学校の生活
教皇と転生者の行方はガルム達に任せ、ゼノンや子供達は
以前の生活へと戻った。
子供達は学校へ行き、大人達は仕事へ向かう。
「ムムさん、シンリーさん、お久しぶりです!」
「2人とも久しぶり! 元気そうでよかった」
「ムムも2人に会いたかったよー!」
ムムは仲良しであるミレディとシンリーと抱き合う。
先日までの騒動のせいで当然学校も休校となっていたのだ。
だが、2日でそれも治まり今日から学校だ。
そして先生が入ってくると皆が席に着く。
「おし! 一先ずみんなの顔が見れてよかった! 怪我したやつもいないな? 早速だが、来週は筆記と実技のテストを行う。 一学年共通テストだ。 それが低ければ当然クラスの異動もあるから皆しっかりやれよ? んじゃあ授業始めるぞー」
皆の顔に緊張が走る。
今はSランクに居るがこのテストで成績が酷ければ、来年からランクが落とされるのだ。
つまり、ランクのかかった試験なのである。
皆が必死に勉強をし訓練をする。
もちろん全学年もテストがある。
兄のトラリーやシン、リリアもだ。
と言っても所詮は人間レベルという事もあり、シンとリリアからすれば物足りないくらいである。
だが、トラリーとムムは違う。
必死に勉強をしているが確実なんてことは無い。
だから家に帰ったらすぐに兄や姉に勉強を教ええてもらう手筈となっている。
三学年であるトラリーも友達と切磋琢磨に勉強をしていた。
勉強も実技も学年トップのトラリー。
このままいけば間違いなく来年もSランクになれるはずだ。
だが、油断はしない。
そして、周りのクラスの仲間にも教えていた。
「トラリーって毎日訓練は欠かさないのよね? もしかして勉強も?」
メアリーは気になり訊ねると、
「ん? 勉強は当たり前だよ! 毎日宿題も出てるしね! 出てない時は兄さんや姉さんに出してもらうんだ!」
「あーーー、それなら俺もやれるわ・・・・・・だって、、、」
「あーーー、そうね、、、私もシン様なら、、、」
ジョッシュの言葉に続きメアリーも、、、2人の頭の中にはシンとリリアの顔が浮かぶ。
あんな兄姉が居たら誰だって勉強も頑張れるわなと周りで聞き耳を立てて居たクラスメイト達も頷く。
当の本人であるトラリーだけは首を傾げていたが、皆もトラリーの性格を知ってるが故に気にしない。
「もし良かったら2人も家で一緒に勉強する?」
トラリーの不意の発言にも関わらず、ジョッシュとメアリーは物凄い勢いでトラリーに食い付いた。
「「いいのッ?!!!!!」」
あまりの気迫に圧倒されるトラリーであったが、了承すると見たことも無い笑顔になっていた。
早く学校よ終われと唱える2人なのであった。
11学年であるシンとリリア。
先生であるクリスも今では皆の人気の先生の1人。
以前とはうってかわり、生徒に親身になって教えてくれている。
それもこれも全ては助勤講師であるフレイのおかげだが。
とにかく、今の11年生は先生も生徒も良好関係なのである。
「という事で来週は入れ替えテストが行われる。 なぁに、お前達の力と学力なら来年も会えると私は信じている。 緊張せずいつものように受ければ大丈夫だ」
先生の言葉に皆が返事をする。
「さすがはクリス先生ですね。 今の言葉はとても生徒に深く突き刺さったと思いますよ」
隣でそう語るのはフレイである。
そして、フレイの言葉を聞きこれでもかという程の笑顔を振りまく。
「そ、そ、そうですかッ?!!! フレイ先生にそう言ってもらえると光栄ですな!!! 生徒だけではなく、是非! フレイ先生にも来年も私と共にこの生徒達の先生をして欲しいですな!!!
