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忍び寄る混沌

皆がそれぞれの仕事や学業を終え帰路に着く。




高学年になるほど、授業の時間は遅くなる為、最初に帰ってきたのはムムである。



「ムムお嬢様、おかえりなさい。 今日はお友達も一緒ですね?」



ムムが家に着くとまずは門番をしている門兵と出会う。

ザックスはどうやら休みのようだ。



「うん! 今日から一緒にテストの勉強するの!」



ムムの眩い笑顔は兵士の心を癒す。

思わずにやけてしまう門兵。


そして、ムムの後ろには二人の友達の姿が。



「「お邪魔します!」」



ミレディとシンリーが息を揃えて言うと、門を開いてもらい敷地内へと入る。



庭では洗濯物を干しているファルとフィル親子の姿が。


フィルはムムを見つけるやいなや勢いよく抱きついてきた。

年齢が近い事もあり、フィルは直ぐにムムとの距離を縮めることができたのだ。


最初の方は母であるファルに、主に失礼だからやめなさいと言われていたが、ムムがこのままでいいと伝えた為、それ以来は微笑ましく眺めている。



ある意味このハグが二人の日課とも言える。



「フィルちゃん! 勉強が終わったら皆で遊ぼうね!」



「うん! わかった!だよ! 待ってるね!だよ!」


「後で飲み物とお菓子を持っていきますね」



ファルの言葉にムム達は喜ぶ。

そして、ファル達と別れると家の中へと入りムムの部屋へと向かう。



「相変わらず広いですわね」


「うん。 流石は公爵家。 正直羨ましい、、、」



ミレディとシンリーは改めてムムの家の大きさに驚く。

そして、装飾品も全てが高価なもので飾られていた。


何よりムムの部屋が大きすぎる。

これは妬まれても仕方がない。



「でもね、ムムは狭い方がいいと思うの! 広いと家族の距離も遠くなる気がして、、、狭ければ家族との距離も近いでしょ?」



ムムの言葉に心打たれる二人。

言われてみればそうだ。


ミレディも伯爵家であり、シンリーも男爵家だ。

普通の家庭よりも家は大きい部類に入る。


だが、家が広いが故に家族で居る時間は確かに少なく感じる。


両親の仕事が忙しいのもあるが、それでも家に居る時くらいは近くにいたいものだ。



「だから、ムムはあまりこの部屋使わないの!

皆もそうだよ! よく皆で同じ部屋にいるの!」



オルレア家はそれぞれに個室が割り振られている。

だが、寝る時以外に使う事はほぼ無い。



だから、ムム達は暇な時は、皆が居間に集まるのだ。

自然とそういう風になっていた。



そんな雑談をしながらも勉強を始める三人。

といってもこの三人の学力はトップ3に入っており、このまま行けば来年もSクラスは間違いなしだ。





ムム達が帰ってきて少しするとトラリーも家に帰ってきた。

そして、後ろには友達であるジョッシュとメアリーの姿が。



ムムと同様に門番やファル親子と会話を済ませると自分の部屋へと向かう。



「あれ? トラリーの家族は誰もいないの?」



「いや、ムムは帰ってきているはずだよ! 確か友達を連れてくるって言ってたから部屋にいるのかな?」



「メアリーはどうせシン先輩目当てなんだろ?」



ジョッシュがそうからかうとメアリーは焦った様に否定する。

そんな他愛も無い会話をしながらトラリーの部屋へ着くと、

シンやリリアが来るまでの間に今日の宿題を済ませる。



メアリーもそうだが、特にジョッシュは勉強が苦手だ。

実技は問題無いのだが、頭を使う事がどうも苦手なようで、



「があああ!!! わかんねー!!! トラリー! 教えてくれ!」



一問終わる毎に毎度トラリーに直ぐ聞くジョッシュ。

自分で考えようとせず、分からないと思ったら直ぐに聞くのだ。


だが、トラリーも人が良いため直ぐに教えてくれる。



「ねぇトラリー? 直ぐに教えたらジョッシュの為にならないよ? 何も身につかないと思うの! だから、ジョッシュもまずは自分で考えてから聞きなさいよ!」



メアリーの言葉がジョッシュに突き刺さる。

トラリーもメアリーの言葉に頷き、心を改めた。



こうして、トラリーもムムもそれぞれがテストに向けて勉強を頑張るのであった。


シンとリリアに会うために、、、







その頃、冒険者ギルドでは、、、


「ドラゴンが活発化しているか、、、」



「何かあったようね。 大人しいドラゴン達が何も無く活発化するわけが無いもの」



ギルドマスターに呼び出されたゼノンとメフィはその話を聞いていた。


どうやらドラゴンが住む山で、ドラゴン達の動きが活性化している様で、近隣に被害が出るかもしれないとのこと。



だが、今まで大人しかったドラゴン達が何故、今こうなったのか。


ゼノンとメフィには一つ心当たりがあった。



「転生者共か、、、」



ドラゴンなど、そう易々と相手に出来る者は少ない。

Sランクか、余程の手練でなくては無理だ。


今居るSランクは誰もドラゴンの住む区域に向かっている者はいないと言う。


つまり、教皇と転生者一行以外はありえないのだ。



「ドラゴンに手を出たらどうなるか教皇もわかっているのよね?」



事の重大さにメフィは不安になる。

下手をすればドラゴンの長たる三大恐慌の一柱『最古の龍(エンシェントドラゴン)』が出てきてもおかしくは無い。


そうなれば世界は火の海と化すことになる。


何せ、三大恐慌の中でも序列はあり、最古の龍(エンシェントドラゴン)が一番強いのだから。


つまり、この世界で一番強い生物なのだ。



「だが、居る先が分かったなら直ぐに捕えられる。 恐らく影の者達もその足取りを掴もうとしているだろう」






転生者四人の足元に倒れる一匹のドラゴン。


そのドラゴンは成体ではなく、まだ子供であった。


レベルを上げるには強いものを倒すのが一番。

教皇の誘いに乗っかり、ドラゴン対峙にやって来たのだ。




「いいじゃねーか! コイツを倒しただけでゴブリン100体分はあったんじゃねぇの?」



力が増えている事を実感する転生者達。

転生者達が見つめる先にはドラゴンの住まう山。



そして、遥か山の頂上から五人を見下ろす一体の白銀の龍の姿が。



転生者達の行動により、世界は再び混沌に陥るのであった。

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