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第二の人生

明日は早朝に古代の龍(エンシェントドラゴン)の元へ向かう。


最悪、戦いになったら周囲に甚大な被害がでるかもしれない。

その為、メフィは置いていきゼノン一人で向かう。


三大恐慌の中でも最強と言われる古代の龍。

この地にゼノン以外で相手にできるものはいないだろう。



だが、それに引けを取らない程の事態がオルレア家では発生していた。



ゼノンは今、自身の部屋で座っていたのだが、そこへメフィとシン、そして教皇の娘がやってきたのだ。


先程、メフィから聞いたところによると二人でベッドで寝ていた様子。


年頃の為、そういうこともあるだろうとは思うが、シンが興味あるとは知らなかった。


いや、そういう男程、ベッドでは熱い男へと変貌するのかもしれない。

これは、新しい発見である。



そんな的外れなことを考えていると教皇の娘が話しかけてきた。



「あ、あの! シンさんのお父様、お母様。 挨拶が遅れてしまい、申し訳ありません。 お邪魔しております。 明日からシンさん達と同じブルーノース学校へ入学することになりました。ミネロヴァと申します。 そして、シンさんのお母様。 先程はすみませんでした。 私が貧血を起こして寝ていたところ、シンさんを起こそうと思って摩っていたら、お母様の声に驚き、そのままシンさんを引っ張ってしまったのです。 お見苦しいところを見せてしまい申し訳ありません」



先程の誤解を解こうと弁明する。

何せ、シンはなんの事かすら知らないのだから。



「ん? 母上が部屋に来ていたのか? 起きたらベッドに眠っていたから、どういう事かと思ったらそういう事だったのか」



シンも起きて驚いていたのだ。

目を覚ますとミネロヴァの隣で眠っていたのだから。


だが、その謎も解けた。


そして、シンの反応からもミネロヴァの言っていることが事実だと理解したメフィ。



「あら? そうだったのね! ・・・・・・なーんだ、、、」



どこか残念そうに小さく呟くメフィ。

色恋沙汰の話が特に大好きなメフィは、シンの恋に興味津々だったのだ。


だが、メフィは勘づく。


ミネロヴァは恐らくシンに興味があるのだと。



「それで、どうしてミネロヴァちゃんをここへ連れて来たの?」



続けてメフィは問う。

そもそも、ここへ連れて来る理由は無かったはず。


シンが何を思って連れてきたのか。

それにはメフィだけではなく、ミネロヴァも気になっていた。



「彼女は道端で街の者から罵倒され、石を投げられ、皆から虐げられていました。 俺やリリアは校長から彼女の事を任されたのです。 それなら最後まで面倒を見るのが約束だと思いました。

そして、今後は彼女をどうすればいいのか助言頂きたく参りました」



シンの言葉は、校長から言われたから仕方なくやっていると言っているように捉えられる。


自分の意思は関係ない。


そんな冷たくも取れる言葉を聞き、メフィはミネロヴァの顔色を伺う。


やはりと言ったところか、ミネロヴァはどこか寂しげな表情をしていた。


メフィは心の中で決心した。



「よし! 決めた! それならミネロヴァちゃんもここで暮らしなさい! 一緒に住む家族も居ないのでしょう? この家にはまだ使っていない客室もたくさんあるしね! ゼノンいいでしょ?」



「よ、よろしいのですか?!」



突然の事に驚くミネロヴァであったがそのお誘いはとても魅力的なものだった。



いきなりの事に驚くゼノンであったが、家庭の取り決めは基本

メフィに主導権がある。


反対なんかするはずが無い。



「あぁ。 いいだろう。 だが、一つ聞かせてくれ。

お前は父を愛しているか?」



下手をすればゼノンは教皇を殺すことになる。

いや、ゼノンが殺さなくたってどちらにせよ捕まれば死ぬ。


犯罪者とはいえ、ミネロヴァにとってはたった一人の父親だ。

もしも愛しているのなら、ミネロヴァから愛する者を奪う事になる。


彼女にその覚悟があるのか気になったのだ。




「いえ、愛してなどいません。 愛せるはずがありません。

家に居た頃は父に暴力を振るわれ、父が居ない今は、街の人達から暴力を受けます。 アイツがいる限り、私はどこに行っても暴力を受けるのです。 だから、喜びこそすれ、悲しむなど万に一つありません」



強い意志の目でゼノンに訴えかける。


そして、ゼノンも頷いてくれた。



「わかった。 ではそろそろ夕食の時間だ。 皆にも紹介する故にミネロヴァ、お前も共に来い」



ミネロヴァも頷くと四人でその場を後にして食事場へと向かう。


ミネロヴァは驚いた。

食卓に並ぶ、数々の料理。

どれもいい匂いがする。

そして、見た目も食欲をそそられる。


今まで食に対して、興味が無かったため、腹が膨れればいいと思っていた。


その為、ここ最近はパンとスープのみ。

そんな質素な食事をしていたのだ。


だが、今のミネロヴァは気付けば涎が垂れそうになっていた。


それほど食をそそられていたのだ。



そして、人の多さにも驚いた。

みんなに自己紹介をして、皆からも自己紹介をしてもらったが

シンが大家族である事がわかった。


本当は血は繋がっていないが、それを伝える必要も無いため、ミネロヴァは本当に皆が兄弟なんだと勘違いしていた。


ムムは人懐っこい性格であり、ミネロヴァの隣に座ると直ぐに打ち解けた。



「ミネロヴァお姉ちゃんよろしくね!」



天使のような笑顔でそう言われると、思わず立ちくらみがしてしまう。



「あぁ、、、私には姉妹がいなかったけど、妹というのはこんなにも可愛い者なのね。、、、いえ、ムムさんが可愛すぎるのね?」



ミネロヴァもムムに夢中であった。


トラリーはというと、またしても綺麗なお姉さんが出来たことが嬉しいのか、頬を赤くしている。


やはり、食事は皆の距離を近付けるようで、本来人見知りのミネロヴァもあっという間に皆と打ち解けた。


そして、ミネロヴァはオルレア家を名乗る訳では無いが、これからは客人として迎え入れる事となる。



こうして、シン達のおかげでミネロヴァは第二の人生を歩むのであった。

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