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力に溺れる者達

ゼノンは一人、国王の元へと訪れていた。


国王もゼノンの来訪とあっては全ての予定をキャンセルし

出迎える。


何故なら内容が内容だからだ。




「宰相にも伝えたが、私が転生者共を直接捕らえに行くがよいか?」




未だに足取りが掴めない転生者と元教皇。


王国一の影の者達を使っても、何一つ掴めないのだ。

だが、不思議とゼノンならやれるかもしれない。


国王もそう思えた。



「それは願ってもない事だが、本当に可能なのか?」



静かに頷くゼノン。



「あぁ、悪いが転生者達は龍達に渡す約束をしてあるが故にここへは連れて来れないが、教皇の奴は連れてくると約束しよう」



国王よりもシエンとの約束の方が大事だ。

何故なら、人間界の存亡が掛かっているのだから。


そして、国王にもその件を伝えた為、快く了承してくれた。


更に、



「我が弟、いや、あの裏切り者も殺してもらっても構わない。 奴の首さえ届けて貰えれば此方としては助かる。

ゼノン殿、どうかよろしく頼む」



国王は頭を下げた。

最早ゼノンにしか頼めない。


何せ、転生者達の力も人間からしたら強大なのだから。



ゼノンは頷くとその場を後にし、城の外へ出る。




「ふむ。 まずは奴らの足取りを探すか。 全領域探知ワールド・ディテクション




探知をこの星全てに張り巡らせる。


そして、引っかかった四人の強いオーラ。


ここより100キロも離れた所にいた。

ゼノンと同じく転移持ちなら訳のない距離である。


だが、最早逃げることは不可能だ。

転生者達は悪さをしなければ許す気でいた。


だが、奴らはゼノンの旧知の仲であるシエンの家族を殺した。

それも幼龍を、、、



次は容赦はしない。




そして、今回の件を一応メフィ達にも伝えるべく家へと戻る。

しばし、話していると扉の奥からフレイの声が。


そして、足音的にもう三人いた。


タイミングがいいというか、狙っているというか。


そこに居たのは四魔将であった。



「お父様、聞くに転生者達は四人いると聞きました。

殺しませんので、是非とも我等、四魔将に出番をください」



代表して、フレイがそう言いながら頭を下げると、ほかの三名も

頭を下げた。



「お父様、転生者達には特別な力が宿ると聞きます!

そして、力もすぐ様上がると。 是非戦ってみたいのです!」



リリアは純粋に戦いたいだけのようだ。


いや、よく見ればシンとバリアンも闘争心丸出しである。



自分の力が転生者達にどこまで通じるのか知りたいのだろう



そして、ここまで皆から頼まれたら仕方がない。


不殺の任をしっかりと頭に叩き込んでもらい、四人を伴い

転生者達の待つ場所へと向かう。






その頃転生者達は森の中で魔物狩りを続けていた。

力をつける為にだ。


といってもこの森に強い魔物は居らず、居るのは弱い魔物ばかりである。



逃げる魔物達を嬉々として追いかけ殺していく転生者達。


これではどちらが悪か、わかったものでは無い。




「弱いなおいッ!!! やっぱりあそこで龍を倒してた方が効率良かったんじゃねぇのか?」



龍を倒した時に感じた高揚感。

あれが忘れられなかった。


そして、実際に幼龍ではあったが、そこらの魔物よりも多分に

経験値を得ることができたのだ。



だが、教皇は首を横に振る。



「お主らは気付いていなかったか。 山の頂上より我等を睨みつける『古代の龍』の姿が。 やつを怒らせれば我等は死に、人間界も滅亡するだろう。 だが、お前達があの龍を超えるのもそう遠くないだろう」



沢山の魔物達を倒したお陰で転生者達の魔力は大幅に上がり、1万近くまで増えていた。


この国の人間の大人が大体100であるところを見ると、転生者達は化け物である。

一人一人が正に百人力なのだ。


そして、その力に酔いしれた転生者達は殺戮の限りを尽くしている。


力に溺れていたのだ。



目につく魔物を次々に殺していく。



そんな時、大柄男である竜太がナニかを見つけた。




「おいおい、あれってエルフってやつか?」


森を歩くエルフの親子が二人。


どうやらお母さんと娘みたいだ。



そんな光景にリーダー格である隼人も興奮が収まらなかった。



「すげーな! エルフもいるのかよ! ってか教皇さんよ!

魔物を殺したらレベルが上がるのは分かったけどよ、エルフは

どーなんだよ?」



恐ろしい事を口にする隼人。


だが、不思議と他の三人も気になるようで教皇の言葉を待った。




「もちろん入るぞ。 ヘタすれば、魔物『より』もな」



その言葉に口角を釣り上げる四人。



「なぁー、殺す前にあの母親は俺にヤラせろよ! エルフなんて向こうじゃ絶対に会えないんだからよ!」



竜太は興奮している様子。


隼人も混ざりたいが、彼女てある美羽が睨みを利かせている為

勝ることは出来ないだろう。


苦虫を噛み潰したような表情をしている。



「ちっ、いいけど勝手に殺すんじゃねぇーぞ!」



殺したものが特に経験値は入るようだが、攻撃を加えれば他の三人も多少は入るようだ。


その為、先に殺すのは御法度である。



「はいよー! それじゃ、たのしもうか!」



竜太は一直線に親子の後方から走り追い掛ける。


そして、いきなり現れた大男に怯えるエルフの親子。



「ッ?! あ、あの、どうかなさいましたか? 私達は何も持っていません」



突然の事に怯える母親。

そして、娘の方もビクビクしながら母親の手を握り締めていた。



「お、お母さん、、、」



震える声に竜太は益々興奮を覚えている。


そのいやらしい目付きでじっくりとエルフを品定めしていた。



「いいな、元の世界ではお目にかかれないほどのべっぴんさんだぜ! それに、何も持ってない事はないだろ?」



そう言って胸を見つめる竜太。


凶悪な顔に不敵な笑みを浮かべるその様は、益々親子を恐怖へと

陥れていた。



「い、いや! こ、子供がいるんです! お願いします! やめてください!」



必死に乞うも、そんなモノが竜太に通用するはずが無い。


そして、気付けばその手からは子供が離れていたのだ。


当たりを見渡すと、一人の男に捕まっていた。


転移魔法を使う司の仕業だ。

娘の口には手を当てられ、泣き叫んでいるが届くことは無い。



「や、やめてください!!! わ、私はなんでもしますから!

娘だけは、、、娘だけは助けてください、、、お願いします」



母親の目からも涙が溢れ落ちる。


エルフは魔力を可視する事が出来た。

そして、目の前にいる四人の魔力が化け物級であり、敵わない事は既に知っている。


その為、命乞いをするしかないのだ。



「なーるほどな、、、なんでもか、、、それじゃあ、、、オラァッ!!!」




強引にエルフの服を剥ぎ取る竜太。


突然の事にエルフは対処が出来ず、その勢いで倒れてしまう。


そして、露となってしまったその身体。



そんな、エルフを悪魔の形相で笑いながら近付く竜太。

これから起こるであろう事を覚悟する母親は、ただ耐えるしか無かった。


まさに、地獄の始まりである。

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