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暖かい手

毎回いいねを押してくれる方がいるようで、本当にありがとうございます!

そのいいねを見て励む事が出来ています。

これからも是非ご愛読して頂けると嬉しいです!

「良くぞやってくれた」



ゼノンは一人、国王の元へとやって来た。

そして、横には国王の弟であり反逆者たる教皇の遺体が。



神妙な面持ちで見つめる国王。

いくら国家反逆を企てていたとはいえ、血の繋がる兄弟だ。


多少思うところもあるのだろう。



「うむ。 これで平穏な日々がまた戻ってくるであろう。

では」



要件も済ませ、とっとと帰ろうと思っていたが国王から待ってが出た。



「待ってくれ。 お主には大変世話になった。 少ないかもしれないがこれを収めてくれ」



先程から置いてあるとは思っていたが、金品のようだ。


重さからしてかなりの量があるだろう。

とはいえ、ゼノンは金には困っていない。

困ってはいないがここは受け取るのが礼儀だろうとゼノンも理解している。



「うむ。ありがたく頂戴しよう。ではな」



ゼノンはソレを空間に収めるとその場から転移で消えていた。




そして、残された国王は一人、教皇に胸に崩れ落ち涙を流す。

やはり兄弟への愛は消えはしなかったのだ。






家へとゼノンが戻るとそこには既に家族全員が集まっていた。


どうやら宰相であるルシウスとの顔合わせを済ましていたようだ。

多種多様な種族が居るこの家で、ルシウスの反応を心配していたが、それも杞憂だった様子。



現に、ムムと今も楽しく会話をしている。


少しずつ人間と距離を縮めていけば、ルシウスの心もきっと晴れることだと信じて待つ。


後は時間の問題だと、そう感じていた。



「ゼノン様、貴方が人間を好きになった理由が少しわかったかも知れません。 あの様な天使に笑顔を振りまかれれば、誰でも落ちてしまうものです」



その言葉にはゼノンも驚いた。

シン程では無いが、ルシウスも硬い男であると思っていた。

いや、ゼノン自身も傍から見れば硬いのだが、それ以上にルシウスは堅物で真面目な性格なのだ。


だから、ルシウスからそんな言葉が出て思わず驚いてしまう。



「ほう。 お前からそのような言葉が飛ぶとはな。 やはり、ムムには何か特別なものがあるのかもしれんな。 私も子供達からは目が離せぬのだから」



今度はルシウスが目を丸くする。


話には聞いていたが、実際の所拡張しているのだろうと思っていた。

だが、今目の当たりにして子供へのゾッコンぶりが本物であると理解する。



「ふふふっ、私こそ驚きですよ。 誰よりも長くゼノン様に従ってきましたが、そんなゼノン様を拝見する日が来るとは思いもしませんでした。 改めてこれからもよろしくお願い致します」



ルシウスが頭を下げるとゼノンは頷いた。


すると、



「ルシウスさーん! 庭も広いんだよ! ムムが案内してあげる! にぃにも行こう!!!」



そう言ってルシウスの手を握るムム。


小さくて弱々しいその手。

少し叩けば折れそうである。


だが、とても暖かく守ってあげたくなる。

そんな手をしていた。



「ふふっ、ではお願いしてもいいですか?」



ルシウスは微笑みムムの手を握り、トラリーも一緒に歩き出す。



後ろから見る三人の姿は笑顔で談笑しながら玄関へ向かう家族の様な姿だった。



「ねぇ、ゼノン。 これでようやく全部終わったのね」



メフィの言葉に頷くゼノン。

ようやく平穏な日々をずっと過ごす事が出来る。



「もう時期一年が経つのだ、、、あっという間であったな」



雪は既に解け、春が来ようとしている。



「そうね。 落ち着いたことだし、今度二人でゆっくりデートしたいな! なんて!」



照れくさそうにそう話すメフィ。


確かに二人の時間はほとんどなかった。

こういう時こそ、そんな時間も必要なのかもしれない。



「うむ。そうだな。 近々二人の時間を設けよう」



その言葉にメフィは目を輝かせる。



「やった!!! 絶対だからね? その前に服も買いに行こっと!」



既にルンルンのメフィはスキップする様にその場を後にする。





「ねぇねぇ、ルシウスさんはお父さんとずっと前からお友達だったんだよね? お父さんは小さい時どんなお父さんだったの?」



「僕も気になります!」



三人で庭を歩く中、ムムはルシウスに話振った。


誰よりも前からゼノンの傍にいたルシウスなら、ルシウスにしか分からない事か聞けるかもしれない。


そうトラリーは思っていたが、ムムは純粋に気になっただけの様子。



「ゼノン様の幼少期ですか? そうですね、、、私がゼノン様に仕えたのはゼノン様が8歳の時です。 その頃私は6歳でしたかね。

両親を殺された時、ゼノン様に救われたのです。 その時のゼノン様も両親を亡くしていたようで、がむしゃらに戦っておられました。 私にはゼノン様の横に立てるような力は持ち合わせていませんでしたが、幸いにも私の頭脳を買ってくれました。 そこからは私の作戦でゼノン様は動いて頂き、次々に魔王を葬りました。

そして、気付けば宰相等という、肩書きを頂いたのです。

それ以来約500年。 ゼノン様の傍にずっといました。

おっと、話が逸れましたね。 とにかくゼノン様は強くてカッコイイ方でしたよ」



ゼノンの事になるとついつい余計な事まで言ってしまい、話が止まらなくなってしまうルシウス。


最後に簡潔にまとめると、ムムとトラリーも理解出来たようで

感動していた。



「やっぱりお父さんは昔からかっこよかったんだね!」



「僕もいつか父上みたいに強くなるんだ、、、」



そんな二人を見てルシウスも微笑んでいた。



「強さも確かに大事ですが、考える力も必要なのですよ?

ゼノン様には私が直々に色々と教えさせて頂きました。

宜しければ、お二人にも私が勉強というものを教えてあげますよ」



「本当ですか? 僕が目指すは文武両道です! ぜひお願いします!」



「ムムもぶんぶんりょうじょう頑張る!!!」



噛み噛みのムムに苦笑いのルシウス。

だが不思議と心が穏やかになれていた。


いつも仕事の事や魔界の法治を考えていたが、今は何も考えずに

いられる。



「これが平和というものですか、、、いいかもしれませんね」



ルシウスは一人呟き青空を見上げるのであった。








「ドクンッ、、、ドクン、、、」



この星の遥か地下深く。

何かが目覚めようとしているのであった。



数年後に起こる、この星が誕生して以来の危機が訪れる。

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