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のんびりな日

皆でいつもの朝食を摂る。


エリシアが来てからは、食卓に野菜が多く並ぶようになった。


トマトにキャベツにナス等、沢山の野菜が並んだ。


朝食を摂ると皆がそれぞれの役割を果たす。


リリアはトラリーの訓練を

レイラはムムの訓練。


フェンリルのレオンは、ミノに着いて行き獲物を狩りながら訓練をする。


全員がそれぞれ魔法や戦闘の訓練をしているのだ。


その間ライムは家事全般をそつなくこなしていた。




そしてエリシアは第5層で畑の手入れ等をしている。

そのエリシアの近くでは、なんと10匹のゴブリンが手伝いをしていた。


エリシア一人ではこの広大な畑は管理が厳しいとの事でゴブリンを召喚し、エリシアの言う事を聞くように命令した。

ゴブリンは魔物の中では手先が器用なこともあり重宝される。


リーダー格であるゴブリンには、ゴブアと名付けられリーダー格に任命される。

エリシアが大変な時は彼が指導者になるのだ。




皆がエリシアの指示に忠実に従い働いていた。

そしてゼノンから一つだけ仕事に対して指示を出されている。



必ず休息をとること。



エリシアは新米という事もあり、更には期待されていて張り切る節が見られていた。

体を酷使しないか心配したゼノンの配慮である。


それにゴブリン達も命令に忠実であるが故に、休息を取らずに働き続ける恐れもあった。


ゼノンの命令により、皆が休憩をとり程よく仕事をする事ができているようだ。

現に今も皆で座りながらお茶を飲んで談笑していた。




一日に一度はムム達も第5層で、ゴブリン達も交えて楽しく遊んでいる。

ムムの魔物慣れもだいぶよくなってきた。

普通の市民がゴブリンに出会ったら恐らく発狂するだろう。


確かに見た目は恐ろしい形相をしているが、慣れれば可愛いものである。



そして遊び終えるとレイラの作ったお菓子を皆で食べて、また談笑し夕飯を食べ、風呂に入り眠る。

この様な生活が続いていた。



ゼノンはゴブリン達やミノ、レオンの為にもでかい浴槽を作り汗を流すよう伝える。


魔物達も浴槽に入り一日の疲れを癒していた。

魔物達がこぞって風呂に入る姿はなんだか不思議な光景である。


そしてゴブリン達の家も第5層に作られた。

野宿でいいとは言っていたが、それはゼノンが許さない。


ここに住むものは皆家に住むべき。

ゼノンはあっという間にゴブリン達の家を作ってみせたのだ。




こうして、当初のゼノンの計画とは違ったが、まさにスローライフを過ごす事はできていた。






翌日、ムム、トラリー、リリアを連れて王都に訪れる。

今回訪れた理由は、前回ムムが買いたかった本を買えなかったからだ。


レイラは追われている身故に、今回は遠慮した。

エリシアも畑を見ていたいと言ったが、きっと人間達の目を気にしたのだろう。


本屋に入るとムムは目を輝かせていた。


「うわぁーーー・・・・・・」


始めてる本が1冊ではなく大量にある。

ムムには信じられない光景だった。


「流石は王都の本屋だ!こんなにあるとはな!」


リリアもその量に驚きを隠せない。


「ムムよ好きな本があったら買うといい。二人も欲しいのならば買っていいぞ。」


「ありがとうございます!」

「私は大丈夫です!」


トラリーは目を輝かせていたが、リリアは本自体に興味は無い様子。


二人は本選びに夢中になっていると店主のおばさんがゼノン達の方へ来た。


「あらあら、美男美女の両親に可愛い子供達、こんな素敵な家族は初めて見たよ」


「えっ?! えっ、えっ、夫婦?! ゼノン様と?!!!!」


突然の店員の不意をつく言葉にリリアは顔を真っ赤にしていた。

憧れの主たるゼノンと夫婦なんて、、、


恥ずかしさで失神してしまいそうだ。


「あら? 違ったのかい? てっきりそうかと」


「いや私達は夫婦であり家族だ。今日は子供の欲しい本を買いにな」


その言葉にリリアは驚く。

ゼノンが認めた。という事は・・・・・・そう考えると頭がまわらない。

最早お花畑である。



「あら、やっぱりそうだったのね。ゆっくり見ていってね」


そう言って店主は奥の方へと行った。

そしてゼノンはリリアに向き直り、


「うむ。---リリアよ、いつまで惚けている」


「・・・・・・はっ?! す、すみません!!!」


ゼノンの一言でようやく我に返る。

だが、ゼノンを尊敬しているものなら誰でもリリアと同じ状況に陥るかもしれない。


「王都にいる間は夫婦の関係が最善であろう。下手に詮索されるのも面倒だ」


「は、はいっ!!! で、では王都では、だ、旦那様とお呼びした方が宜しいでしょうか?・・・・・・」


リリアは照れながらもそう口にする。


「うむ。そうだな」


そんな会話をしているとムムとトラリーがそれぞれ本を片手にやってきた。


「ゼノン様ー!!! ムムこの本にする!!!」


「ん? これはなんだ?」


「ゼノン様の本だよ! ムムこれがいい!!!」


「それは私も是非読みたい!」


本には興味が無いと思われていたリリアだが、ゼノンのことなら別のようだ。


「うん!!! リリアお姉ちゃんも一緒に読もう!」


「ありがとう、トラリーは何にしたんだ?!」


「僕は魔法の本です! 火魔法についての本みたいです!」


トラリーに至っては本というより魔術書であった。


「おぉ! 勉強熱心だな!」


「2人とも決まったようだな、では行くぞ」


お金を払い、店を後にし、出店で串肉やら飲み物を買い食いして歩く。


その四人の姿は本当に家族の様であった。


その時、ムムが急に話した。


「ねーゼノン様? ゼノン様はずっとムムと一緒に居てくれる?」


ムムの不意の言葉にゼノンは驚く。


(ふむ。そういえば何時までこの生活をするかは決めていなかったな。だが、いつの日かは魔界へ戻らなければいけない・・・・・・だが)


「うむ。そなたが大人になり旅立つその時まで共に居ることを魔王の名にかけて誓おう。」


「ゼ、ゼノン様ッ?!」


魔王の名にかけて。

それは絶対の誓いである。

そんな誓いを易々と言ってしまったゼノンにリリアは慌てふためく。


だが、ゼノンは易々と言った訳では無い。

長寿の魔族からしてみれば人間の成人までの歳など大したことは無い。

つまり、別に困ることでは無いのだ。


それに、ゼノンはムムと居ることを苦とも思わず、むしろ好奇心が勝っていた。


「よかったー!!! ムムは大人になってもゼノン様と一緒にいるよ!!!」


「それは困るな。お前も大人になり結婚し、子供を作り自分の家族を作るのだ」


「んームムにはまだよく分からないよ」


「ふむ。それもそうだな。一先ず帰るとしよう」


今日ものんびりな一日を過ごすゼノン一家であった。

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