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異世界人の力

教皇の使用した指輪。


それは国宝であり、禁忌魔法である。


一度この指輪を危険と感じた者が壊そうとしたが、傷一つ付けることが出来なかった為、厳重に保管されていた。


では、何故教皇がその指輪を付けており、誰も気づかなかったのか。




教皇のスキルによるものだ。

透明化。


トイレに入った後、隙間から抜け出し保管庫に侵入すると指輪をつけ、その指輪を透明化し、ずっと装着していたのだ。




まさか四人も現れるとは教皇も思いもしなかったがこれで窮地を脱することができる。


「よくぞ参られた勇者の諸君! 今、この国はその魔王によって操られている! 今はまだ力が足りぬ故、私を連れてここを逃げるのだ!」




いきなり転生して何が何だか分からない様子であったが、

一人の男が口を開いた。



「なるほどな。 確かにソイツは『魔族』だな。 隼人! そのおっさんの言う通りだ! ここは一旦下がろうぜ!」



ゼノンと鍔迫り合いをしている隼人という男に伝えると、

後ろに飛び退く。



「なるほどな! おもしれぇ世界じゃねーか! 一先ず色々確認もしたいし行くとするか!」




すると一人の男がポケットから何か丸いものを出す。



「んじゃあ、これでも使いますかっと!」



何やら、その丸い物に火をつけると、突如灰色の煙が吹き出す。


辺り一面を覆う煙は、視界を遮った。




しかし、ゼノンは動じることなく魔法を放つ。



微風ウィンドウ



本来なら微風程度の力しかないがゼノンが使えば別だ。


一気に煙は晴れる。


だが、そこに教皇と四人の姿は無い。

逃げられたのだ。


それもゼノンが知らない方法で。



(奴ら、突然気配が消えた。 もしや転移か)




そんな芸当ができる魔法は転移魔法くらいだ。

そして、何より力も強かった。


手加減していたとはいえ、ゼノンの剣を受け止めたのだから。


こんなことになるなら本気で殺しておけばよかったと後悔したが、たらればは意味が無い。




ゼノンの元へ国王とレインが歩いてきた。



「ゼノン殿、あれは我が王家の禁忌の宝。 異世界より勇者を召喚したのだ。 その力は人外の域に達すると言われておる」



「確かに、奴の力はかなりのものであった。 今後成長するとなると厄介な者になるかもしれぬな。 早々に見つけ出して対処した方がよかろう」



ゼノンの言葉に頷く二人。



「一先ずこの場は解散させましょう。 住民達も大混乱ですが、教皇もおいそれとコチラに手出しは出来ないはずです」



レインの言う通りだ。


今来たところで教皇は何も出来ない。

恐らく、その勇者四人を育て上げてからやって来るはず。



国王は住民達に軽く説明するとその場を後にして、処刑は中止となった。





国王と宰相、そしてレインとゼノンは賓客室へと向かいそこで対談する。



「なるほど、ゼノン殿でも探知できないとなると転移魔法の他無いかもしれぬ」



「うむ。来たばかりで使えるという事は、向こうの世界でも魔法をかじっていたか知識があったかのどちらかだろう。そして、このままでは終わるまい。 恐らく奴らは再びやってくるだろう」



ゼノンの言葉に皆が頷く。




「我が国の諜報部隊でも捜索はするがゼノン殿とレインも何か情報を掴んだのならすぐに知らせてくれると助かる」




ゼノン達も元よりそのつまりである。


こうして、国王、勇者、魔王は互いに協力し教皇の捜索に当たるのであった。





ゼノンは家に着くとすぐ様メフィとガルムを呼び出す。


そして、今日起こった事の経緯を伝え、ガルムに教皇の捜索を頼む。



「働かせてばかりで悪いが頼んだぞ」



「何を言われます。 この命はゼノン様のモノ。 如何様にもお使いください。 それにゼノン様のおかげで四人の手足も居ります。 必ずや見つけ出しましょう」



そう言って頭を下げる。



「うむ。だが、見つけても戦いは避けよ。 国王の話によれば勇者召喚された異世界人は成長が著しく高くなるようだ。 現時点でもお前に少し劣る程度の力を持っていた。 無理はするな」



侮っていい相手では無い。

ゼノンはガルムに注意喚起をすると、ガルムは影に消えその場を後にした。





「ねぇ、ゼノン? その異世界人って・・・・・・」




ゼノンは目を伏せ、小さく頷く。



「うむ。私が過去に助けた人間と同じだ。 400年ほど前、倒れていた人間は黒髪に見たことも無い服を着ていた。 そして、聞けば異世界召喚され逃げてきたと言っていたな。 私が見つけた時は死んでおり、奴が初めて蘇生させた人間だ」



そう。ゼノンが以前に言っていた、蘇生を使用した人間の一人。


二人はトラリー、そして、三人目がレイン。

そして最初の一人がその異世界人である。



「ゼノンが前に教えてくれた人だよね。 成長が早く、あっという間に人間の領域を超えたって」



「あぁ、あの者は訓練を怠らずにずっと私の元で訓練をしていたからな」




ゼノンが初めて出会った異世界人の名は『しの』という日本から来たと言うものだった。


その世界に魔法は無く、近接戦が主流と言っていた。


そして、召喚されて早々に勇者召喚された者が女性であり、力が無いことから殺害されそうになり、必死に逃げたとのこと。


だが、逃げる際にいくつもの魔法を被弾してしまい、途中で力尽きていた。



そこへたまたまゼノンが現れたのだ。


ゼノンはその風貌から興味を抱き、蘇生魔法を創造した。




そして、シノを魔王城へと招き育てるとあっという間にゼノンの右腕になれるほどの実力をつけたのだ。


人間でありながらもゼノンの客人という事もあり、周りの魔族からも好かれていた。


しかし、彼女は人間という事もあり、寿命は魔族に比べたら短く

どんどん老いていき寿命を全うし幸せに死んだ。




恐らくあの四人も同じ顔の形をしていた為、同じ場所から来たのだろうとゼノンは予想する。


「力をつける前に捕えなければなるまい」


ゼノンの言葉に頷くメフィ。



一先ず、再び平穏な日々が訪れるのであった。

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