なんなら、今から校長に掛け合ってきましょう!!!」
フレイの事になると、フレイ1人しか見えなくなる。
だが、彼女のおかげでクリスが人当たりのいい先生になっているのは事実な為、離すのは得策では無いのかもしれない。
「ありがとうございます。 ですが、今は授業の方を優先しなくてはいけませんよ? クリス先生は生徒達の先生なのですから責務は全うしなくてはいけませんね」
フレイが軽く注意する。
生徒達の間では緊張が走る。
いくら性格が変わったとはいえ、今までなら注意したものなら
クリスは激昂していた。
それも手が付けられないほどに。
皆が心配そうにクリスを見つめる。
すると・・・・・・
「ハッハッハッ!!! それもそうですね! 私としたことがウッカリと! ささっ! 授業を始めるぞ!」
皆の開いた口が塞がらない。
これは、寧ろ変わりすぎである。
180°変わっているではないか。
だが、結果として生徒達にはプラスの為、皆が満足している。
何よりもクリスの授業内容は分かりやすいのだ。
元々知識も豊富であったため、聞けばなんでも答えてくれる。
これも全てはフレイのおかげなのである。
実技で怪我をした生徒が救護室へと運ばれる。
怪我は大したことは無かったが付き添いの生徒の数が明らかに多い。
もちろん男子生徒だ。
けが人、1人に対して5人の付き添いが居るのだ。
もちろんレイラ目当てで。
今日怪我した生徒は10年生の生徒で、怪我は切り傷。
実技で怪我を負ったようだ。
「せ、先生!!! コイツ怪我しちまって! お、俺もなんか体調が悪いんです!」
「お、俺も!」 「僕も!」 「あ、頭が痛い、、、」
皆で鼻を伸ばしながらそう話す。
つまり、明らかに嘘だとわかる。
だが、レイラは・・・・・・
「それは大変ですね! 皆で休んでいってください! 怪我をしている君は今から回復しますね! 低位の癒し」
切り傷程度なら下位の魔法で癒せる。
それはレイラの魔力が高いからなせる技だ。
回復された生徒はというと、
「はぁーーー、、、天にも昇るようだ、、、」
放心状態である。
そんな仲間を見ていた生徒達は当然、嫉妬と羨望の眼差しで見つめていた。
「・・・・・・なぁ、今から俺達も切り合わないか?」
1人の生徒が何やら物騒な事を話し始めた。
そして、ソレはその生徒だけでは無い。
「奇遇だな、、、俺も同じ事を思ってた」
他の3人も頷く。
「ダメですよ?! ワザと怪我をする人達は入室禁止ですよ!」
レイラに作戦を聞かれてしまった。
入室禁止を突き付けられては何も言い返せない。
男子生徒達は諦めるしか無かったのだ。
そんな生徒達を見て思わず微笑むレイラ。
そして、そんなレイラの眩しい笑顔に癒される生徒達。
つまり、救護室はきょうも平和であった。
「中々に剪定の技術が高まってきたのう」
バリアンは一人庭で木などを整えていた。
庭師の仕事ぶりも様になってきており、その見た目も美しい。
「だいぶ仕事も慣れましたか?」
突如やって来たのはセレスでる。
このブルーノース学校の校長であり、バリアンの上司だ。
「これはこれはセレス校長。 このような場所に来られるとは。
何か御用ですかな?」
今まで一度も来たことが無いため、突然の来客に少し驚くバリアン。
「いえいえ、少し気晴らしに散歩をと思いまして。 バリアンさんのおかげで校舎の周りも美しくなりました。 本当に感謝していますよ。 ありがとうございます」
そう言ってバリアンに頭を下げるセレス。
セレスは物腰が低く誰にでもこうなのだ。
いい事でもあり、悪い所でもある。
「セレス校長、老いぼれの戯言と思って聞き流してもらって構わない。 セレス校長は少し、いやだいぶ腰が低い。 貴女は校長であり元Sランク。 もう少し砕けても良いのではないかのう? ワシはただの庭師、つまりそんな頭を下げんで欲しいのじゃ。」
バリアンの言葉にセレスは感慨深く感じた。
初めて言われた事もあり、真剣に考える。
「なるほど、、、言われてみればそうかもしれません。
宜しければ、今度お食事にでもどうでしょう? その時にご指導願えると助かるのですが、、、」
バリアンは笑顔で答える。
「もちろんじゃ! セレス校長の様な美女と食事に行けるとあらば喜んで行きましょう」
「まぁ、こんな年寄りに美女だなんて、、、お口がお上手ですね」
「ガッハッハッ!!! 本心じゃわい!」
二人は声高らかに笑い合い、平和な一日を皆が終えるのであった。
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