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変わりすぎた一年

今日で子供達が学校へ行ってから一年が経った。


ムムは二年生へ、トラリーは四年生、シンとリリアは最上級生の十二年生だ。



そゼノンとメフィは変わらず冒険者として活動しているが

これといって骨のある相手に出会うことはなかった。



フライもそのままクリスの助勤講師として十二年生の先生へとなった。



レイラは学校の女神の様な存在と化し、怪我をしてないものまでが毎日のように救護室へ殺到している。



バリアンは庭師として、そしてセレス校長の良き相談相手として学校の平穏を陰ながら守っていた。



教皇派が敗れ、国王派が統治をしてからは、種族差別はなくなり、多種多様な種族が人間界で普通に暮らしている。



それもあってかシリュウは料理の店を開いた。


シリュウの腕のおかげで、王都一の料理人とまで言われるほどになっている。


しかし、家の食事も疎かにする事なく働いてくれているのだ。


オルレア家の料理人はやはりシリュウにしか任せられない。




フィルルもそうだ。

彼女は武器屋を開き、どの店よりも強く、そしてリーズナブルに売買している。


フィルルの店もシリュウの店同様、王都一まで登り詰めていた。

そして、数々のドワーフ達がフィルルに弟子入りし、店は大繁盛している。



更にエリシアも同じハイエルフであるエオメルと共に食器や家具等を生成しており、家具販売店なるものを作っていた。


主婦達には堪らない一品の様でここも連日大盛況だ。



ソルナはその商才の腕前で商工会を作っており色々な事に手を伸ばしていた。


一番稼いでいるのは間違いなくソルナであろう。



もちろん全員、ゼノンの住まう家から出勤して終われば帰ってくる。


皆、この家が気に入っているのだ。



そして、フェンリルのレオンやフェニックスのイヴ、ミノタウルスのミノはレヴィアタンのレビルに引率してもらい、過去に行った無人島で日々訓練をしている。



今ではその島のトップに立てるほどの実力をつけているとのこと。


彼等も日々成長しているのだ。



最後にルシウスだが、彼はこの家と魔界を行き来している。

やはり、ルシウスが抜けては穴がデカ過ぎるようで、配下から悲痛の手紙が届いたのだ。


改めてルシウスのその手腕に驚かされる。



去年までとは生活が一変したが、それはいい意味でだ。

ゼノンも感じたことのない感情や思い出が日々増えていく。


それがとても幸せだった。


最初は人間との暮らしに不安を覚えていたが、今ではなくてはならない存在だ。



そう。これが『家族』なのだ。



ゼノンは目の前のキングオーガを前にしながらこの一年の思いに耽っていた。



「ふふっ」 



「ん? どうしたのゼノン? 戦いの最中に笑うなんて!」



いきなり微笑んだゼノンに疑問を浮かべるメフィ。

本来、キングオーガなんてSランクとAランク数人で相手にする魔物だ。


だが、ゼノンからすればそこらの魔物と何ら変わらない。

だからこその余裕なのだ。



「いやな、去年までの生活と変わりすぎておかしくてな。

まさか私に子供が出来て、妻を娶るなど誰が想像出来ただろうか。 そう思うとおかしくてな」



キングオーガの攻撃を余裕で躱しながら答える。



「なるほどね! 確かにそうかも! 私もこんなに楽しい一年は初めてだよ。 毎日が新鮮で毎日が想い出になるの!

本当に楽しいわ! 一体もらっていいかしら?

雷の精霊 狼群の雷ブラインドウルフ・ザ・ライトニング



上空より空を覆い隠すほどの雷の狼の姿が、キングオーガ目掛けて飛び掛る。



雷である彼等を振り解けるはずも無く、一瞬にして絶命させた。


オーバーキルである。



「私もお喋りが過ぎたようだな。 重力の鳥籠グラビティ・ラ・カージュ



突如キングオーガの周りを空気の鳥籠が囲う。


ゼノンがその広げた手を閉じると、一瞬でその鳥籠は縮まり

中にいるキングオーガは圧死した。



一瞬でペちゃんこだ。



こうして、SSランクのクエストも難なくクリアするゼノンとメフィ。



「よし! 報告して早く家に帰ろう! まだ早いからゆっくり出来るわね!」



メフィはルンルンでそう話すもゼノンは首を立てに振ることは無かった。



「いや、今日はこれから行くところがある。

メフィ、今日でお前と婚姻の契りを結んで一年となる。

いきなりの誘いであるにも関わらず、私を支え子供達を育ててくれてありがとう。 今夜は二人で食事に行くとしよう。

ハドソンに伝えてある故に、みんなの心配はいらない」



突然のサプライズに驚くメフィ。

その口を両手で覆い隠し、目には涙が浮かんでいる。



「うそ、、、本当に? そっか、、、ゼノンも覚えててくれてたんだね。 実はね、私もゼノンにプレゼントがあるの。

楽しみにしててね!」



先程まで涙をうかべた顔は笑顔へと変わり、ゼノンの腕に抱き着き、そのまま帰路へと着くのであった。

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