人類の希望
とある部屋にて、
国王とゼノンが二人で会話をしていた。
「そうか、、、ようやく終わるのだな。
ゼノン殿、貴殿にも多大なる迷惑を掛けた。 兄として、国王として頭を下げさせてくれ。 済まなかった」
ゼノンに深々と頭を下げる国王。
この部屋は二人と言うこともあり、非公式の面会だ。
「気にする必要はない。 お前は国王としての責務を全うしているのだ。 弟のする事まではお前が被ることはあるまい。
奴は私の地下で預かってはいるが、何日も面倒は見れぬぞ。 いつやるのだ?」
「明日だ。 明日奴を処刑する。 最早、家族の愛などは関係ない。 奴は我が国を脅かす人外なのだから。
広場にて、奴の悪行を国民に伝え処刑する」
ゼノンは少し気掛かりがある。
これまでも教皇は影で人間界を、いや全世界を混沌に陥れようとしていた。
だが、国王でり兄である彼は、それを裁くことをしなかったのだ。
相手もトップの人間であるとはいえ、国王の方が上だ。
それでも、やらなかったのは愛がある故だろう。
どんなに外道な弟であっても、見て見ぬふりをして許してきたのだから。
だが、その心配も杞憂であると確信した。
国王の眼を見ればわかる。
意思の固まった眼だ。
「わかった。 ではこれで失礼するぞ」
国王の意思もわかった為、ゼノンは転移で再び我が家へと戻る。
「おかえりゼノン! あの子起きたわよ!」
ゼノンが帰宅したのに気付き、メフィがとある事を伝えてきた。
その者がいる部屋へと向かう。
扉を開き、ベッドに横になっていた者は、、、
「起きたか『勇者』よ」
そこに居たのは教皇の手によって殺されたはずの勇者レインの姿が。
「あれ、、、ゼノンさん? ・・・・・・なるほど、僕は確かに死んだ。 教皇に進言をし、元の仲間達に殺された。 そして、僕が生きているのはゼノンさん、、、あなたのおかげなんですね」
死ぬ前の最後の記憶を思い出した。
まさか、教皇に、元仲間に殺されるとは微塵も思わなかった。
いや、教皇には注意を払っていたが、仲間に殺されるとは思いもしなかったのだ。
「そうか。 安心しろ。 教皇は既に捕らえておる。 国王に聞いたが明日処刑するとのこと。 お前はまだここで休んでいるがいい」
その言葉にホッと胸を撫で下ろすレイン。
「何度も甘えるのは申し訳ないのですが、お言葉に甘えて休ませて頂きます。 どうやら魔力はまだ回復していないようですね。
ゼノンさん、本当にありがとうございました。 もし、僕にできる事があるのなら何でもお申し付け下さい」
そう言って頭を下げるとゼノンは閃いた。
「ふむ。 早速で悪いのだか、明日お前にも証人となって公衆の面前で奴の暴挙を述べてくれぬか? 勇者の言葉とあれば、その信頼は絶大であろう」
現にレインも教皇の被害者の一人だ。
考える間もなくレインは即答してくれた。
「えぇ! もちろんです! 奴には私も借りがありますからね。
私で良ければ存分に使ってください!」
「そして、蘇生魔法は他言無用で頼む。 この魔法は強大過ぎる。 人間に伝われば必ず悪用するものが現れるであろう。 私はこれ以上子供達を危険に晒したくないのでな」
そう。ゼノンが蘇生魔法を使ったのはこれで三人目だ。
トラリーとレイン。 そして過去にもう一人・・・・・・。
この魔法はおいそれと使っていいものでは無い。
何よりゼノンにも反動は大きいのだから。
「それもそうですよね。 そんな貴重な魔法を僕なんかに使って頂きありがとうございます! 誓って守りましよう! そして、明日の教皇への暴露はこの様な感じでどうでしょうか? 〜〜〜。」
レインからの提案。
それなら蘇生魔法を使った事もバレないだろう。
「あぁ、頼んだぞ。 では今日はもう休むが良い。 食事も後で運ばせよう」
そして、レインも生き返ったばかりで、疲れているだろうから話を終える。
最後に、レインは改めて頭を下げるとゼノンもその場を後にした。
レインは人間界の勇者だ。
そして、彼の死ももちろん広まっている。
教皇の手によって。
そして、多くの人間が悲しみにくれたと言う。
そんな勇者の発言なのだから、全人類の耳は必ずや勇者に傾くはず。
これで教皇はもちろん、その配下達も再起不能となるだろう。
そう思われた、、、
後にすぐ様、教皇を殺しておけばよかった、と皆が後悔する事件が起こるのであった。
あのゼノンでさえも。
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