宿っていたのだ。

これには全員驚愕であり、道理でメフィのお腹があんなにも膨れ上がっていたわけだ。


エリシアとフレイがそれぞれ一人ずつ抱き抱え、メフィの隣へそっと置く。



「お母様、本当にお疲れ様でした。 悲鳴の一つも上げず、お母様は本当にお強い方です」



「メフィーロ様、お疲れ様でした。 赤ちゃんは男のと女の子ですよ。 本当に可愛いです」



二人は労いの言葉を掛ける。

そんなメフィは涙を流していた。

痛みによる涙では無い。

嬉し涙だ。



「ありがとう二人とも、、、二人のお陰で頑張れたわ。 そして、ゼノン、、、ありがとう。 私は本当に幸せよ」



涙ながらにそう話すメフィはしっかりと二人の赤ちゃんを両手で抱き締めていた。



「メフィ、本当によく頑張ったな。 私は赤子が産まれるのを初めて見た。 母とはこんなにも偉大なのだと初めて気付かされた。

だが、何よりお前が無事でよかった」



ゼノンは出産の立ち会いというものは初めての経験であり、こんなにも不安になったのも初めての経験であった。


万が一メフィに何かあったらと思うと不安で仕方なかったのだ。



だが、メフィは頑張ってくれた。

そして、子供が産まれた時の感動をゼノンは一生忘れないと思った。



ゼノンも産まれた二人の子供の頭を優しく撫でる。



「なんと小さくか弱い命。 私は産まれてすぐの赤子に触るのは初めてだ。 私にもこの様な時があったのだな」



赤ちゃんという存在は感慨深く、そして美しかった。



そんな頭を撫でて優しい顔をしているゼノンにメフィは、



「ねぇ、ゼノン? せっかくだから抱いてみてよ!」



その言葉に驚愕する。

こんな小さな命を抱いて万が一落としたりしてしまったらどうしよう。

もし力を見誤り、潰してしまったらどうしよう。


そういった不安が込み上げ、ゼノンは慌てていた。



「そ、それは無理だ。 私には出来ぬ。こんな小さな赤子を万が一落としたと思うと私は・・・・・・」



これにはメフィだけではなくフレイやエリシアも微笑んでいた。



「ふふふっ、こんなゼノン初めて見た。 大丈夫よ。 しっかりと抱いてあげればいいの。 フレイお願い」



そう言うと、片方の赤子をフレイが抱き抱えゼノンへと渡そうとした。



「はい、お母様。 さっ、お父様、手を出してください」



中々手の位置が定まらないゼノンは試行錯誤し、抱きやすいように手を構える。



「こ、こうか? まだ離すでないぞ! 私がいいと言うまで添えてくれ! ・・・・・・よし。 もう大丈夫そうだ。 ありがとうフレイ」




ぎこちなくではあるが、何とか赤ちゃんを抱くことに成功したゼノン。

力加減も完璧だ。


優しく抱き抱える。



気付けばいつの間にか泣き止んでおり、目は閉じきっている。

小さな口と鼻でしっかりと呼吸もしており、小さな心臓もちゃんと動いているのを確認できた。



何より、とても暖かい。



ゼノンは初めて抱く赤ちゃんを見て、いつの間にか微笑んでいた。



「この子が私の子なのか、、、私とメフィの赤子。 早くムム達にも見せてあげたいなメフィ」



それからゼノンはしばらく赤ちゃんを下ろしたがらずにずっと抱いていた。


まさかの双子には驚いたが、ゼノンとメフィ、互いに抱く事が出来たしちょうど良かったと思うメフィであった。



「それで、お母様、お名前は考えてあるのですか?」



フレイが気になっていたのか、名前について聞くとメフィは微笑んだ。



「えぇ、ゼノンと考えていたの。 男の子の場合と女の子の場合をね。 まさか、考えた二つを使えるとは夢にも思わなかったけどね! 本当に私は幸せ者だわ。 皆が帰ってきてから発表するから

フレイとエリシアもそれまで待っててね!」



頷く二人。

確かに考えた名前が一つボツになるよりも、二つとも付けられた方が嬉しいに決まっている。


この双子はゼノンとメフィの元に産まれてくるべくして来たのだろうとフレイは思った。



目の前に映る四人の姿は本当に暖かかったのだから。

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