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一年の実り

ゼノンに手を引かれ、行き着いた先は豪華な宿屋。


完全予約制であり、金持ちしか来れないであろう場所だ。


かなりの額はするが、それに見合った接客や内装、そして寝室となっている為、常に予約でいっぱいなのだ。


ちなみにここは最近出来たばかりの宿屋である。



中へ入ると、赤い絨毯にシャンデリア、ガラス細工の置物など

豪華な出迎えが行われた。



「今日はウチを選んでくれてありがとーゼノンの旦那!」



出迎えてくれたのはここのオーナーであり、我が家のファミリーであるソルナだ。



彼女は商才があり、瞬く間に自身のグループを拡大し、上昇気流へと上り詰めている。


こんな短時間でよくここまで金を動かせるものだ。

彼女の商才はこの国でも屈指に入る程の実力だろう。



そんなオーナーたる彼女が自ら迎えてくれたのだ。


それにはメフィも驚きである。



「ソルナちゃんって本当に凄いのね! そんな有名人がファミリーの一員だなんて驚きだわ!」



そんな褒め倒すような言葉にソルナは照れ臭そうにしていた。



「や、めや奥方! ウ、ウチかて、史上初のSSランクのお二人を招くことが出来て恐縮なんやから! いつも通り接してな!

ほ、ほな行こか! ウチが案内するわ!」



その場の雰囲気に耐え斬れなくなったのか、そそくさと部屋へと案内される。



3階建ててあり、そのまま階段を登っていく。



階段を3つ登る。

いや、おかしい。

3階建てなのに、何故3つも登るのか、、、



そんな事を疑問に思っていると、ソルナが振り返り何やらニヤけていた。



「へへへっ、下から見てもわからないだらうけど、ここの建物は屋上の中心に部屋が一つあるんよ! ここは超お得意様専用的なね! それに、外にはプールだって露天風呂だってあるんやから! その代わり、ものごっつう金額もするんやけどね! でも、今日はいらへんで? これはウチからのお礼や!」



金額を聞いて驚いた。

基本的な宿は一泊銀貨3枚だ。


いい所だと、金貨になる。


前回家族で行った秘境地の宿は一人金貨2枚だった。

それでも十分高いだろう。



だが、ここは一泊金貨20枚。

倍もするのだ。


普通の一般人が稼げる年収は金貨10枚。

となると、年収二年分となるわけだ。


あまりにも高すぎる。

ここより高い場所は他にないだろう。


ちなみにここより下も金貨5枚や10枚と高額である。



だが、先程も言った通りここにはそれを払う価値のある宿なのだ。

内装はもちろん、料理や部屋の失礼など、他とは比べ物にならないほど上質なものばかり。



むしろ、安いくらいかもしれない。

そんな宿をソルナはタダでいいと言うのだから、ソルナの財力にも驚きである。



だが、ゼノンはそれを良しとはしなかった。



「有難い話だが金貨は払おう。 これは私が妻へ送るプレゼントの一つなのだ。 お前に払わせてしまっては意味がない。気持ちだけ貰おう」




「ゼ、ゼノン・・・・・・」



ゼノンの言葉にメフィは頬を赤らめる。

なんなら、ソルナまで何故か顔を真っ赤にしていた。


仕事ばかりで恋愛に疎い為、他人の恋愛話でもすぐに顔を赤くするのだ。



「ちょッ! ウ、ウチの前でのろけんでくれや! そ、そういう事なら仕方ないか、、、 せやけど、今度はキッチリお礼させてもらうけんね! 借りた恩は返す! それがウチの生き方や!」



義理堅い女である。

だからこそ、商売も上手くいっているのだろう。



「あぁ、その時は良しなに頼もう。 わざわざ待たせてわるかったな。 帰ってゆっくり休んでくれ」



ソルナは予め、ゼノンに頼まれていた為、二人が来るのを待っていたのだ。

自分の仕事が終わっているにも関わらず。



「うん! それじゃあ、楽しんで! 、、ら長い夜にやりそうやわ」



最後に意味深な言葉と笑みを浮かべながら、その場を後にするソルナ。



そんな事は気にしないとばかりにゼノンは目の前の豪華な扉を開け中へと入ると、メフィはその場に立ち尽くす。



「き、キレイ、、、」



この世の物とは思えないような美しく煌びやかな内装に唖然とするメフィ。


暖炉には火が灯されており、そこらかしこに大理石が使われており、よく見れば宝石も埋め込まれている。


食器の一つ一つまでもが、高級なものであった。



ちなみにこの食器もエリシアやエオメルが作ったものである。



「確かに美しいな。 この部屋の一つ一つからソルナの手腕が伺える。 落ち着かないかもしれぬが、二人でゆっくりするとしよう」



ゼノンはいつも通りの反応であった。

だが、内心は感動しているのだ。


そして、そんな反応の薄いゼノンをメフィも指摘することは無い。

ゼノンの事をよく理解しているからだ。



「そうね! でも、先に温泉入ろうよ!」



露天風呂の様子が気になるようで、催促する。



「うむ。 雲もないから星空も見えるだろう」



二人は服を脱ぎ屋外へと繰り出す。

もちろん互いにタオルは巻いている。



そして、ゼノンの言葉通り、空には満遍なく広がる星空が。

露天風呂は割と普通であり、むしろ落ち着けてよかった。



二人は体を洗うと湯船に浸かる。

まだ春前ということもあり、若干肌寒いが露天風呂に入ればそれも消える。


むしろ、涼しい風に熱い温泉がいいアクセントになっていた。



「こうやって二人でゆっくりするのも久しぶりだな」



ゼノンは笑みを浮かべそう話す。

すると、メフィは何やら言い籠もるような表情を浮かべ、何やら

頬を赤くしていた。




そして、少し経つと意を決したのか「よしっ!」と一言添えて、







「ゼノン! 私、貴方の子供が欲しいの!!!」

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